NHK朝ドラ「あんぱん」から。〈「正義は逆転する」信じられないことだけど、正義は簡単にひっくり返ってしまうことがある〉〈じゃあ、決してひっくり返らない正義って何だろう〉〈おなかをすかせて困っている人がいたら、一切れのパンを届けてあげることだ〉(2025年4月1日放送)
朝ドラ「あんぱん」は、アンパンマンを生み出したやなせたかしさんと暢さん夫婦をモデルにしたドラマです。(ドラマの中では、「崇」と「のぶ」)
やなせたかしさんが、アンパンマンを生み出した背景には、辛い戦争体験があります。戦争で体験したことの一つが、「正義は簡単にひっくり返る」ということだったのです。
その中で、変わらない正義を求め、その正義を実践するのが、アンパンマンだったのです。
また、2025年4月3日放送では、次のような場面がありました。
幼少期の出来事。崇をいじめた男の子を、のぶが押し倒し怪我をさせた時の、のぶの母親(羽多子)の台詞です。
「のぶ、なんぼ自分が正しい思うたち、乱暴はいかん。痛めつけた相手に恨みが残るだけやき。恨みは恨みしか生まんがよ」
この台詞を聞いて、お釈迦さまの次の言葉を思い出しました。
「実にこの世においては、怨みに報いるに怨みを以てしたならば、ついに怨みの息(や)むことがない。怨みを捨ててこそ息む。これは永遠の真理である」(『ダンマパダ』第5偈)
書家である相田みつをさんは、
「セトモノとセトモノと ぶつかりっこすると すぐこわれちゃう どっちかやわらかければ だいじょうぶ やわらかいこころをもちましょう そういうわたしは いつもセトモノ」
という言葉を残されています。最後の「そういうわたしは いつもセトモノ」という言葉が、心に刺さります。
分かっているけど、止めることができない私。だからといって、開き直るのではなく、申し訳ないあり方だと受け止めた時、少しではあるけれど、違った生き方が生まれてくるのです。その少しを大切にしたいと思います。
大谷光真氏(浄土真宗本願寺派第24代門主)は、『世のなか安穏なれ』という書籍の中で、次のように述べておられます。
「大事なことは、宗教が人々の対立に油を注がないことです。対立を和らげ、怒りを収める方向に宗教が働かねばなりません。(中略)宗教者は、宗教が人間に利用されることについて見極めていかねばならないでしょう」
宗教に関わるものとして、心に留めておかなければならないことだと思いました。
最後に、お釈迦さまの言葉。
「すべての者は暴力におびえる。すべての生き物にとって生命は愛しい。己が身にひきくらべて、殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ」(『ダンマパダ』第130偈)
今年は、戦後80年の節目です。
(小池秀章)
若き心をふるさとにつなぐ 作家/玉岡かおる
今月の『育心』は玉岡かおるさんのお話です。
私の住んでいる長浜市でも、毎年春に「曳山祭り」という祭りが開催されます。4歳から小学校6年生までの子どもたちが、自町が持つ山車(曳山)の上で子ども歌舞伎を演じる、かなり盛大な祭りです。
長浜の市街地には各町が持つ山車(曳山)が12あり、毎年そのうちの4山が出番を務めます。
私の園の園児や卒園児も、毎年数名歌舞伎役者として出演しますので、必ず園の子どもたちを引き連れて曳山見学に出かけるなど、ウキウキ、ワクワクと園の空気も活気づきます。
その一方、玉岡さんのお話にもありますように、このような祭りを継続していくのは、滋賀の湖北地方長浜が直面している、少子高齢化、人口減少問題の中ではなかなか難しいようです。
しかし、街中の人々が「祭りを良いものにしよう」「祭りを成功させよう」と、同じ方向を向いて力を合わせる姿を、肌で感じることができる経験は、「故郷を愛するこころ」「故郷に誇りを持つこころ」の種となって、子どもたちの心に根付いていくような気がしています。
ふるさとの先人たちが築いてこられた文化を、未来を担う子どもたちへ、大切に手渡していきたいですね。
笑顔と喜びエッセンス ホッとハウスinおおの代表/梅林厚子
2ページ目は、梅林厚子先生の『子育ちフォーラム』です。
お話の中に出てきたように、アンパンマンの手遊びをしてみたり、膝に抱っこしてふれ合い遊びをしてみたり、子どもたちを喜ばせようといろんな遊びを仕掛けますが、遊んでいるうちにふと、子どもたちの笑顔やその姿に、逆に喜びや癒し、幸福感をもらっていると感じることがあります。
「ちいさきものの一挙一動に私たちは目を注がれ、喜びに満ち溢れる。まるで私たちが喜ぶことを知っているかのようです」と梅林先生が仰っているように、本当に、子どもは私たちを喜ばせる天才です。
そんな子どもたちと、感謝の気持ちいっぱいに、微笑みを交わし、膝の上の温もりを感じ合いながら、「笑顔と喜びエッセンス」を一緒に味わっていきたいと思います。
のび太君とおばあちゃん ひとり人形芝居・人形説き/安藤秀明
『私の雑記帖』は、ひとり人形芝居・人形説きの安藤秀明さんのお話です。
『ドラえもん』ののび太君とおばあちゃんのエピソードから、私たちにとっての「居場所」の大切さについてお話しいただきました。
「居場所」とは、安心できる場所、全てを認められている場所、自分以外の何者にもならなくてもよい場所、ゆるされている場所、ということだと仰っています。
仏さまのお慈悲のおこころに満ち溢れた場所であると感じさせていただきました。
貴重な原稿をありがとうございました。
ぼくが作るホットケーキ 文・絵/三浦明利
今月の『お話の時間』は、ほしくんコックさんがみんなのためにホットケーキ作りです。さて、美味しくできたかな?
暑い日が続きますが、皆さま熱中症に気を付けて、元気にお過ごしください。
(鎌田 惠)
令和7年7月10日 ないおん編集室(〜編集室だよりから抜粋〜)