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《美佐子切》 |
Remnants of Misako |
紙本着色、桐箪笥、桐箱 |
Handscroll(color on paper), paulownia box, drawers of a chest |
個展「図譜」より (Gallery PARC/京都) |
Solo exhibition “Biographies” (Gallery PARC, Kyoto, Japan) |
2015年 |
2015 |
祖母の嫁入り箪笥に残された着物や帯、簪など、部分を絵に描き起こした。出来上がった絵巻は、故人を偲ぶ絵画としてだけでなく、将来、着物の文様や、箪笥職人の意匠の記録、地域における庶民の嫁入り箪笥に関する文化を伝える資料としても機能することを望んでいる。展示方法は2種類に分け、一つは桐ダンスの引き出しだけを畳の上に並べ、中に絵を一枚ずつ入れたもの、展示台の上には仕立てた巻子を広げ、脇に保存容器として桐箱を添えた。箱書には、美佐子の歴史を記した。 |
I painted my grandmother’s belongings (Kimono etc.) which were in her chest of drawers made of paulownia wood. I noted her history on the boxes containing the artwork. I think that the chest contained her history, individual information and also social background. The painting is testimony for the future. What would people in the future think of our lives, when they look at the painting? |
撮影:守屋知樹 |
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豊かさを内包する記録のかたち −中尾美園「図譜」によせて− |
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京都芸術センタープログラム・ディレクター 山本麻友美
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何かが「物理的に存在する」ということがもたらす情報や感覚に驚かされたことはないだろうか。デジタル隆盛の今日において、そんな単純なことさえも喜びや恐怖に変わる経験を、私は日常的に繰り返している。 また、今回の展覧会からは特に手軽になった「記録」という行為についても改めて目をむける機会を得た。記録は、記録を行う本人にとっては記憶と直接つながるものであるが、見る人にとっては二次的な情報でしかない。抽象化されたインスタレーションとしての展示は、作家が経験したものを鑑賞者が直接なぞるものではないが、逆にそこに豊かさが内包され興味深かった。 彼女のバックグラウンドにある修復という技術について、私はあまり知識を持ち合わせていないので的外れかもしれないが、他の伝統と呼ばれる芸能や技術と同じように、時間の積み重ねの中で純化された様式、すなわち「型」の力を強く感じた。オリジナルを復元するという行為は、私が考えていた以上に表現の可能性を秘めているのかもしれない。純化した様式、型を極めることでこそ得られる自由がある。 |
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