第147回
龍麻が女装して出かけるようです。
「龍麻、女装してどこ行くの?」
「おう、壬生。ちょっくら出かけてくるわ」
「いってらっしゃい。どこまで行くの?」
「まず、梅田の阪急百貨店を開店と同時に攻めて」
「うん」
「そのまま、横の阪神百貨店よって、ヨドバシひやかして、伊勢丹行って」
「うん?」
「地下鉄を心斎橋で降りて、大丸百貨店。梅田にもあるが、個人的にこっちが好き」
「……うん」
「最後に難波で高島屋行ってくる」
「龍麻……もしかしてチョコの試食食べる為に女装して行くの?」
「オフコース!!シングル狩人で行ってくる!」
「なにそのシングル狩人って!?」
友達と行くときはグループ狩です。
「ちなみに軍資金として諭吉を数人連れて行く」
「そんなに!?」
「馬鹿野郎!バレンタインの時期しか出ないチョコばっかなんだぞ!ここで逃したら一年待たないとなんだぞ!しかも来年ない場合もあんだ!念には念を入れていかんと!」
この時期しか来ないメーカーもあります。
「壬生、行かせてあげなさい」
「……御門さん?」
なぜかすべてを解った顔で御門が立っています。
「その時しか出会えない出会い、普段では考えられない価格設定、ありえない人ごみ、大手の豪華さ、狩人の目をした女子群……そう、バレンタインとは、チョコレートのコミケなのですよ!!」
当たらずとも遠からず。
(こいつは何でもコミケに例えるな……)
(御門さんが輝いてる)
「私はコミケには理解があります。さあ、行ってきなさい」
「……いや、そもそもなんで御門の許可がいるんだよ」
「コミケか……龍麻、頑張ってきてね」
「……いや、頑張るけどな」
よくわからない激励を貰って行きます。
「やはり、壁際最大手はゴディバなのか?」
「最近だとそうでもないようですよ」
「PP印刷、箔押し、チョコレートのカタログは不況でも豪華にしてますね」
「……カタログに着目してないでチョコ食えよ」
夜、無事生還した龍麻と戦利品を食べました。
チョコレート売り場の殺気は、コミケと似てると思います
今年は毎年買ってるポーチ入りチョコがなくて……なんでだよ!
マトリョーシカ型の缶いりチョコが気になりますが、買ってどうすんだと思わなくもなく
しかし缶が可愛いチョコは正義!
第148回
魔人の四人でアイススケートに行きました。
「……男四人でアイススケートか」
「新聞屋にタダ券もらったんだ使わないと損だろう」
「損得だけで考えると結局は損しますよ」
「せっかくだからいいじゃないですか」
とりあえずスケート靴をはいてリンクへ。
軽い滑りでスタートをきったのは壬生です。
「壬生、上手いな」
壬生に追いついた龍麻が褒めます。ちなみに龍麻もスケートは上手です。
「昔、スケート教室に行ってたから」
「え?スケート場でも暗殺するのか?リンク血まみれで子供にトラウマ植え付けるなや」
「……小学生の頃の話です」
「ああ、ごめんごめん。スケート好きやったんや」
「だって、スケートって一人でしてても変じゃないし……」
「……」
「キャッチボールもサッカーも壁うちだと寂しくてね……」
「おいちゃんが悪かった一緒に滑ってやるから落ち込むな」
「ありがとう」
そんな二人を見てる御門と如月は、
「美しい友情ですね」
「まったくだな」
ストーブ付近のベンチでゲームしながら汁粉を飲んでます。
「お前等はベンチでPSvitaしてんとすべれ!」
「滑れないので嫌です」
「僕が教えましょうか?」
「男同士で手をつないでスケートなど二次元で十分。お断りします」
相変わらず堂々とした態度の御門です。
「いいから習って滑れ」
「いやです」
考えました。
「……お前の新刊のネタになるかもしれんから滑れ」
「仕方ありませんね。いきますよ壬生」
「え?あ?はい」
「御門のプロ根性はすごいな」
「プロ根性なんか?あれ。ところでお前もなんで着いて早々汁粉タイムしとんねん」
「水と言えば如月流。ただし氷は含まない!」
「滑れんのやったら教えたるから……」
水と氷は違うので如月も滑れません。
15分後くらいに、飽きた御門と如月が元のベンチに戻ってきます。
龍麻と壬生は3時間くらい滑ってました。
最終的にトリプルアクセルとかきめてくる二人です。
第149回
「にてるとかにてないとか」
