園の真ん中にあるホールから、賑やかな音楽や、こどもたちの笑い声が響いてきます。今年も発表会のシーズンを迎え、今日は年少組が舞台で練習をしているのです。ついこの間まで、お母さまと離れるのが難しくて涙が出ていた子が、みんなの真ん中で堂々と踊っています。いつも元気いっぱいで威勢の良い子が、恥ずかしそうにお友だちの後ろに隠れて固まっています。劇遊びにはあまり興味はないけれど、それなりにうまくこなして、早くお外に遊びに行きたいなあと思っている子もいます。舞台には上がりたくないけれど劇遊びの好きな子もいて、客席の隅からじっとお友だちを見上げています。
発表会には、学年なりの目標があります。年少組は、舞台に立ち、踊ったり歌ったりしてみるのが目標。年中組ではみんなで一つのお話を演じてみるのが目標。年長組になったら自分たちでお話を創作したり、絵本の話をアレンジしたり、歌詞やダンスの振り付けを考えたり、小道具大道具を製作したりと、自分の得意分野を何か一つでも表現して楽しむのが目標です。日々の中で生まれた成果物はなるべくそのまま舞台の上にあげてしまうよう努めます。舞台上の「今」に至るまで、こどもたちが辿った足跡がほんのり見えてくるからです。
劇遊びの良いところは、作るのも見るのも、時間がかかること。舞台上の劇そのものだけでなく、俯瞰して、クラス全体を大きな視点で見つめると、一年かけてゆっくり作っている、目に見えないはずの舞台が見えてきます。A君が細部までこだわって描いた木の絵。昼休みに毎日夢中で練習したけん玉を披露するグループ。後ろでひそひそ話をしている二人があんなに仲良くなるまでには、紆余曲折がありましたっけ。舞台袖に陣取るN君は、前には立たないけれど、タイミングよく太鼓を叩いています。どの子にも、その子なりの役どころがあって、出番があって、関係性があって、みんな違ってみんないいのです。さらにそれら一つひとつを詳しく見れば、一人ひとりの成長物語がある。なにげない日常の様子が、舞台の向こうに透けて見えてくるようです。
劇遊びそのものは、こどもにも保育者にも得意・不得意がありますが、そもそも、出来の良いものをお見せしようとして、発表会を開催するわけではありません。お話を演じて自分とは別のものになり切る面白さ。見られ、期待され、恥ずかしくなる緊張感。仲間と息を合わせる一体感など、劇遊びでしか味わえない、得難い経験がそこにあります。良し悪しのものさしを捨て、こどもたちの辿ってきた道程を感じながら「今」に焦点を合わせれば、不思議なほど胸を打たれる。だから発表会は、ちょっと大変だけど、やっぱりまたやりたいなと思ってしまう行事なのです。
シェークスピアの喜劇に「この世は舞台、人はみな役者」という有名なセリフがあります。演劇大国イギリスでは、どの人にも必ず役割が与えられている演劇の舞台を、引きこもりやコミュニケーション障がいなど、社会生活に困難さを抱える人たちの療育支援プログラムとして役立てているそうです。どの子にも、大切な役割がある。いつも、そのことに気づいていたいと思います。
(武田修子)
南無阿弥陀仏とは? 京都女子大学名誉教授/森田眞円/p>
今月の森田眞円先生の『育心』で、「南無阿弥陀仏」は「阿弥陀仏」に「南無(まかせる)」するという意味だけでなく、「南無せよ阿弥陀に」という意味もあり、私が阿弥陀仏に南無するのは、先に阿弥陀仏から南無せよとのはたらきがあったからだということを教えていただきました。
どんなに機嫌よく過ごしている中でも、ふと思い出したように「ママ〜」とよぶ子どもの姿をよく見かけます。淋しいのか、不安なのか、楽しい気持ちを伝えたくなったのか…? いずれにしても、その子どもにとっての「ママ」の存在の大きさをいつも感じています。
なるほど、「お腹が減ったのね」「眠いんだね」と、常に見続け聞き続けて、「ママにまかせてね」と包み込んでくれる「ママ」からのよびかけがあるからこその姿なのですね。
森田先生のお話を通して、「まかせよ。阿弥陀に」と、いつでもどこでも、常に私のことを見続け聞き続けて、よびかけ続けてくださる阿弥陀さまのおこころの温かさを改めて感じさせていただきました。
ママといっしょに美術館へ行く
美術館アートナビゲーター 元小学校長/牧井正人
2ページ目は、マッキー(牧井正人)先生の『アートで子育て』です。
今回は、福井県立美術館で開催された、リアルとデジタルの両方が楽しめる、マッキー先生企画の「0歳からの美術館・親子鑑賞会」の様子を分析されてご紹介くださいました。
「心地よい音楽のある部屋」や「椅子に座って鑑賞」できる環境を作ったり、「本物とデジタルを見比べられる」、見せ方の工夫をされたことによって、「静かにしなければ」の美術館の緊張感がなく、親子で楽しく対話したり、リラックスして絵を見たり、本物とデジタルの絵を自由に行き来して、宝探しのように楽しむ子どもたちの姿が多く見られたということです。
マッキー先生の企画はいつも、「美術は子どもには難しいもの」という概念が払拭され、「美術は、子どもこそ楽しむもの」という安心感をいただくことができますね。
親子で楽しく鑑賞できると、なおさら子どもたちにとっての美術の世界が広がり、豊かな感性が育っていくような気がします。
「健やかに生きる」を考える
美登里の健やか会代表/柳生美登里
『私の雑記帖』は、柳生美登里さんの「美登里の健やか会」での地域の保健室運営についてのお話です。
柳生さんは、看護師としての専門知識を活かし、さまざまなイベントを通じて、地域住民との交流を広げてこられました。
丁寧で温かな活動の輪が広がり、一人で悩まず誰かに相談できる環境で、誰もが健やかに過ごせる地域づくりが実現し、柳生さんが目指される、「望まない孤独死」が無くなるよう心から願っています。
貴重な原稿をありがとうございました。
鐘つき堂の大掃除 文・絵/三浦明利
今月の『お話の時間』は、ほし君とつきみちゃんが、鐘つき堂の大掃除で出会ったおじいさんから、いろんなお話を聞かせてもらいます。
紅葉の季節も終盤となってきました。インフルエンザに十分気を付けて元気に年の瀬を過ごしたいですね。
(鎌田 惠)
令和7年11月18日 ないおん編集室(〜編集室だよりから抜粋〜)

