「皆さんは『対話』と『議論』の違いについてどのようにお考えでしょうか。(中略)議論とは、自分や相手の意見をぶつけ合って、何が正しいのか『正解』を探していくものです。一方で対話とは、それぞれが考えている答えを持ち寄り、それを聴き合い、一緒に考えていくものです。その過程で、自分が正解だと思っていたことについて考えが変わったり、新たな気づきを得たりすることで、自分の世界を広げていけるのが対話です。」(『まことの保育』2024年12月号・加藤泰和「お話をよくきくこども」より)
私たちは「対話」をしているつもりが、「議論」になってしまっていることがあるのではないでしょうか。
小説家の高橋源一郎氏は、「対話は、相手へのリスペクト(敬意)と自己へのサスペクト(疑念)がなければ成り立たない」と言われています。
相手も私も、共に「アミダさまに心配をかけている煩悩具足の凡夫である」というところに、相手への敬いの心(敬意)と、私が必ずしも正しいわけではないという心(疑念)が、生まれてくるのだと思います。
自宅での看取りをしている花戸貴司医師の言葉。
「僕はなんとか一分一秒、命を延ばそうと、お薬やら検査であったり、点滴やそういうようなことを一生懸命考えていたんですね。(中略)ふと周りを見ると、家族やら親戚やら近所の方やらみんなが集まって、患者さんを見ておられるのに、僕一人だけが、患者さんだけじゃなくて、病気だけを見ていた」
ある医師が、「医者は、病気を見るのではなく、病人を見ることが大切だ」ということを言われていたのを思い出しました。
また、悩んでいる人の話を聞く時も、悩んでいる事柄に注目するのではなく、悩んでいる人をしっかり見ることを忘れてはいけないと、聞いたことがあります。
「何を見るか」が、とても大切だと思います。
アニメ「チ。―地球の運動について―」(2024年11月23日放送)より。
「文字はまるで奇跡ですよ。(中略)本当に文字はすごいんです。あれが使えると、時間と場所を超越出来る。200年前の情報に涙が流れることも、千年前のうわさ話で笑うこともある。そんなの信じられますか。私たちの人生はどうしようもなくこの時代に閉じ込められている。だけど文字を読む時だけは、かつていた偉人達が私に向かって口を開いてくれる。その一瞬、この時代から抜け出せる。文字になった思考は、この世に残って、ずっと未来の誰かを動かすことだってある。そんなのまるで奇跡じゃないですか」
約2500年前に、この世に誕生されたお釈迦さまの言葉(教え)が、文字として残されているお陰で、今、ここで、お釈迦さまの出遇われた世界に触れることができます。お経の文字は、想像を絶する世界を開いてくれるのです。
(小池秀章)
つながる場の大切さ 藍野大学学長/佐々木恵雲
今月の『育心』は、佐々木恵雲先生がご執筆くださいました。子育て支援の場「つながる場」について学ばせていただきました。
私の園でも、2カ月に一度0歳児の親子を対象に、『ぴよぴよタイム』という場を開いています。ベビーマッサージやアロマスプレー作りを体験してもらいながら、お母さんたちが(最近はお父さんの参加者も増えました)お子さんを膝に抱きながらフリートークを楽しんでくださっています。
しかし、核家族で初産、初めての子育てを頑張っている皆さんに、もっと気軽に参加していただきたいのですが、就園していないのに、こども園の催しに参加するのは、敷居が高く感じられるのか、なかなか参加者が伸びずにいることが気になっていました。
佐々木先生がお話の中で、職員さんや学生さんたちと取り組まれているように、「肩の力を抜いてゆるやかなつながりを作ることができる場」や、発信の仕方など、まだまだ工夫できることがあるのだと気づかされました。
また、藍野大学で取り組まれているように、学生さんたちが、子育て支援に関わる経験の場となっていることが、とてもステキなことだと感じました。
このように、様々な人たちと共に、子育てを社会全体で支援していける仕組みとして広がっていくと素晴らしいですね。
たけのこのピリリ和え 食文化・食育料理研究家/坂本佳奈
2ページ目は、坂本佳奈先生の『親子でにこにこクッキング』です。
タケノコが美味しい季節になってきました。シャキシャキのアスパラガスと合わせて、素早く仕上がるお料理をご紹介くださいました。ピリ辛仕上げにすると、おつまみにもなりそうです。
最近は、茶色い毛に覆われた皮付きのタケノコを目にすることがほとんどありませんが、幼い頃に竹藪から掘りおこされた、いただきもののタケノコの皮むきをした思い出が蘇りました。子どもの手では、毛がいっぱいの皮をむくのは大変ですが、むいてもむいても皮が下からあらわれるのが面白かったことを記憶しています。
機会があれば、園の子どもたちにも、そのような経験をさせてあげたいものです。
長浜のヤマトサンショウウオを守りたい
長浜バイオ大学教授/齊藤 修
『私の雑記帖』は、長浜バイオ大学教授の齊藤修先生のお話です。
「田村山生き物ネットワーク」を立ち上げて、地域の皆さんと地道な活動を経て、希少動物のヤマトサンショウウオの絶滅をくい止められたお話は、大変興味深いです。
また、地域の子どもたちと一緒に活動されていることによって、齊藤先生の思いが受け継がれ、動物たちが住みやすい自然の末永い維持が期待されます。
貴重な原稿をありがとうございました。
トントントンと子守唄 文・絵/三浦明利
今月の『お話の時間』は、お母さんの優しい「トントン……」でぐっすり眠ることができたほし君。お父さんとお母さんにも「トントン……」のお返しです。
五月晴れが爽やかな季節になってきました。子どもたちと手をつなぎ、散歩にでかけましょう。
(鎌田 惠)
令和7年4月15日 ないおん編集室(〜編集室だよりから抜粋〜)