ノボリとトウヤがお茶をしています。
「……ピクを見てますとね」
「はい」
唐突にトウヤが喋り始めました。
「みんなジャンルは違えども大体同じようなキャラを好きになってるな、と思うんですよ」
「……はぁ」
わからないなりに相槌をうちます。
「例えば、リボーンの風紀委員長が好きな人間は高確率でお気に入りにデュラのナイフを入れてます。ナッポー好きは黒い執事を入れてます。似てるっちゃー似てるからわかるんですけどね」
※あくまで個人的な意見です※
「では、ノボリさんだと近しいのは何かしらと思い探してみたんですよ」
「とりあえず記号化すると、黒い、性的、受け、じゃないですか」
「そうなのでございますか!?」
「あ、僕は攻めのノボリさんでも全然美味しく頂けるのでそこはお気になさらずに」
食われてる時点で攻めじゃない気もしますが、流しました。
「で、見つかったのがポリライト」
「ポリライト?」
「映画泥棒に出てくる警察官(?)です」
「ポイントは黒くて性的、スーツでセクシー!」
「セクシー!?」
「ちなみに顔はパトカーの赤電球です」
「アレでございますか!?」
「イメージがそっくりだと思うのですがどうでしょう?」
「聞かれても困ります!」
「受けになると押しにえらい弱そうなところもバッチリだと思うんですが……」
「聞かないでくださいまし!」
「ちなみにクダリさんは、ポップンのスマイルに似てると思うんですよ」
「誰でございますかそれは?」
「ポップンミュージックというゲームです。動画あると思いますが見られますか?」
「はい」
動画鑑賞中。
「人間業とは思えない手の動きをなさってますね」
「ここまでいくと何が何やらですよね」
9ボタンとかそういうプレイです。
「ちなみに僕は体験版でギブしました」
「トウヤ様はよくゲームをプレイなされてますよね。ポケモン以外」
ポケモン以外という所に棘があります。
「……ポケモンもちゃんと解いてますよ?少なくとも殿堂入りはちゃんとしてます」
殿堂入り後からが本当のゲームスタートとか言われてますが、それはそれ。
「元々、ポケモンはGBの金で挫折したんですよね。またあの当時はネットとかないから詰まったら詰まりっぱなしですし」
「それをまたBWで始められたのですね」
「ええ、先ほど言いましたピクという画像サイトでノボリさんとクダリさんを見た時に「惚れたぁぁぁ!この二人に会いに行くー!」となりましてね、会いに来ました」
「画像サイトにわたくし達がいるんですか?」
「そこはお気になさらずに。簡単に言えば一目ぼれです」
納得はいきませんが、大人なので流します。
「そういえば、スマイルの好物はカレーでした。今夜はカレーにしましょうか?」
「それはブラボーでございますね!」
「でもポリライトさんは口がないから……」
「わたくしはポリライトじゃございません!!」
ノボリとポリライトは似てると思う
クダリを最初に見た時にスマイルを思い出しました
第150回
四人でファミレス
「今の地球の人口て46億人?」
龍麻が皆の箸袋でちまちま鶴を折りながら聞きます。
「多分そんなものだろ」
如月が和風ご膳を食べながら、興味なさげに相槌をうちます。
「宇宙人からしたら地球人が宇宙人なわけやん」
「まあ、そうですね」
御門もどうでもよさそうです、むしろ自分の頼んだタンシチューが外れだったと内心思っております。
「46億人も宇宙人が居る場所に数人でやってくるてどんな勇者か、とSF映画観たら思わんかね」
「映画的演出に正論で返すのはナンセンスですよ」
「どうでもいいから、さっさと食べろ」
二人の言葉に机に突っ伏した龍麻が恨めしげに言いました。
「食べようにも、僕のだけまだきてへんがな」
「「「…………」」」
複数で行くとたまにこんな事があります。
「龍麻、よかったら……」
壬生が自分の玄米定食を差し出しましたが、
「いいから食え」
龍麻が押し戻しました。
後の二人は無視して食べます。
この後、まだ食べてる龍麻を放って帰ろうとする忍者と陰陽師。
「お前らは本当に性格が悪い!!」
「早く食べろ」
「早く食べなさい」
「「ハリーハリーハリー……」」
「落ち着いて食わせろや!!!」
「……龍麻。僕が待ってるから……」
暗殺家は良い子です。