ガラスの性質を調べてみよう
 
ねらい
 一般に、ガラスは透明な固体で、湿気や水や薬品に侵されにくい。しかし、普通の窓ガラスやビンに使われているソーダ石灰ガラスは、急激な温度変化に弱い。また、水に少し溶けて塩基性を示す。これらのことを確かめてみる。
準備と留意点
器具:ビーカー(200 ml〜300 ml程度×2個)、ガスバーナー、やっとこ(または試験管ばさみ)、鉄製の乳ばちと乳棒、作業用手袋、防護メガネ
薬品:フェノールフタレイン溶液、純水、ガラス片
 
・ガラス片は、板ガラスなどを切ったものか、スライドグラスを用いる。ガラス管でもよい。
・加熱したとき、急冷したときガラスが割れて飛び散ることがある。急冷したガラスは大きなひずみを持っているので、静かに置いておくだけで、突然破裂することもある。また、乳鉢で粉末にするときも破片が飛ぶことが多いので、防護メガネを必ずかける。
 
操作と留意点
【ガラスの加熱と急冷】
@ガラス片をガスバーナーで加熱する。
・加熱はガラスの先端から、徐々に温度が上昇するように初めのうちは炎の中に入れたり出したりしながら加熱する。急熱するとひずみや傷のある箇所から破裂して飛び散ることがある。
・炎色反応が出だしたら、炎の中に入れたまま強く加熱する。
A熱したガラスを一気に水道水を入れたビーカーに入れ急冷する。
・このとき熱したガラス片がビーカーの器壁に触れないように注意する。触れるとビーカーが割れることがある。
・水が部分的に沸騰して飛び散ることもあるので顔を近づけて観察しないように注意する。
 
【塩基性を調べる】
Bガラス片を鉄製乳ばちに入れて砕き粉末にする。
・いきなり鉄製乳棒でつつくとガラス片が飛びはねるので、初めは少しずつ力を加えていき割って、小さくしていく。
・乳鉢を雑巾で覆ってガラスを割っていくと飛び散らなくてよい。
Cガラスが十分粉砕され粉末になったら、その粉末をビーカーに入れる。
Dビーカーに純水を加え、よくかき混ぜる。
Eフェノールフタレイン溶液を1〜2滴加え、変色を確かめる。
 
実験結果とまとめ
@ガラスを徐々に加熱していくと、黄色い炎色反応が出てくる。
・さらに強熱を続けるとガラス自体が少し赤くなってくる。
・しばらくすると角が融けて丸くなってくる。
炎に触れている部分から少し離れている部分は触っても熱くない。
A水で急冷すると、ひび割れを生じ、先端部分が切断されて取れたり、網目のような細かいひびが全体に入り白く見えたりする。
・取り出して少し力を加えるだけでぼろぼろと細かく割れていく。
B硬いガラスだが力を加えるとだんだん割れて小さくなっていく。
Cガラス同士でこすれ合い粉末になっていく。
Dガラスの粉末に水を加えても目に見えて溶けてはいかない。
Eフェノールフタレイン溶液を加えると、赤く呈色する。
 
考察の例
【ガラスの加熱と急冷】
・ガスバーナーの炎の温度は、1,000℃くらいあるので、ソーダ石灰ガラスは、1,000℃以下で軟化するということがわかる。
・加熱すると金属と同じように赤く発光する。これは黒体放射の原理で、熱エネルギーが赤い光の電磁波となって放出されるためと考えられる。
・軟化すると丸くなってくるのは、水滴と同じで、液体の表面張力のため表面積の小さい形になろうとするためであろう。
・ガラスをガスバーナーで加熱しているとき炎が黄色く着色するのは、ガラス中の成分元素のナトリウムイオンの炎色反応の色である。
・加熱したガラスを水に入れると網目のような無数の細かいひびが入るのは、ソーダ石灰ガラスの線膨張率が比較的大きく、水に接した表面と内部とで温度変化に差が生じ縮む速度が異なってしまった結果、そのひずみのため微細な割れを生じたためと思われる。
 
【塩基性を調べる】
・ガラスは硬いが、その反面もろく割れやすい。
・鉄製乳鉢,乳棒でガラスが粉になったということから、鉄はガラスより硬く、粘りがあるということが言える。
・フェノールフタレイン溶液で赤く呈色したことから、ごくわずかだがガラスの成分が水に溶解し、水が塩基性になったと考えられる。
 
発展実験
@色ガラス片を加熱したり急冷したりしてみよう。
Aガラス管やガラス棒を使って、ガラス細工をしてみよう。
B実験器具用のホウケイ酸ガラスを粉にして水に溶かして液性を確かめてみよう。
・ホウケイ酸ガラスは、熱湯を入れたり、加熱して水を沸騰させても割れたりしないが、赤熱後、急冷すれば、やはり割れたり細かい網目状のひびが入る。粉にして水を入れてかき混ぜて、フェノールフタレイン溶液を加えても赤く呈色しない。水に溶出するアルカリ成分はあまりないと言うことであろう。
 
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