LED蛍光灯の寿命試験器

点灯・消灯の寿命試験器
 ここでは、LED蛍光灯を取り上げていますが、LEDを使用した電球や、ダウンライト等を含むLED照明全般に当てはまると思います。私自身が、この試験器を作って、実際に試験したものがLED蛍光灯です。勿論、従来の蛍光灯や電球でも可能です。
管球式との違い
 今では蛍光灯といわれるものも、LEDを使用したものが主流になっています。近い将来、熱陰極管蛍光灯の製造を禁止するようになるということです。従来から家庭用で使われてきた蛍光灯は、熱陰極管の一種で、発光方式がLED蛍光灯とは根本的に異なっています。LEDを使用しているものは、一般的にはLED蛍光灯と言われています。このLED蛍光灯は、熱陰極管蛍光灯の管部に、LEDが入っていて発光しています。発光方式のうち顕著に異なるのが起動方式です。熱陰極管蛍光灯は電極間の放電で成り立つため、起動時に高電圧が必要になります。グロー管を使用するものは、バイメタルの接点が、電流により発生した高温により解放するときに、安定器の両端に高圧が発生し放電を開始します。このときに大きな電流が流れていて電力を消費しています。一方、LED蛍光灯の方は、起動時に大きな電力を消費するという過渡期がありませんので電力効率が優れています。
安全性
 従来の蛍光灯灯具の蛍光灯を外し、LED蛍光灯をそのまま入れ替えても、点灯しないばかりか事故を起こしかねません。どうしても入れ替える場合は電気工事が必要になり、電気工事士か電気主任技術者が配線工事をする必要があります。自分の家の中のものでも同じです。LED蛍光灯は輸入品が多く、中には粗悪なものもあるということです。特に電源部に問題が多く、その中でも、1次側に使用される電解コンデンサの品質に起因するものが多いようです。私も、ネットで購入した新品の中華パッドに付属していたACアダプタを、100Vにつないだ瞬間に発火したという経験をしました。この時も電解コンデンサが破損していました。
特許侵害
 日本企業が所有するLEDに関する特許権を侵害した輸入品が横行していました。特に白色LEDの侵害品はひどいものでした。白色LEDは青色LEDが発する光を蛍光物質に当てて発光させていますが、青色LED、白色LED共に日本企業の特許品です。ですから侵害品を使用した製品は販売、使用の差止請求の対象にもなりますので、国内大手メーカーの製品・部品を推奨します。
チラツキによる障害
 LED蛍光灯はチラツキが問題になります。LED蛍光灯で明るさの調整は、パルス幅変調(PWM)という方式を使っているものが多いです。一定周期の中で、ピーク値は一定で、LEDに電流を流す時間と、流さない時間の比を変えることがPWMなのですが、周期の設定と比により、人の目にチラツキとして感じてしまいます。これによる健康被害が発生したことが、LED照明の導入初期にありました。そういった意味で、お勧めは日本の大手電気メーカー製です。その他のメーカーがダメということではありません。あくまで主観です。そこで、多数量を導入する場合は、最低限、抜取りででも、事前にライフテストすることが望ましいです。先に挙げたメーカーは大丈夫でしょうが、安価な製品を扱う場合、この試験器を使用すれば電源回路の電解コンデンサの品質だけでも判断できる可能性があります。ただし、チラツキについてはこの試験器では判断できないです。
リップル
 LED電球は、直流で点灯させるので基本的にはチラツキは発生しませんが、直流といっても直流に交流分が重畳しています。これをリップルといいます。下の写真は右の輸入品のLED電球と左の国産品の比較ですがリップル分が全く異なっています。国産品はリップルがほとんどありません。これの測定法ですがDC5Vから5KΩでホトトランジスタのコレクタにつなぎ、そのポイントのデジタルストレージの波形です。

