家庭教育誌「ないおん」は、教育・子育ちをテーマに毎月こころのお便りをお届けしています

ないおん3月号(2022年3月1日発行)は

「敵とライバルは違う。対峙する敵とは対称的に、ライバルは同じ方向を向いている。お互いに認め合い、高め合う。ライバルは同志でもある。」(2021年11月8日「ラジエーションハウスU」より)
同じ方向を向くことの大切さを再認識させられました。人間関係においても、向かい合うことも大切ですが、同じ方向を向くことが、もっと大切なことでしょう。同じ方向に向かって歩む時、お互いにわかりあえる世界が開けてくるように思います。

聖徳太子の父・大兄皇子(オオエノミコ・用明天皇)が、幼き聖徳太子に向かって言った言葉。
「日の光とは不思議なものじゃとは思わぬか。はるか古(イニシエ)より変わらずこの大地を照らしておる。何事にも動ぜず、よき者にも悪しき者にも石にも草にも……。仏の御心(ミココロ)もこの光に似ておるのやもしれぬ。願わくは、この光のように生きてみたいものじゃ……。」(2021年11月10日NHKドラマスペシャル「聖徳太子」より)
この言葉を聞いた時、『歎異抄』第一条の、「弥陀の本願には、老少・善悪のひとをえらばれず(阿弥陀仏の本願は、老いも若きも善人も悪人も分け隔てなさいません)」という言葉が浮かびました。
すべてのものを分け隔てしない、そんな世界に出遇わせていただきましょう。

俳句ブームの火付け役の一人である夏井いつきさんが、次のようなことを言われていました。
「自分が理解できない句を否定しない。あらゆる句を愛することができる体になりたいと思って。例えば、愛しにくい球が投げられた時に、ひょっとしたら私はこの句の本当の良さを知らないから、今、愛しにくいんじゃないかしらと思って、こうやって触って、ほおずりして、匂って、『わーすごいすてき』とか『大好き』とか、そうやってめでる行為……。」(2021年12月7日「プロフェッショナル(仕事の流儀)」より)
また、深川宣暢先生から、次のような話を聞かせていただいたことがあります。
「我々は、仏さまの智慧で言われた言葉をそのまま聞いておくんです。私の頭でどう考えられようが、これはちょっとおかしいんではなかろうかと思うことがあれば、それは差し置いて休ませておくんです。仏さまの智慧は、そのまんま聞いておくということなんです。そしたら育てられるんですね。我々は育てられることになっておるんです。」
自分の頭で考えるということも大切なことです。しかし、自分の考えを正しいと思い込み、自分の考えに合わないものを切り捨てたり、否定したりすることがないように、気をつけなければならないと思います。そして、仏さまのお言葉は、納得出来るかどうかではなく、そのまま聞かせていただく。なかなか心に入ってこない時は、しばらく休ませておく。そんな聞き方を大切にしたいと思います。
(小池秀章)

育心

にじ   龍谷大学短期大学部教授/羽溪 了

羽溪了先生の今月の『育心』を拝読すると、とても前向きな気持ちになり、元気がわいてきます。
新沢としひこさんの『にじ』は、子ども達が大好きな親しみある歌で、園でも歌声がよく聞こえてきます。
子ども達にとって雨の日は、大好きな外遊びが制限される残念な日のようです。
しかし雨が上がり、ベランダから空にかかる虹を見つけた時、子ども達の顔は、嬉しそうにキラキラと輝きます。
何か良いことがありそうな予感に、気分がウキウキしてくるのでしょうね。
羽溪先生は、お釈迦さまが自然の営みの中でおさとりをひらき、「私達の日暮しは、雨が降って不都合(嫌な事、悲しい事)を感じる様なことの連続です。しかし、光によって虹(そこが行き止まりでないこと)と出会えるよ」と教えてくださっていると仰っています。
親しみある『にじ』の歌を、このように味わわせていただくと、たとえこの先、色んな不都合が待ち受けていようとも、私たちの未来は、仏さまのお慈悲の光に照らされて、ぱぁーっと明るく広がっていくような気がしました。

教育相談

「家に帰ると、ともかく甘えるのです」   関西福祉科学大学学長/八田武志

今月の2ページ目は、八田武志先生の『教育相談』です。
「質問」の中に登場する「5歳児の男の子」のようなお子さんについて、園でも保護者さんから相談を受けることがよくあります。
八田先生が「回答」の中で、「心配は無用です」と仰っているように、私が相談を受けたお子さんのほとんども、園ではイキイキと意欲的に活動する、思いやりのあるお子さん達です。
とは言え、お父さんお母さんは、お子さんのことを、いつも心配し通しです。
ですから「甘え」とは、ストレスをマネジメントしていく能力を、獲得していくための、発達過程の姿であるということを、理解できれば少し安心します。
園の中では、すべての事が思い通りになるわけではありません。友達と意見が食い違ってケンカになったり、遊びが上手くいくために、譲ったり譲られたりの葛藤を経験する場でもあります。
そんな一日を過ごして家に帰ると、思いっきりお母さんに甘えて、「ホッとしたい」ということなのでしょうね。

私の雑記帖

縁のない者同士が助け合う
大阪府子ども家庭サポーター 社会福祉士・保育士/辻 由起子

今月の『私の雑記帖』は、大阪府子ども家庭サポーターの辻由起子さんのお話です。
コロナ禍の中で、社会から取り残されつつも、一生懸命生きようとしている人達のために立ち上げられた、「子ども・若者・シングルマザー応援基金」の、活動の中でのエピソードをご紹介くださいました。
そしてその活動を通して、縁もゆかりもない人が助け合って暮らす、仏教の理想の実践「無縁の慈悲」を学んでいかれました。
貴重な原稿をありがとうございました。

お話の時間 つきみとほしD

草花のお弁当   文・絵/三浦明利

今月の『お話の時間』は、家族みんなで「草花のお弁当づくり」しながらの、いのちの恵みのお味わいです。

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春の兆しが少しずつ見え始めましたね。元気でお過しください。
(鎌田 惠)

令和4年2月15日 ないおん編集室(〜編集室だよりから抜粋〜)

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