家庭教育誌「ないおん」は、教育・子育ちをテーマに毎月こころのお便りをお届けしています

ないおん9月号(2022年9月1日発行)は

先日、あるご門徒のお宅へ、ご法事のお参りに伺った際の事です。『阿弥陀経』のお勤めをご一緒させていただいた後、お参りの方から「『阿弥陀経』には、なぜ「舎利弗」という言葉がたくさん出てくるのですか?」とのご質問をいただきました。
お経の多くは、お釈迦さまがお弟子からの質問について答えていかれるというスタイルで説かれています。けれど、『阿弥陀経』は誰からも質問されていないお釈迦さまが、お弟子である舎利弗尊者へ一方的に語りかけられる、特徴的なスタイルで説かれているのです。
お釈迦さまが舎利弗尊者に呼びかけられること、実に三六回。お釈迦さまは舎利弗尊者に向かって、阿弥陀さまという尊い仏さまがいらっしゃることや、阿弥陀さまの建立された極楽浄土の素晴らしさ、そして浄土には「南無阿弥陀仏」のはたらき一つで往生できることを告げられ、この阿弥陀さまの救いの真実性を、あらゆる仏さま方が証明してくださっていることを語られていかれるのでした。

しかし何故、お釈迦さまは誰にも質問されていないにも関わらず、舎利弗尊者に向かって阿弥陀さまの救いを語っていかれたのでしょうか。実は『阿弥陀経』に説かれる阿弥陀さまの救いこそ、お釈迦さまがどうしても伝えたかった教えだからである、と受け止められたのが親鸞聖人でした。
ご質問くださった方にそのことをお伝えしますと、「それはいい事を聞きました。だったら『阿弥陀経』を読ませていただく時は、「舎利弗」という箇所に自分の名前を入れて読ませていただくのが良いですねぇ」と仰ったのです。

親鸞聖人が尊敬された中国の善導大師は『阿弥陀経』に関する『法事讃』という書物を著されています。この書のなかで大師は、
「釈迦如来、身子(舎利弗)に告げたまふは、すなはちこれあまねく苦の衆生に告げたまふなり」と示されました。『阿弥陀経』に「舎利弗よ、舎利弗よ」とお釈迦さまが語りかけられているのは、実は舎利弗尊者だけではなく、苦悩を抱えて生きるこの私に向かって、お釈迦さまが阿弥陀さまの救いを説かれているのだといわれるのです。
お経の言葉は、私と無関係なものとして説かれたものではありません。自分の力ではどうすることもできない苦悩を抱えて生きる私に、生きる力と依りどころを与えてくださるもの、それが仏さまの教えです。『阿弥陀経』に登場する「舎利弗」の箇所に、自分の名前を入れて読んでみる。もしかすると、お経の言葉がまた違った響きで聞こえてくるかもしれません。
(赤井智顕)

育心

一緒に成長する   超勝寺住職 著述家/大來尚順

大來尚順先生がご執筆くださいました今月の『育心』を拝読して、私の園の風景がいくつか思い出されました。
プール遊びで「先生見ててや!」と、息をいっぱいに吸い込んで、顔を水につけようと頑張るK君。
「先生、数えて」と、縄跳びチャレンジカードの後ろ跳びをクリアするために、何度も挑戦するSちゃん。
「先生見て!」と、コマ回しが出来るようになるまで、繰り返し練習するT君。
子どもたちが、それぞれの目標を達成するために、失敗を乗り越えながら、一生懸命繰り返し取り組み、成長していく姿です。
そんな子ども達の成長を見守る親や保育者にとって大切なことは、仏さまの「慈悲」のこころであり、「苦しみに寄り添うことで安心を与える」ことだと学ばせていただきました。
子どもの葛藤を見ているのが辛くて、ついつい手や口を出したくなってしまいます。子どもが「自ら苦しみを乗り越えて行ける力」を信じて、保育者はじっと見守る姿勢を大切にしていきたいと感じました。

赤坂葉子の心理学的子育て!

子どものキャンパスに何を描こうか♪   コミュニケーショントレーナー/赤坂葉子

2ページ目は、赤坂葉子先生の『心理学的子育て』です。
近年、保育所保育指針、幼稚園教育要領、認定こども園教育要領のいずれにも記されている「幼児期の終わりまでに育って欲しい10の姿」は、「健康な心と体」「自立心」「協同性」「道徳性・規範意識の芽生え」「社会生活との関り」「思考力の芽生え」「自然との関り・生命尊重」「数量・図形・文字等への関心・感覚」「言葉による伝え合い」「豊かな感性と表現」です。
その具体的な目的の中には、「思い巡らす」「生み出す」「自信をもって」「喜びを感じる」「楽しむ」「気づく」「感じ取る」「分かち合う」「心を動かす」といった言葉がふんだんに使われています。このような力は、知識のみを詰め込むのではなく、赤坂先生のお話にもあるように「体験を経て感情を発達させ」ることで育まれます。
そして7歳までの子どもにとって、親や保育者との共同作業(関わり)が、いかに重要かを改めて感じました。
「トライ=楽しい!」「人=温かい」という感性を育んでいきたいと思います。

私の雑記帖

心を鍛える    NGO・EPCS/おいもっち先生(今村忠彦)

『私の雑記帖』は、おいもっち先生(今村忠彦先生)の、「土と木と水のSDGsプロジェクト」。
私の園にも来ていただきました。
園児が、実際にパワーショベルで、園庭の砂場作業をしているおじさん達の様子を見せていただいたり、zoomでリアルタイムに道路工事中のおじさんとお話をさせていただきました。
社会とは、自分たちのために汗を流して一生懸命作業してくださる方のお陰で成り立っていることを感じ、「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えたり、清々しく「挨拶」をして、子ども達の「心を鍛える」貴重な機会をいただきました。

お話の時間 つきみとほし11

十五夜のつきみ   文・絵/三浦明利

『お話の時間』は、十五夜のお月さまを見ながら、いつも一緒にいてくださるみ仏さまを感じたつきみちゃんとほしくんのお話です。

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厳しい残暑の折、今少し水遊びを楽しみましょう。
(鎌田 惠)

令和4年8月18日 ないおん編集室(〜編集室だよりから抜粋〜)

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