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回路説明

 電磁カウンタの都合で、電源電圧は24Vにしました。そのためPICには7805を通じて5Vを供給しています。電磁カウンタを使用したのは、このテスタが繰返されるインラッシュによる電解コンデンサの不良発見を目的にしたので、電解コンデンサが破壊したときに、PICの回路に影響が及びにくいであろうということからです。
AポートからのCK・DA・EN・LTは、このテスターに7セグ表示器を接続できるようにしたときのものでオプションになっています。
 A4ポートにつないだcdsがLED蛍光灯の点灯・消灯を感知しています。点灯時と消灯時でcdsの抵抗値が変わることをみています。蛍光灯の点灯・消灯は、灯具のAC電源の入切を24VのDCリレーで行っています。

      プログラムの説明  
蛍光灯の点灯・消灯の時間は、各々10秒で20秒周期です。
AポートからのCK・DA・EN・LTは、前述したように、この試験器に7セグ表示器を接続できるようにしたもので、オプションですので、関数display_clear()とdisplay()、及びメイン関数のwhile文の第2文のn=n+1は、本器では無視していることになります。蛍光灯が切れたときは永久にowari()が実行されます。
       ソースリスト
#include <16f84a.h>
#fuses HS,NOWDT,PROTECT
#use delay(CLOCK=5000000)
#byte RA=5
#byte RB=6
#bit light=RA.4
int j,x,f,n;

void led_flash(int flash,d_time) //仮引数flash,d_time
 {
  int i;
  for(i=0;i<flash;i++)
   {
    output_high(PIN_B0);
    delay_ms(d_time);
    output_low(PIN_B0);
    delay_ms(d_time);
   }
 }

void display_clear(int n)
 {
  for (j=0;j<24;j++)
   {
    x=n;
    x&=0x01;
    output_low(PIN_A1); //CK
    output_bit(PIN_A0,x); //DT
    output_high(PIN_A1);
    output_low(PIN_A0);
    n>>=1;
   }
  output_high(PIN_A3); //EN
  delay_ms(5);
  output_high(PIN_A2); //LT
  output_low(PIN_A2);
  output_low(PIN_A3);
  delay_ms(10);
 }

// DISPLAY ROUTINE
void display(int n)
 {
  RA=0x10;
  for (j=0;j<8;j++)
   {
    x=n;
    x&=0x01;
    output_low(PIN_A1); //CK
    output_bit(PIN_A0,x); //DT
    output_high(PIN_A1);
    output_low(PIN_A0);
    n>>=1;
   }
  output_high(PIN_A3); //EN
  delay_ms(5);
  output_high(PIN_A2); //LT
  output_low(PIN_A2);
  output_low(PIN_A3);
  delay_ms(400);
  RB=0x00;
 }


int on_off()
 {
  output_high(PIN_B7);
  output_high(PIN_B0);
  delay_ms(10000);
  output_low(PIN_B7);
  outPUT_low(PIN_B0);
  delay_ms(10000);
 }

int owari()
 {
  output_low(PIN_B7);
  led_flash(2,100);
 }

void main()
 {
  set_tris_a(0x10);
  set_tris_b(0x00);
  led_flash(2,500);
  n=0;
  display_clear(n);

 while(1)
  {
   if (light==1)
    owari();
   if (light==0)
    {
     on_off();
     n=n+1;
     display(n); 
    }
  }
 }

 右の写真は輸入品のLED電球の電源部のDCにリップルが重畳している状態です。DC25Vに対しリップルは約3Vp-pです。リップル率は
   (E
max-Emin)/Emean
ですから12%になります。

 下の4枚の写真はLED電球の電源部の突入電流の波形で、大型電解コンデンサに流れ込む過渡電流です。左上の発振しているような波形は輸入品のもので、他の3枚は国産3社のものでほぼ同じ波形です。明らかに電解コンデンサの質を表しているようです。

汎用性のある試験器
 今回製作したものは、PICで簡単につくれ、構成もシンプルになっています。本器は、発光体の光の有無を検出することがポイントになっていますので、LED蛍光灯専用としましたが、他のLED照明や、従来の蛍光灯やタングステン電球の試験もできます。