家庭教育誌「ないおん」は、教育・子育ちをテーマに毎月こころのお便りをお届けしています

ないおん6月号(2022年6月1日発行)は

4月は入園や入学の季節、そして新たに就職される方など、はじめての環境に入っていかれる方がたくさんおられます。4月から早、2ヶ月が過ぎ、6月になりましたが、どのようなお気持ちで過ごされているでしょうか。はじめての環境にすぐ慣れた方もいらっしゃるかもしれませんが、やはりどれだけ時間が経過しても、どんなに慣れた場所に身を置いていたとしても、どこかに不安や心配を抱えながら生きているのが、私自身のように思うのです。

RADWIMPSという日本の有名なミュージシャンの曲に、「正解」という曲があります。中学校や高校の卒業式でよく合唱されている人気の曲だそうですが、聞けばその美しい旋律と、心を打つ力強い歌詞に引き込まれます。

「答えがある問いばかりを 教わってきたよ そのせいだろうか 僕たちが知りたかったのは いつも正解などまだ銀河にもない」

「なに一つ見えない 僕らの未来だから 答えがすでにある 問いなんかに用などはない」

これまで学校で習ってきた英語や数学などの問題には必ず答えが用意されていて、すぐに答え合わせをすることができましたし、分からない時は答えを確認することができました。
一方、私たちがこの人生を生きていく上では、何を選択し、何を行って生きていくことが正解なのでしょうか。この問いの答えは私自身はもちろんのこと、恐らく周りのどなたも知らないものです。いつ何が起こるか、何が出てくるか分からない、誰も予想できない人生を生きているのが、私たちだからです。

「人生とは真っ白なキャンバスに、自分自身で線を引き、色を塗っていくようなもの」。以前、教えていただいた言葉です。誰も歩んだことのない、他の誰も生きることのできない人生を生きているのが私です。今日の私の選択や行いが正しいものかどうか、それを確かめる術などどこにもありません。不安や心配を抱えながらの人生ではありますが、むしろそれが生きている証(あかし)ではないでしょうか。
仏教の開祖であるお釈迦さまは、「ただ、今日、なすべきことを熱心になせ」といわれました。何もしていないのに、突然何かを成し遂げたり、目標が叶うということはありません。今できることの積み重ねによって、過去や未来の意味も変わっていくのでしょう。今あるご縁のなかで、私にできることは一体何なのか、そのことを自分なりに考え、初めて迎える今日を精いっぱい努めていきたいと思います。
(赤井智顕)

育心

「育心」とは心を育むこと   児童養護施設光明童園 施設長/堀 浄信

今月の『育心』堀浄信先生の施設でのエピソード、小学1年生のねねちゃんと、のりかさん(職員)の関わりを通して、保育の現場で最も大切にしなければならないことを学ばせていただきました。
私の園のT君(5歳児)は、とても反抗的な態度をとることが多く、お友だちにもよく手が出るようです。
そこで「どうしたら素直に話を聞くようになるのか」「手を出さないようになるには」とT君について、保育者間での話し合いがよくされているようです。
先日4月18日は、T君の6歳の誕生日でした。
私「T君、お誕生日おめでとう?」
T君「園長先生知ってるん?」
私「知ってるで。生まれてきてくれてありがとう。ギュッてさしてくれる?」
両手を広げた私に向かって、温かくて柔らかい、満面の笑みのT君が飛び込んで来てくれました。
T君との日常的な関りは少ない私です。そして、T君の胸の中に溢れる様々な思いを、すべて分かってあげることはできないかもしれません。しかしそれを、仏さまのように想像し、察し、慮って、精一杯「分かろう」と、担任の先生たちと共に、話し合い学び合っていきたいと、深く思いました。

レッツゴー!保育カウンセリング12

「形」になると忘れがちなこと   
教育・心理カウンセラー 子ども家庭教育フォーラム代表/富田富士也

2ページ目は、富田富士也先生の『レッツゴー!保育カウンセリング』です。
私の園でも、以前よく似た出来事がありました。
就学が間近となったR君のお母さんが、暗い顔をして話しに来られました。
「先生、うちの家庭の事情を学校にちゃんと伝えてください。そして、就学したらどの先生に相談に行ったら良いか教えてください。学校の先生と一から関係作って、うちみたいな複雑な事情を、また一から話すのはとてもしんどいです」
4年の在園期間の中で、いっぱいいっぱいの大変な胸の内を、少しずつ話されて、園との関係を築かれるまでには、お母さんのはかり知れない勇気と労力が必要だったのだと思います。
富田先生のお話から学んだように、手順やシステム、制度に心を預け過ぎず、本当の意味での「切れ目のない支援」を目指して、相手の気持ちをしっかりと聴かせていただきたいと思いました。

私の雑記帖

「音訳」視覚障がい者の読書を支える
岐阜県図書館視覚障がい者サービス協力者/小森一代

『私の雑記帖』では、小森一代さんが、音訳のお仕事の中で出会われたエピソードから学ばせていただきました。
私も無意識に「見えない人は、見える人のできることができないはず」と思ってしまっていたことに気づかされました。
また、小森さん自身の「私自身が今まで見えていなかったことに気づかせてもらった」という、感謝の生き方を、大変素晴らしいと感じました。
貴重な原稿をありがとうございました。

お話の時間 つきみとほし8

雨はとってもいい天気   文・絵/三浦明利

今月の『お話の時間』は、「晴れも雨もいい天気」。つきみちゃんとほしくんの、雨の日のお散歩の名言です。

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雨の日のお散歩を、楽しみにしたいと思います。
(鎌田 惠)

令和4年5月16日 ないおん編集室(〜編集室だよりから抜粋〜)

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