『朝日新聞』で、哲学者・鷲田清一さんの「折々のことば」という連載が続いています。連載が、三千回を迎えたということで、「言葉を探すとは 聴くこと」という 記事が載っていました。(2024年2月16日)
その中で、鷲田さんが、「僕、子どもの言葉で一番好きなのが『ふうん』って言葉なんですよ。反発するでもなく、素直に受け入れるでもなく、意味もわかってないし興味も別にあるわけじゃない。でも、ちょっと心にひっかかってしまったという」ということを述べておられました。
私たちは子どもが曖昧な返事をすると、ちゃんと分からせなければと思ってしまいますが、『ふうん』という、ちょっとひっかかってしまったという感じを、大切にしたいと思いました。
2024年3月15日NHK朝ドラ「ブギウギ」での一場面。
高橋(刑事)「まあ、事情はよく分かりませんが、子どもの背中を見てると、我々はちゃんと生きなきゃいけないと思いますな。彼らは一生懸命ですから」
大野(家政婦)「ああ、子が親の背中を見るのではなぐ、親が子の背中を見で育つのかもしれません」
「子は親の背中を見て育つ」という言葉がありますが「親は子の背中を見て育つ」ということも、忘れてはいけないと思いました。
2024年3月21日NHK朝ドラ「ブギウギ」より。
徒競走で負けそうだから学校休むという娘(愛子)に、スズ子が言った台詞。
「逃げてもええ。立ち向こうてもええ。どっちにしろ、人生は大変な道のりや」
「逃げたらダメ」と言うのかと思っていたので、「逃げてもええ」という言葉が今風だと思いました。しかし、そのことより、最後の「どっちにしろ、人生は大変な道のりや」という言葉が心に残りました。
2024年3月29日NHK朝ドラ「ブギウギ」最終回、スズ子の最後の台詞より。
「自分のことは、自分でやる。やれんことは、やってもらう。ほんで、やれることは、やってあげる。人に生まれてきたからには、み〜んなに義理があんねん。その義理を果たすんが人情やとワテは思うねん。せやから、この世は義理と人情だらけや」
仏教の「縁起」(すべてのものは繋がり合い、支え合って存在している)という言葉が頭に浮かびました。
2024年5月17日「折々のことば」より。
「迷惑をかけたり、かけられたりしながら、濃厚で味わい深い人間関係が作られてきたのだ」
これは、免疫学者・多田富雄さんの言葉です。
迷惑をかけずに生きられる人はいません。「迷惑をかけるな」ではなく、「迷惑をかけている」と気づかせてくれるのが、仏さまの教えなのです。
(小池秀章)
阿弥陀さまとは? 京都女子大学名誉教授/森田眞円
今月の『育心』は、森田眞円先生のご執筆で、阿弥陀さまについて分かり易く教えていただきました。
み仏さま いつでもどこでも そばにいてくださって ありがとうございます(幼児のおつとめ奉讃文)
子どもたちの日常の中には、「み仏さま」(阿弥陀さま)が、身近に存在しています。
ずいぶん前のことですが、お泊り保育のきもだめしに参加した5歳児の子どもたちが、怖くて泣けて動けなくなってしまいました。どうなることかと様子を見守っていると、誰ともなく「なまんだぶ、なまんだぶ……」の大合唱が始まり、その場を無事に通り過ぎていったと、当時おばけ役だった前園長(父)に聞いたことがありました。
どうしようもなく怖くて不安な時に思わずこぼれた「なまんだぶ」が、いつでもどこでもそばにいてくださる仏さまに包まれている安心感となったのかもしれません。
毎年3月の卒園前に、園の「み仏さま」を、卒園児一人一人が描きます。今年度は、森田先生の育心のお話を、子どもたちと一緒に味わわせていただきながら、描いてみたいと思います。
「さよなら」を知った人生 育児漫画家/高野 優
2ページ目、高野優先生のお話は、いつも自分自身の子育てを振り返らせていただきます。
子育ての要所要所に訪れる、うれしいはずの我が子の自立の瞬間を、寂しく空虚に感じてしまう経験が、私にもありました。
朝から晩まで、常に一緒にいた娘が、初めて私の手を離れ、保育園の先生の胸に笑顔で飛び込んでいった瞬間。
友達との秘密を、ぜったいに話してくれなくなった瞬間。
晴れて大学生になり、他県への引っ越しの手伝いを終えて、ひとり自宅へ帰る道々……。
最後の学費や仕送りを、振り込み終わった瞬間。
うれしく、寂しく空虚ではありましたが、私も親として成長させていただいた、大切な瞬間でもあったような気がします。
さあ、娘がやがて訪れるかもしれない生涯のパートナーと結婚する日を、私はどんな気持ちで迎えるのでしょうか? そんな思いで、高野先生のお話を味わわせていただきました。
自分の人生を生きる 〜一日一生わくわく人生を〜 林 ともこ
『私の雑記帖』は、プロフィール写真からも感じられるように、すべてを受け入れてくださるような、優しく温かな笑顔で皆を包み込んでくださる、林ともこさんのお話です。
こころの不安を抱えた多くの子どもたちが、愛情いっぱいに包まれた環境の中で、笑顔を取り戻し輝きを放つ、そんな活動を続けられています。
「尊いいのちを精いっぱいに輝かせて、一日一日を大切に生きましょう」という、いのちのメッセージとして拝読させていただきました。
貴重な原稿をありがとうございました。
みんなで盆おどり 文・絵/三浦明利
今月の『お話の時間』は、仏さまになったおばあちゃんの思い出とともに、楽しい盆踊りのお話です。
猛暑の夏が訪れました。熱中症にご用心を。
(鎌田 惠)
令和6年6月17日 ないおん編集室(〜編集室だよりから抜粋〜)