家庭教育誌「ないおん」は、教育・子育ちをテーマに毎月こころのお便りをお届けしています

ないおん8月号(2022年8月1日発行)は

8月と言われて思い出すのは、「夏休み」や「お盆」という言葉ですが、それとともに、やはり、平和について考える月でもあると思います。8月15日の終戦記念日に合わせて、さまざまなテレビ番組も放送されます。
ある人が、「戦後○○年、という言葉を使うが、今は戦後ではない。戦争と戦争の間だ」と言われました。確かに、今後絶対に戦争はないと言い切れるのなら、今は戦後と言えるでしょう。しかし、日本は今、戦争状態にないけれど、未来に戦争が行なわれるとしたら、今は、先の戦争が終わって、次の戦争が始まるまでの間だということになるのです。悲しいことですが、それが正しい受取りかも知れません。
狭い部屋でこのようなことを考えている間も、世界では戦争状態にある国もあります。一刻も早く今の戦争が終わり、世界全体が戦後になることを願うばかりです。

お釈迦さまの言葉として、次のようなものが伝えられています。
「実にこの世においては、怨みに報いるに怨みを以(もっ)てしたならば、ついに怨みの息(や)むことがない。怨みをすててこそ息む。これは永遠の真理である」(『ダンマパダ』第五偈)
怨みを怨みで返すと負の連鎖が止まりません。現実問題、それを止めることは至難の業ですが、忘れてはならないことだと思います。
また、次のようなものもあります。
「すべての者は暴力におびえる。すべての(生きもの)にとって生命は愛(いと)しい。己(おの)が身にひきくらべて、殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ」(『ダンマパダ』第一三〇偈)
殺してはならない、と同時に、殺させてもならない。これも大切なことだと思います。
現実の問題をすぐに解決出来るわけではありませんが、お釈迦さまの言葉を心に留めておきたいものです。

2022年6月2日NHK朝ドラ「ちむどんどん」より。
主人公暢子の姉・良子が「うち、母親になれるかな? 正直、この子をうまく育てられるか自信がない」 と、母に不安な心を打ち明けます。すると、母・優子は、「お母ちゃんも同じだった。大丈夫。子どもが母親にしてくれるから」 と答えました。完成された母親がいて、子どもを育てているのではありません。「子どもが親にしてくれる」。このことを忘れてはならないと思います。

「ちむどんどん」より、もう一つ(6月23日放送)。
暢子が母に、「うちのいいところはどこ?」と尋ねます。それに対して、母・優子は、「『ありがとう』と『ごめんなさい』を大きな声で言えるところが、暢子の一番いいところよ」 と答えます。
『ありがとう』と『ごめんなさい』、いつの時代でも、とても大切な言葉です。
(小池秀章)

育心

溢れるほどのまなざしを   ほうりんこころ幼稚園園長/武田修子

武田修子先生の『育心』を拝読しながら、小池秀章先生の7月号『編集室だより』1頁を思い出しました。
NHK朝ドラ「カムカムエヴリバディ」の一場面、「ひなたは10歳や。僕は10歳のお父さん。るいは10歳のお母さん。一緒に大きくなっていったらいいねん」と、登場人物の言葉を引用され、「親も子どもも、共に未完成な存在であり、共に育て育てられている」と教えていただきました。
私もかつて、思春期の娘の気持ちを理解することができなくて、ずい分悩みました。発達に関するものや、心理学に関する書物を読みあさりました。
しかし、揺れ動く思春期のこころについての知識を、頭で理解することはできても、それだけではどうしても解決することができず、私のこころは不安なまま揺れ動くばかりでした。
今もなお、娘のことを案じない日はありませんが、「無力な母のために、溢れるほどのまなざしを、阿弥陀さまは絶え間なく、息子にも注いでくださっています」という武田先生のおことばに学ばせていただき、今年、22歳の母娘とならせていただいた、まだまだ未完成な私達の今を、味わわせていただきました。

教育相談

聞き分けが悪くて困っています   関西福祉科学大学学長/八田武志

2ページ目、八田武志先生の『教育相談』でお悩みを質問されました親子のご様子は、私にも経験があり懐かしく思い出されます。
ただ、当時は私もこの保護者の方と同じく、育児と仕事に追われて毎日が必死で、同じような悩みを抱えていたように思います。
しかし、回答の中で先生にご助言いただいているように、「3歳の息子さんは、健常に知的発達の段階をたどっている」ということが分かり、「帰りたくない」子どもの心情を、詳しく教えていただき知ることができると、安心につながり、少し余裕が持てるかもしれません。
「聞き分ける」ことを急ぐよりも、「気が済む」まで遊ばせ、そんなお子さんの楽しそうな様子を眺め、二度とない、今この時の子育ての醍醐味を、十分に味わっていただくことができたら、とても素敵だなと感じました。

私の雑記帖

子どもを本好きに「希望の文学」    児童文学作家/こうまるみづほ

『私の雑記帖』は、児童文学作家、こうまるみづほさんのお話です。
私も子どもの本が大好きですが、「つらい状況を描いていても、最後は一筋の光を感じる終わり方をします」と、児童文学がなぜ「希望の文学」と言われるのかを知ることができ、なるほどと感じました。
子ども達が本好きでいられるように、工夫を凝らして、子どもの本が出版されていた歴史があったことも初めて知りました。
その土台作りとなっている、幼児期の読み聞かせの大切さも改めて感じました。
感性豊かな本好きの子どもが増えていくと素晴らしいです。
貴重な原稿をありがとうございました。

お話の時間 つきみとほし10

くろいお家のちょきん箱   文・絵/三浦明利

今月の『お話の時間』は、つきみちゃんとほしくんの仲良し絵かきさんの姿を通して、素晴らしいお母さんの気づきがありました。

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猛暑の夏、水遊びの元気な声が広がります。
(鎌田 惠)

令和4年7月7日 ないおん編集室(〜編集室だよりから抜粋〜)

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