家庭教育誌「ないおん」は、教育・子育ちをテーマに毎月こころのお便りをお届けしています

ないおん4月号(2024年4月1日発行)は

4月は、新しい年度の始まりであり、期待と不安が入り混じる時節です。
工藤直子さんの『まるごと好きです』という本の中に、「100人のひとに出会うと 100人の自分を発見することができるようだ」という文章がありました。新しい友だちと出遇うということは、新しい自分に出遇うということでもあるのです。「多くの人と出遇って、多くの自分と出遇うことができたらいいな」と思いました。
ただ、一番大切なのは、仏さまと出遇って、本当の自分と出遇うことだということも、忘れないでいたいと思います。

イチローさんが、高校野球女子選抜のチームと試合した次の日のミーティングでのことです。女子高生の「ピンチの時とか、チャンスの時とか、どういうメンタルで挑んでいるのか、教えていただきたいです」という質問に対して、次のような返事をされていました。
「よくピンチはチャンス≠ニか言うんだけど、そんなメンタルには全然なれない。まあ、少なくとも僕はね。だけど、後に、あのピンチは僕にとってチャンスだったんだと思えることは沢山あった。その瞬間は無理だよ。このピンチは実はチャンスなんだとはなれない。でも、それを超えられたら、後の自分があの時のピンチとかね、壁とか色々な表現があると思うけど、それは自分を前に進めるためのチャンスだったんだ≠ニいうふうになる日がきてほしいね」(2023年11月22日NEWS23)
あのイチローさんでも、ピンチの時にチャンスだとは思えない。だけど、後に、「あのピンチはチャンスだったんだ」と思えることは沢山あったというのです。
仏さまの教えを聞いたからといって、煩悩が出てこなくなるわけではありません。けれど、煩悩が出てきた後に、教えのはたらきによって、煩悩が出てきてしまったということには、気づかせてもらうことはできます。わずかなことのように思われるかもしれませんが、実は、そのことが、とても大切なことなのです。

2007年「ユーキャン新語・流行語大賞」で、持ちギャグ「そんなの関係ねぇ!」と「おっぱっぴー」の二つが大賞候補にノミネートされ、一躍有名になった小島よしおさん。一発芸人として、必ず名前が挙がる小島さんですが、最近、子どもたちの間で、大人気です。
小島さんのギャグ「おっぱっぴー」は、@「オーシャン・パシフィック・ピース」の略で、「太平洋に平和を」という意味と、A「オール ピーポー ハッピー」で、「みんな幸せになろう」という意味があるそうです。
また、別のギャグ「ピーヤ」を、漢字で書くと「比止」で、「比べるのを止めよう」という意味だそうです。
意味は、後付けかもしれませんが、ギャクの意味を味わうのもいいなと思いました。
(小池秀章)

育心

二度とない「いま」   相愛大学非常勤講師 善教寺副住職/赤井智顕

今月の『育心』は赤井先生のお話です。
春夏秋冬と、私たちは季節の移ろいを、肌で感じ、目で感じ、匂いで感じ、こころで感じその趣を味わいます。
赤井先生のお話の中にもありました、春への移ろい(無常)の様は、桜の花やたんぽぽ、春風に包まれて、温かく、明るく、新しい趣があります。
ところが、園の3月〜4月というものは、0歳から6歳までを共にした思い出いっぱいの卒園児を見送り、その余韻に浸る間もなく、新たに入園児を迎え、そして、信頼関係を築きながら新しい生活をスタートさせていきます。
もちろん保育者たちは、卒園の瞬間も入園の瞬間もとても大切に、精一杯の気持ちで臨んでいますが、本当に息つく暇がない季節です。
しかし、「一瞬一瞬、変化し続けるいのちの営みのなかで、私たちは二度とない『いま』を生きている」という「無常」の教えに気づかせていただくことで、子どもたちの、輝きに満ちた尊い「二度とない『いま』」を、より深く心に残しておけるのだと感じました。
二度とない日常の中で、子どもたちの姿を見つめていきたいと思います。

子育ちフォーラム

はじめての登園 世界が広がるとき    ほうりんこころ幼稚園園長/武田修子

2ページ目『子育ちフォーラム』は、武田修子先生がご執筆くださいました。
新しい出会いの季節は、期待に胸が膨らむ一方、園のあちこちで子どもたちの泣き声が響きますが、武田先生はそれを「新入園児さんの元気な泣き声」とされています。
大声で泣く我が子を、不安な気持ちで送り出す保護者の皆さんにとって、「泣き声」が一気にマイナスからプラスに感じられるのではないでしょうか。
保育者もまた、新しいクラスでの子ども達や保護者との出会いに、うまく信頼関係が築けるかどうかと、不安や緊張があるかもしれません。
武田先生のお話の中にもありますように、「子どもたちのいのちとその成長への信頼」の気持ちで、お父さん、お母さん、保育者も、皆で子どもたちの成長の姿を温かく、敬意をもって見守りたいですね。
きっと、泣き声がにぎやかな笑い声となる日は近いと思います。

私の雑記帖

音楽はごまかせない   シンガーソングライター/二階堂和美

『私の雑記帖』は、シンガーソングライターの二階堂和美さんのお話です。
亡き父は「いのちの記憶」が大好きでした。病室のベッドの上で、何度も頷きながらしみじみと聴いている姿が思い出されます。
「いまのすべては過去のすべて 必ずまた会える懐かしい場所で。いまのすべては未来の希望、必ず憶えてるいのちの記憶で」
そして今は、仏さまのお慈悲のこころを感じ、未来を向く力となってくれる、私の大切な歌として聴かせていただいています。
貴重な原稿をありがとうございました。

お話の時間 つきみとほし28

春のお絵かき   文・絵/三浦明利

今月の『お話の時間』、つきみちゃん、ほしくん、お母さんの春のお絵かきは、温かい春の香りと音が感じられるようです。

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新しいスタート、ウキウキの毎日が待っています。
(鎌田 惠)

令和6年3月18日 ないおん編集室(〜編集室だよりから抜粋〜)

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