ハヤトさんからウイングバッジを貰い、ヤミカラスのラスカの育て方のアドバイスを貰った。そして次に向かう街への行き方も。
ジムを出るとポケギアが鳴った。ウツギ博士だった。「卵が2つ……」
右はシンオウの知り合いから、左はウツギ博士から―おつかいで取りに行った卵を預かることになったのだ。
そして右のはもうすぐ生まれそうだった。
『たべるのか?』
ワニノコのダインが口をあんぐりと開ける。食べられてはたまらない、と一つをピカチュウのアリスに、もう一つをヤミカラスのラスカに渡してダインを抱え上げた。
「食べちゃダメ」
ダインをボールに戻す。ハヤトさんに勝ったことは褒めるけれど、相変わらず目を離すことは出来ない。
『、これコツコツ言ってるよ?』
アリスの声に卵に目を向けた瞬間、卵からポケモンが生まれた。
「ゲンさん! 卵が! 青くて小さいの! ポケモンが!」
青色のポケモンを膝に抱えながら電話を掛ける。相手はうんうんと、私の興奮した言葉にしっかり耳を傾けてくれている。
《そのポケモンはリオル、と言うんだ》
「リオルって……なんだかゲンさんのルカリオに似てます」
ゲンさんの声で落ち着きを取り戻した私は、彼のパートナーを思い出す。ルカリオは今も鍛練中なのだろうか。
《ああ、そうだろう。ルカリオはリオルの進化した姿だからね》
その言葉に驚いた。確かに似ているが、こんなに小さくてかわいらしいポケモンが逞しくかっこいいポケモンになるなんて。
ポケモンの進化には感心するばかりだ。
《リオルがちゃんを信頼したら、君の信頼に応えてその姿を変えるだろう》
それからゲンさんはシンオウの様子やルカリオについて話してくれた。ルカリオは今日も訓練に勤しんでいるらしい。
私もバッジを手に入れたことやウツギ博士から卵を貰ったことを話した。
《まだまだ大変だろうけど、君なら頑張れると私は思っているよ》
がんばって、ゲンさんの優しい言葉を胸に、私は決意を固める。
バッジ8つ集めてセキエイ高原を目指そう。
そしてあの赤髪と、シルバーと勝負して勝つんだ。
「キキョウシティに来たんだから、遺跡に行ってみよう」
というわけでやって来たのはアルフの遺跡。
リオルは―この子にはルキと名付けた―キョロキョロと辺りを見回している。そして時々、ぴたりと止まっては注意深く耳を澄ませ
様々な音を聞いていた。
ここに野生のポケモンはいないからそんなに慎重にならなくても大丈夫なのに、と口にしようとして止めた。まぁ好きにさせてあげようと思ったのだ。
ルキは私の前に立つと辺りを見渡して少しずつ進む。きっと私を守っているつもりなのだろう。そのかわいらしい姿に思わず笑みが浮かぶ。気の済むままやらせてあげよう。
『ここは……、安全!』
「うん、ありがとう」
ルキは嬉しそうに尻尾を振る。これがルカリオの姿になれば頼もしく映るのだろう。
アルフの遺跡には昔のポケモンを模した石像がいくつも並んでいる。壁には文字が刻まれており、それはどことなくアンノーンに似ている。
どうやら私は真剣にそれを眺めすぎていたらしい。ぐいぐいとルキが足を引っ張って私を出口の方に連れて行こうとしていた。
遺跡なんて、興味がなければただの廃墟にすぎない。ルキには廃墟なのだろう、ここは。
ところが、ルキはひどく緊張した様子で足を震わせていた。遺跡独特の雰囲気にあてられたようだった。
「……ボールに戻った方がいいね」
一人で遺跡を眺めているとかたかたとボールが揺れた。
ダインでもラスカでもない。このボールは、
「どうしたの、バルト」
ボールから出てきたのはお兄さん気取りのデルビル。
『変な感じするから、ここ』
「どうも」
デルビルと遺跡を廻る。遺跡にある砕けた石版にも挑戦してみたが解くより前に諦めてしまった。また次に来た時に再挑戦しよう。
「ねぇバルト、この遺跡、前に行ったあの神殿に似てるね」
『……オレは向こうの方が好きだな』
バルトの意見に私も頷いた。 キキョウシティから進路を南に取る。
気分によって連れ歩くポケモンを変えながら、次のジムのあるヒワダタウンへ。
|