家庭教育誌「ないおん」は、教育・子育ちをテーマに毎月こころのお便りをお届けしています

ないおん2月号(2023年2月1日発行)は

昨年の12月28日、40年以上の長きにわたって、「ないおん」の先頭を走り続けてくださった丁野惠鏡先生がご往生されました。ご往生の一報を聞き、大きな喪失感を抱えながら、いまこの「編集室だより」を書いています。個人的な話を含みますが、先生との想い出を書かせていただくことをお許しください。
実は昨年11月、先生のご自坊で勤まりました報恩講法要にお招きいただき、ご自坊で療養されていた先生とお会いしたばかりでした。コロナの影響もあって、本当に久しぶりにお会いさせていただき、わずかな時間でしたがお話することもかないました。これからの「ないおん」のこと、先生のお身体のご様子などをひとしきり聞かせていただいた後、「身体のことがありますので、本堂からスピーカーを引いた自室で、ゆっくりお聴聞させていただきます」といわれ、静かにお念仏を口にかけられながら部屋を後にしていかれた後ろ姿が、私の見た先生の最後のお姿でした。

思い返せば、先生と初めてお会いしたのは2015年の11月でした。先生のご自坊からほど近いお寺さまへ、お話に寄せていただいた折、お聴聞にお越しくださった先生が控え室にまで来てくださった時のことです。予期せぬご訪問と、その時、「ないおん」原稿執筆の予期せぬご依頼をいただき、とても驚いたことを覚えています。当時、保育園や幼稚園などで幼児教育に関わりのなかった私は、「私などにはとても書けないかと……」とお伝えするのですが、先生の励ましの言葉と、あの柔らかなお顔に強く背中を押されて書かせていただいたのが、いまに続く「ないおん」とのご縁がつながる機縁となったのでした。

「ないおん」がこれまで紡いできた歴史は、先生の卓越したリーダーシップと、幼いいのちへ向けられた慈愛の眼差しなくしてはあり得ませんでした。まさに先生のご生涯は幼児教育、とりわけまことの保育への情熱に貫かれたものでした。
いま改めて先生の書かれた『照育のひろば』を開いています。どの行間からも幼いいのちと向き合われながら、ともに喜び、ともに育まれてきたことへの先生の感動の声が響いてきます。「あとがき」に記された、「ふりかえってみますと、私は幼児教育(保育)に携わって43年、多くの方たちのお育てをいただき、保育の道を歩まさせていただきました」との言葉が、先生のご生涯がどのようなものであったかを物語っています。
丁野惠鏡先生のご往生の報に接し、先生からお育てをいただいた一人として、ここに心から感謝申し上げます。
(赤井智顕)

育心

悲しみの中に開かれる世界 ー愛猫との別れを通してー   
浄土真宗本願寺派教恩寺住職 シンガーソングライター/やなせなな

今月の『育心』は、大切なご家族、猫の「ぎんじろう」君と「こゆき」ちゃんとの別れを通して、やなせななさんがご執筆くださいました。
頭では理解していても、できることならば先へ先へと退けていたい、いとしい存在との別れの時、やはりどうしても、避けることができない悲しみや喪失感という苦難を思い知らされます。
何気ない日常の中での数々の面影、あるいは、人生の大事な岐路で支え、励まし、導いてもらった存在の大きさを思い、心を整えるすべを、自ら持ち合わせることができません。
「そんな思いやはからいを超えて、確かに至り届くお念仏がここにありました」と、お話の中にやなせさんの言葉がありました。
「いとしい存在との別れの悲しみ」は、お念仏のぬくもりに触れ、仏さまのお慈悲のこころを聞かせていただくご縁と、受け取らせていただきたいと、しみじみ感じました。

子育ちフォーラム

子どもが安心するために何をするべきか 〜「保育スーパービジョン」の取り組みから   
子どもと保育研究所ぷろほ所長/山田眞理子

今月の2ページ目は、山田眞理子先生の『子育ちフォーラム』です。
支援が必要と思われる子どもが安心して過ごせるために、どの園でも、日々悩みながら保育を模索されていることでしょう。
山田先生の研修を受講させていただいた際に、支援が必要と思われる子どもの姿は、保育者が「困っている姿」ではなく、その子どもが「困っている姿」なんだということを伺ったことがあります。
以前、「恭敬童子(くぎょうどうじ)」という言葉について学ばせていただいたことを思い出しました。
これは「子どもを敬うこころ」をあらわす言葉で、子どもと真剣に向き合い、こころの声に耳を傾け、子どもの世界観を感じ取っていくという、保育者として最も大切にしなくてはならない仏さまのお慈悲のおこころだと学びました。
「その子に関わる保育者が、この子の辛さや悲しさを理解して関わることで、その子どもを安心させるために何をすべきか」をご助言くださる「保育スーパービジョン」は、まさにそれを実践してくださる取り組みだと感じました。

私の雑記帖

未来に向けた街作りを 子ども達と共に   
湖北市民会議代表 (株)高橋金属代表取締役/高橋康之

『私の雑記帖』は、湖北市民会議代表 煖エ康之さんのお話です。
煖エさんのお話を通して、世界や地域を取り巻く社会的課題を、人任せにするのではなく、自分事として受け止め行動していくことの大切さや、その課題解決は、何かの犠牲の上に解決していくものではなく、学び合い知恵を出し合って、皆がプラスに転じていくことこそが、持続可能な未来を作り出す。という多くの学びをいただきました。
今回のお話は中学生を巻き込んだ活動でしたが、地域の園児のSDGsの活動にも多く関わり、未来の人材育成に、広く尽力くださっています。
貴重なお話をありがとうございました。

お話の時間 つきみとほし15

冬はあったかぽっかぽか   文・絵/三浦明利

今月の『お話の時間』は、寒い冬の日、体もこころも包み込んでくれる暖かさを感じた、つきみちゃんとほしくんのお話です。

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寒中の折、皆さんお元気でお過ごしください。
(鎌田 惠)

令和5年1月7日 ないおん編集室(〜編集室だよりから抜粋〜)

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