V 1962〜65     



犠牲者
曙出版
ティーンエージャー
「暗い青春でも」
46p
新人歌手が家庭崩壊で職を失う。1962年1月13日発表
これが証拠だ!
曙出版
ティーンエージャー
「奴を尾行しろ」
50p
町の有力者の息子に交際を迫られる娘。1962年2月9日発表
戦後版「金色夜叉」。あっけらかんとしたアクション漫画であるが、
不思議なカタルシスがあって好きである。
新しいママ
曙出版
ティーンエージャー
3月号
46p
1962年3月9日発表。
「かわいそうなママ」と紛らわしい作品だが何か「悲しみよこんにちは」風でもあり、
その後の改作とは異なる積極性が認められなくも無い。
最後の失敗
曙出版
ティーンエージャー
4月号
42p
上京娘を助ける盗癖のある浪人生。1962年4月13日発表
イタリアの空
曙出版
ハイティーン
6月号
39p
幼馴染の海外留学話に揺れる娘。1962年6月4日発表
ストーリーに特筆すべきものはないが
グラフィック処理等に進境を見せた作品。
彼を呼ぶ影
曙出版
「未知の世界」
45p
見知らぬ若い男から手紙を託された高校生。1962年7月4日発表
高校生の人物造形は作者も相当気に入っていたらしく、2年後に再登場(愛と死のあいだ)させている。
掲載誌は「ティーンエージャー」と「素晴らしき十代」をリレーする形で出されたオカルト・ニューエイジ誌の一つ。
怪死
曙出版
ハイティーン
「オレの素顔」
26p
娘の交通事故死の真相。1962年8月9日発表
極端に非・説明的な語法が表面的な理解を拒絶する異色作。
「半音階幻想曲」といった趣である。
からくりを発け
文華書房
素晴らしき十代
1号
35p
芸能マスコミの陰謀。1962年8月13日発表
星夜のハイウェイ
文華書房
素晴らしき十代
2号
65p
家出娘を追う平社員。1962年9月3日発表
そいつを狙え!
曙出版
ハイティーン
「若い闘魂」
55p
新開発の香水をめぐる産業スパイと女秘書の戦い。1962年10月3日発表
これら一連のBG(今で言うOL)物で思い出すのは’90年代半ばにたぶん
「ビッグコミック」に出た『重役秘書リナ』という漫画である。
(大企業に勤めるヒロインが小泉純一郎風の改革派の重役に仕える。
但し絵は割と巧かった)
30年余りたっても全く進歩が無い。
女子大生章子
曙出版
素晴らしき十代
3号
60p
過疎の村の小学校を復興させる娘。1962年10月11日発表
この時代、教育は単なる個人の栄達の手段ではなく、社会に還元されるべきもの
社会の共有財と考えられていたことが窺える。
虚栄の果て
曙出版
ハイティーン
「若き血潮」
42p
1962年11月1日発表
「マスコミの掟」改作。

過失
曙出版
素晴らしき十代
4号
45p
1962年11月7日発表
「恋の片道切符」改作。
白いドレスの秘密
曙出版
ハイティーン
「反逆野郎」
45p
ブティック経営のお姉さんに不思議な注文が...1962年12月1日発表
青春の戦い
曙出版
素晴らしき十代
5号
47p
出世のために手段を選ばぬ男の末路。1962年12月5日発表
この頃「青空の見える昇進制」というスローガンがあったそうである。
なお、どうでもよいことだがこの辺りから作者の絵柄は妙に洗練されてきて
よくいえば’70年代を予告するような漫画スタイルに、悪くいえば遠慮がなくなってくる。漫画が市民権を得て来たとも、天下泰平的な大衆状況の反映とも言えるかも知れない。
但し宮崎駿のアニメが好きな方なら結構ウケるかも。
ひとりぽっち
曙出版
ハイティーン
「紅の殺意」
45p
1963年1月7日発表
「さすらいの果てに」改作。
友情の掟
曙出版
ハイティーン
「蒼い街角」
44p
婚約したとたんに疎遠になった親友。1963年2月
当時作者は二人の子持ちだったとの事であるが、
その経験から結婚制度への疑問を呈した作品。
よく読むと「遥かなる灯」のテーマが密かに反復されていることに気付く。
郷愁
曙出版
素晴らしき十代
7号
47p
引ったくり犯が母親の危篤を知り...。1963年2月8日発表
すっ飛ばしたような印象の作品だが、主人公が荷物をまとめているとヤクザの子分、
アパートの女管理人、デパートで知り合った女子大生(何故かモテる)が次々と現れて邪魔しに来るのがちょっと可笑しい。
美香という少女
曙出版
ハイティーン
「裏街の挑戦者」
42p
1963年3月4日発表
「不良少女グループ」続編。
日記帳の秘密
曙出版
素晴らしき十代
8号
47p
謎の失跡をした親友の秘密を探る娘。1963年3月12日発表
厭世観に蔽われた作品。
野望を燃やせ
曙出版
ハイティーン
「地獄から這い上がれ」
45p
四年間服役した男が、その原因となった娘に又だまされる。1963年4月15日発表
同年2月末に結審した「吉田岩窟王裁判」を織り込みつつ、「マノン・レスコー」風でもあるという練達?の作品。「日記帳の秘密」に引き続き絵も好調。
青年漫画のエポックを築いた「ハイティーン」も本号で終刊となった。
あいつも騙せ
曙出版
「血みどろの宿命」
65p
1963年5月11日発表
「ある出来事」改作。
これらは江戸川きよしの単行本に併載されたもの。
栄光と敗北
曙出版
「絶望の泥沼」
65p
1963年6月7日発表
「青ざめた青春」改作。
「+画人会編」の単行本はここまで。
愛と死のあいだ
曙出版
わかもの
「思春期」
40p
1964年11月
「秘密を持つ少女」改作。
「栄光と敗北」との間に一年以上のブランクがあるが、絵柄に変化は見られない。
君のための青春
曙出版
わかもの
「甘い涙」
50p
1964年12月
「水色の夢」改作。
ひきにげ
青春フレンド
「青い流れ」
50p
足の不自由な娘の引き起こした犯罪。1964年12月
「遥かなる灯」の改作で片付けても良いのであるが、前半部には並々ならぬ意気込みが感じられる。
「遥かなる灯」に基づく「未完の四重フーガ」とでも。
偶像
曙出版
わかもの
「僕のアイドル」
50p
1965年2月
「秘密」改作。
秘密をもらすな
文華書房
わかもの
「明日なき青春」
50p
カンニングを目撃した中学生が口止めされ...1965年3月
旧作の焼き直しばかりのこの時期にあって例外的な力作となっている。
実は初期の萩尾望都に非常に似た作品があり、それと、かつての「母物」の漫画との結節点を示していると言えるかもしれない。
ちなみに萩尾のものはボーイフレンドに無実を証言してもらって終わりであった。
「自立」は、成し遂げられなかった。

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