まず底蓋を外します。
底蓋を外すと基板押えの菱形のプレートがあります。
回路はターマン発振器です。この回路はウイーンブリッジ発振器と原理は同じなのですが、差動増幅器を用いておらず負帰還がありません。電源は+13Vと−12Vの2電源で、同じ基板に搭載されています。発振周波数を決めるC,Rが、4700P、33Kでした。この値を f=1/(2πCR)
にいれると1KHzになりました。早速、発振出力にオシロを当てましたが、やはり発振をしている様子はありません。発振周波数を調整する半固定Vr1と、発振レベルを調整する半固定Vr2があるので、これを少しづつ動かすと、発振出力につないだオシロにそれらしき波形が現れました。確認すると1KHzでした。次に、Vr2で波形が歪んで極端に大きくなる手前で止めます。これで安定してきれいな正弦波を維持できました。どうやらうまくいったようです。もっと手こずると思っていましたが、調整だけで済んだことはラッキーでした。
又、E点はR6とVR2で分圧されています。ブリッジが平衡状態であればBE間に電圧が生じないため、Aの指示は0のはずですが、少しでもバランスが崩れると、Aには電流が流れます。それがQ1のベース電流です。これがQ1,Q2で増幅されます。発振周波数は最初に
1/(2πCR)とザックリ記載しましたが何故そうなるか見ていきます。計算の便宜上C3をC1,R2+VR1をR2、VR2をR7とします。
BE間の電圧をE1とすると
プレートを外すとスロットに挿入された基板が3枚見えます。右端の基板に発振回路が載っていました。
スロットから外した基板です。手前にあるのが発振回路です。左端の2個の半固定は周波数と発振強度の調整用です。
より
調整後の確認のため、適当に試料を抽出し計測してみましたが問題ないようでした。測定器に使用される部品は精度が要求されますが、誤差1%の部品だけで構成したとしても、経時変化、環境変化もあるし校正の大切さを感じます。
試料 測定値 ダイヤルの表示
0.1μF セラミックコンデンサ | 96nF |
0.047μF セラミックコンデンサ | 47nF |
470μF 電解コンデンサ | 392μF |
330μF 電解コンデンサ | 283μF |
33μH インダクタ | 31μH |
330μH インダクタ | 319μH |
外した基板から発振回路をリバースしました。
電解は30年以上前のものですが公称値の下限には入っているようです。