メーカーの資料によると、このメインアンプの特徴は次のように記載されています。
1.初段の大電流DUAL FETの使用によるスルーレート向上、入力信号とNF信号が合成されるサミングポイントでの過渡混変調歪の発生防止
2.2段目は差動2段増幅構成で裸特性の向上
カレントミラー回路、カスコード接続
3.プリドライブ段はhoeによるリニアリティ悪化を排除
4.出力段が3段ダーリントンで出力インピーダンスを下げ低歪
メインアンプではVr01、Vr02、Vr03の調整箇所があり、Vr01とVr02でスピーカーのホット、グランド間のDC電圧を最小にします。
Vr03でバイアス電圧を最小にしますが、測定ポイントはテスト端子で20±1mVにします。きっちりこの値には合いませんができるだけ近づけます。
Lチャンネルの各部のバイアス電圧を測定し標準値との違いを確認しました。
測定場所 | 標準値 | 測定値 | |
FET01a 1 | 13.5V | 12.5V | |
3 | 0.7V | 0.26V | |
FET01b 6 | 13.5V | 12.5V | |
4 | 0.2V | 0.255V | |
Tr01 C | 48V | 47V | |
E | 13V | 12V | |
Tr02 C | 48V | 47V | |
E | 13V | 12V | |
Tr04 C | -48.5V | -47.5V | |
E | 0.5V | 0.54V | |
Tr05 C | 2.2V | 2.45V | |
E | 49V | 48V | |
Tr07 C | 1.6V | -1.35V | |
E | -49V | -48V |
バイアス調整時不安定でしたのでメインアンプ基板の半固定Vr1、Vr2、Vr3を両チャンネルとも交換しました。
縦型の半固定はほとんどなく、日本橋のマルツでやっと見つけました。
スピーカーから破裂音発生
右チャンネルのスピーカーから破裂音が頻繁に出るようになりました。スピーカーが破壊されるほどの音です。最初はカリカリ音の程度でしたが段々大きくなる感じです。
ソースを換えても出るので発生源はメインアンプと思われます。スピーカー端子のDC電圧を測ると数十mmVありました。0Vが理想ですのでかなり高いレベルです。Vr1,Vr2で0V付近に調整し事なきを得ました。
測定時にはダミーが必要なので82Ω0.5Wのカーボン抵抗を10個パラ接続して使用しました。
半年毎位に調製する必要がありそうです。
マーキング部が不良部品です
突然閃光とともにバチッと音がし電源基板の4Aのヒューズが飛んでしまいました。
ヒューズを取り換え電源を入れるとLEDが点灯しなくなってオープン破壊され終段の
2SA745が短絡不良になっていました。
手持ちのトランジスタに適当なものがなかったので佐藤電気のサイトのリストに在庫が
1個だけあったのでネットで注文し到着後交換しました。
交換後電源を入れるとLEDの点滅ー常灯の動作は正常に戻りましたが、しばらくすると
再び点滅だけの状態になってしまいました。
ドライブ用の2SB537も短絡モードで潰れていました。しばらく動作していることをみると
半殺しになっていたようです。
この応急処置として手持ちの2SA1156に交換しました。
出力トランジスタが短絡破壊したため直流電圧が出力に出て、これをプロテクタ回路が検出したため、リレーがオンしなかったのです。
CR発信器からの信号を追っかけていくとR18の100Ωの入口には信号が出ていま
すが、出口には雑音状の波形しか出ていません。TR04,TR07を外してトランジスタチ
ェッカーにかけましたが正常でした。TR07のエミッタに繋がっているR25の150オーム
がオープン不良になっていました。これを交換するとスピーカーから音が出るようにな
りました。この抵抗は焼けた跡が確認できました。
交換した不良部品です
音出しは何とかうまくいきましたが、まともな音にはほど遠いものでしたので、各部について確認していきました。
まずFET01a,01bである2SK97のバイアス電圧は1ピン、6ピンは12.5V、3ピン、4ピンは約0.25Vでほぼ正常の範囲でした。
Tr01,Tr02はコレクタ47V、エミッタ12V、Tr05はエミッタ48V、コレクタ2.45Vで正常でした。
次にTr07を見たところエミッタ電圧が-38Vと正常値の-49Vよりかなり低い値になっていました。hFEを確認すると207でしたので444のものに替えると-48Vになりました。
R37、R43、R23が焼損していました。これらを交換すると正常な音が出ました。
基板上のパターンと回路図にはあるのですがTr10、D03、R33、R42、R44は実装されていませんでした。
交換したトランジスタはコ
レクタ電極が背面にないの
でリード線でコレクタピン
に半田付けしています。そ
の後2SA968をみつけました
ので入れ替えています。
メインアンプの事故部の抜粋です。R25は1/4Wでは無理があるのかもしれません。
テスターのリードの先端は
ショートしにくように絶縁
チューブを被せました。
焼けただれています。
まず、Lチャンネルのメインアンプからチェックします。
このメインアンプは差動入力の全段直結アンプです。
入力にオシロのプローブを当てると信号が確認できました。
これでプリアンプは大丈夫なことが判ります。
差動部の出力までは信号が確認できました。
いよいよメインアンプのチェックに取り掛かります。
ここでとんでもないことが起こってしまいました。
DC電圧をチェックするときにテスターのリードがタッチして
+51Vの端子とパワートランジスタ回路の出力端子をショート
さてしまったのです。
偶然、入手した山水のAU-607ですが、片チャンネルの音が出ていませんでした。
修理のため早速ネットで回路図を探しました。
このモデルは中々人気があるようで結構掲載されています。
しかし、ことごとく解像度が低く読取りにたえません、定数は判別不可のものがほと
んどでした。
回路構成はなんとか判別できます。
まず、電源を入れてみます。LEDが数秒点滅しその後常灯しました。
AUX入力にCR発信器を繋ぎ、スピーカーを接続して電源をいれると、Rチャンネルから
は音が出ましたが、Lチャンネルからは出ていないことが確認されました。
次に、基板にアクセスする為に蓋を外します。