龍麻と壬生が高野山に来ました。
「高野山がにくい」
「どうしたの?龍麻」
「ケーブルカー降りたら空気がかわった」
「うん。空気が綺麗だよね」
「にくい・・・・力もった霊山がにくい。僕なんて家に居ても空気もかわらんがな!空気清浄機にも負けてるわな!」
「えっと・・・・でも龍麻が来てから庭のトマトが大きくなったって如月さんが・・・」
「それはコーナンで土を買ってきたからだ!」
(黄龍の力じゃなかったんだ・・・・)
「ちくそー。僕も自分の霊山欲しい・・・・」
「まあまあ、とりあえず散策しようよ」
「・・・・おう」
この二人だと歩いてもいいのですが、時間が遅かったのでバスへ。
「・・・・思ったより街だ」
「・・・・思ったより街だね」
土産物屋が並ぶ場所はかなり街です。
適当にお土産やさんへ。
「壬生、木刀欲しい」
「如月さんの店で買おうよ」
「じゃあ、こうやくん巾着欲しい」
「龍麻ふわふわした物好きだよね」
「好きですともさ!」
買ってあげました。
で、奥の院目指してぶらぶら。
途中には沢山のお墓が並びます。
「墓ー!」
「どうしたの?龍麻」
「いや、こういう巨大で苔むした墓を見ると、水木しげるとか宮崎アニメとか思い出して・・・・テンションが上がる・・・・はぁはぁ・・・いい」
(龍麻の萌えがわからない・・・・)
そして、龍麻達より少し離れたところで、
「ああ、苔むしたお墓最高・・・・こんな墓にサブマスのお二人と入りたい・・・・」
「・・・・トウヤ。早く行くよ」
「ねーねー、帰りにもう一回焼き餅食べようね!」
「あ、チェレン、ベル待ってって」
同じようなリアクションの子供が居ました。
「・・・龍麻。同族が居てるよ」
「嫌そうに言うない。・・・ホンマや、かわった子供やのう」
「・・・・君が言うんだ」
「僕は神様やからええの!」
「はいはい」
ちなみに苔むした古いお墓ばかりでなく、近代的なお墓もあるのが高野山。
「・・・・コーヒーカップがあるぞ」
「UCC。流石だね」
「何で2個!狛犬か!狛犬なのか!」
「龍麻、向こうにロケットがあるよ・・・・」
「誰のお墓だよ!!」
そして
『しろあり やすらかにねむれ』
シロアリ駆除のお墓もあります。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「これ、しろありは読めるのか?」
「そういう意味じゃないと思う・・・・」
さらにテクテク歩きますが、
「・・・・もう日が暮れるね」
「やっぱり朝からこんとまわれんな」
「九度山で時間使ったからね」
「あっこは蕎麦が美味かったから良し!まあ、高野山はまた、やわな」
「そうだね」
日が暮れると急激に寒くなるので、本日はここまで。
「次は天空乗るぞ!天空!」
「はいはい」
高野山。お墓好きにはたまらない山です。
にこにことトウヤがギアステ詰め所にやってきました。
「こんにちは。高野山に行ってきたんで、お土産でーす」
「高野山?」
「高野山でございますか?」
「ええ」
「・・・」
「・・・どこ?」
「ネジやまの裏からケーブルカー乗ってその先」
「そんなとこから!?」
「本当でございますか!?」
多分、嘘です。
「それはそれとして、お二人にお土産です」
鞄から紙袋を取り出すとノボリとクダリに渡しました。
「ありがとうございます」
「わーい、ありがとう」
わくわくと包みを開いて、中から出てきたのは、
『般若心経』
「「・・・・・・」」
「せっかくの高野山なので・・・・高野山ならではの物にしました」
なぜか頬をそめて言います。
「ならではすぎますよ!」
「普通、ゴマ豆腐とかじゃないの!」
「はっはっは、そんな普通のものなんて。錫杖と迷ったんですけど、あっちは高くて」
「普通でいい・・・・」
「普通がよろしゅうございます・・・・」
仕方なく貰ったお経をひらきますが、
「読めない・・・」
「読めません・・・」
しょんぼりな二人です。
(あー、可愛い・・・・・)
その姿に満面の笑みのトウヤです。
「・・・ボス達、どないしたん?」
「あ、クラウドさん。これお土産の焼き餅です。皆さんでどうぞ」
にっこりとお菓子箱を渡します。
「ああ、すまんな」
「焼き餅!!」
「あるじゃないですか!!」
「いやいや、お二人のしょんぼりが見たくて」
悪びれないトウヤです。
「トウヤー・・・」
「トウヤ様・・・」
「では、お詫びにこちらをどうぞ」
ポケットから取り出したのは、緑色の電車が揺れるストラップ。
「実はこちらが本当のお土産、『こうや花鉄道「天空」ストラップ』です。鉄道好きなお二人に」
「「!!!!」」
「ブラボー!スーパーブラボー!」
「スゴい!可愛い!嬉しい!!」
ストラップ片手に狂喜乱舞の二人を見て、
「喜んでいただけてなにより」
またも満面の笑みのトウヤです。
「そうそう、さっきの般若心経。僕の私物なんで返してくださいね」
「・・・・トウヤ、般若心経もちあるいてるの?」
「ええ、もちろん。暇な時に読むには最適ですよ?」
(((・・・変な子・・・・)))
「・・・・・なにか・・・・?」
ゆらり振り向くトウヤに三人は首がもげるほど横に振りました。
ウチのトウヤの趣味・写経、読経
「九龍。高野山行ったお土産だぞー」
「わーい」
「しかし高野山やのうて、九度山土産がメインやがな」
「ほうほう」
「とりあえず、柿羊羹」
「あ、これ好き」
「六文銭せんべい」
「瓦煎餅の形かえただけちゃいます?」
「気にするな。あと、柿カレー」
「柿カレー!!!???」
「おう、なんかあったわ」
「・・・・・・・」
真っ黒な箱に「柿カレー」
「・・・・・この、懐かしくて新しい味って何?」
「さあ、知らん」
「・・・・・なんで中身と味の説明が皆無なの?」
「気になるならカレー星人に食わせ。あいつなら食うやろ」
「そやね」
「ちなみに、食べたかった柿の葉寿司はなかった・・・・蕎麦屋ではあったのに・・・」
「デパ地下にあるやん」
「知ってるともさ!それやったらあかんの!土産で食べたいの!」
「・・・・奈良に行ったら?」
「そうやけど!そうやなくて!!!」
「・・・・・・・」
土産を貰っておいてなんですが、面倒くせぇ、と九龍は思いました。