家庭教育誌「ないおん」は、教育・子育ちをテーマに毎月こころのお便りをお届けしています

ないおん12月号(2023年12月1日発行)は

以前、あるご門徒からのご依頼で、ご法事を勤める機会がありました。ご依頼くださったのは80代のご夫婦。42歳でお亡くなりになった息子さんの十三回忌のご法事でした。当時、新型コロナウイルスが流行していた状況もあり、ご法事に参加されたのはご両親であるご夫婦と、息子さんのお姉さんの3人でした。
ご一緒にお勤めをあげ、法話をさせていただいた後、息子さんのお母さんが、息子さんを亡くされてからのご自身の聞法の歩みを、しみじみとお話くださったのです。
わが子を亡くされ、深い悲しみを抱きながらの日常生活。当時はなかなか心が動かず、外出もあまりされない生活を送られていたようです。そんな悲しみのなかにあったある日、ご主人さまと散歩しておられた時に、たまたま自坊の前に設置していた掲示板をご覧くださったとのことでした。

『掲示板に法座の案内が張られてあって、「どなたでもご自由にお参りください」と書かれてありました。思い切って主人とお参りさせていただいたのが、お寺さんとご縁をいただいた最初でした。』

息子さんのお葬儀は、当時、宗教を持たれていなかったご夫婦が、無宗教での葬儀をつとめられましたので、お寺が関わることはありませんでした。ご夫婦とのご縁をいただいたのは、確かにこのお聴聞の時からだったのです。

『あの時、はじめて聞かせていただいたお話の内容は、「他力」のお話でした。阿弥陀さまや先立っていかれた方に、私たちはお念仏の姿に導かれ、育てられていくというお話。いま思えばむずかしい内容で、正直ピンとくるものではありませんでした。しかし、何かひかれるところがあって、私たち夫婦のお聴聞がはじまりました。あの時のお聴聞が、私が仏縁をいただいた時だったように思います。』

そして、今のご心境を次のように仰ってくださいました。

『しかし、今は何となく分かる気がします。あの子がいなければ、私は仏さまの教えに出あうことはありませんでした。あの子との別れがなければ、今日のお念仏の姿はありえませんでした。しみじみとそのことを感じています。悲しみは一向に無くなりませんが、不思議と今はあの子に、「あなたのお陰で」と掌を合わすことができます。悲しみのなかに、ほのかにある温かさを、別れのなかにあっても、確かにつながっている世界のあることを感じています。』

そう言ってお念仏を称えておられた姿が、今も脳裏に焼きついています。悲しみが悲しみだけで終わらない、別れが別れだけでは終わっていかない教え、それが今ここに届けられている「南無阿弥陀仏」のお念仏の教えであることを、あらためて教えていただいたご縁でした。
(赤井 智顕)

育心

うちの子はお浄土へ   
教恩寺住職 シンガーソングライター/やなせなな

やなせなな先生の『育心』を拝読しながら、往生された親しい方々の姿を思い出しました。祖父母、叔父叔母、従姉妹、恩師、友人、同僚、そして父。
身近な人が亡くなるということは、本当に辛く悲しいことです。しかし、阿弥陀様に抱かれてお浄土へ往き、私を待っていてくれているんだと思えば、妙に心が落ち着いてくるような気がします。阿弥陀様がいてくださって本当に良かった。と感じる瞬間です。
やなせ先生のお話の中の「お母さん」のように、我が子をある日突然亡くされる悲しみの深さは、想像を絶することでしょう。
それでも我が子を亡くした悲しみを受け止めながら、「南無阿弥陀仏」とお念仏申される「お母さん」に頭が下がります。私もまた阿弥陀様に抱かれているように感じ、「南無阿弥陀仏」とお念仏がこぼれました。

レッツゴー!保育カウンセリング

「非日常」での気づきを「日常」につぶやいて 〜親になってよかったな〜   
教育・心理カウンセラー 子ども家庭教育フォーラム代表/富田富士也

2ページ目は、富田富士也先生の『レッツゴー! 保育カウンセリング』です。
私の園でも、月に一度の職員会議の際に、4人1組ぐらいのグループに分かれ、15分ほどのグループワークをすることがあります。テーマは、その時々に生じた保育の中での課題についてや、「ないおん」のお話を読んで感じたことなどを、自由に話し合ったりしています。
たった15分の短い時間ですが、「自分が気づいていなかったことに気づけた」「自分とは違う他の人の考え方、見方を知ることができた」「視野が広がった」「物事を柔軟に捉えることができた」などの感想が得られ、有意義な時間(「非日常」)となっています。
富田先生の研修での、「私」という文字からのワークは、とても興味深いと感じました。私の園のワークでも、是非やってみたいと思います。
皆が、いろんな「自分」を見つけ、もちろん「〇〇ちゃんの親になれて良かったなぁ〜」と感じることができたら素晴らしいなと思いますし、「保育士になって良かったなぁ〜」と分かち合うことができたら、とても嬉しく幸せだなと思います。

私の雑記帖

信仰が違う夫婦が考える『宗教二世問題』と『多様性』とは   
落語家/露の団姫

今月の『私の雑記帖』は、落語家の露の団姫さんのお話です。
恥ずかしながら私は今まで、「宗教二世問題」や、それにかかる「多様性」について考えたことがありませんでした。
多様性の時代を生きていくには、どんなに血の繋がった家族でも、それぞれの思いや生き方を尊重し、「強制」より「共生」を大切にしていくことが重要であると学ばせていただきました。
貴重な原稿をありがとうございました。

お話の時間 つきみとほし25

おもちゃとドクター   文・絵/三浦明利

今月の『お話の時間』は、題名を聞くだけでも、なんだかウキウキします。つきみちゃんとほしくんは、大切なおもちゃを「おもちゃドクター」に治してもらい、こころ温まる年越しになったようです。

line

ジャンバーやコートが恋しい季節となりました。お風邪に気を付けて、元気にお過ごしください。
(鎌田 惠)

令和5年11月15日 ないおん編集室(〜編集室だよりから抜粋〜)

目 次