家庭教育誌「ないおん」は、教育・子育ちをテーマに毎月こころのお便りをお届けしています

ないおん園版12月号(2021年12月1日発行)は

上智大学グリーフケア研究所所長の島薗進氏が、「ゲノム編集がどんどん進んでいった場合、どんなことが考えられるか?」という問いに対し、
「いのちというものは授かるものだったわけですね。で、どういう子どもかっていうのはわからない。思ったような子どもじゃない。育てていってもそうならない。ですが、思ったような子どもを作るというようなことをしはじめるということですね。これ、いのちの選別と言ったりしますけど、そういうことが起こるというのは、いのちを作ることになる。作るいのちは壊せるんですよね。物に近づいてくる。いのちの尊さの基本感覚というものが怪しくなってくる可能性がないでしょうかね」
と、ある番組で発言されていました。とても恐いお話でした。

2021年10月15日、『京都新聞(夕刊)』に、「アフガンで活動ペシャワール会」という項目の記事が掲載されていました。その中で目を引いたのは、
「水は善人と悪人を区別しない」
という言葉でした。この言葉は、アフガニスタンやパキスタンで貧困層の医療や農業の支援に取り組んだ中村哲医師の言葉でした。
この言葉に出遇った時、思い出したのは、「ウパーリの出家」(本願寺出版社)というアニメの中に出て来る、お釈迦さまの言葉でした。奴隷階級のウパーリという少年が、「私のような身分の者でも、お釈迦さまのお弟子になれるでしょうか?」と尋ねます。それに対して、お釈迦さまは、「水は、あの人の喉の渇きは癒し、この人のはダメ、という分け隔てをするだろうか。私の説く法は、水と同じだ。身分や貧富によって相手を選ぶことはない。ウパーリよ、よく来た。そなたは今から私の弟子だ」と答えます。
水は善人と悪人を区別しません。いかなる身分の者も分け隔てしません。それはまるで、すべての人を平等に慈しむ、仏さまのお慈悲の心のようです。

NHKの朝ドラ(連続テレビ小説)「おかえりモネ」の台詞から。
モネ(気象予報士)「私たちや高村さんが伝えたことで、被害を免れた人はいるんでしょうか」
朝岡(会社のリーダー)「わかりません。誰かを助けたいという気持ちは持っていていい。でも、助けることに成果を求めてはダメですよ」
見返りを期待しないという精神が大切だということは分かっていても、見返りを期待してしまう自分がいます。
もう一つ。モネ「わたし、サヤカさんみたいになりたい」
サヤカ(登米にやってきたモネを下宿させていた豪快かつ懐の深い人物)「えっ、へへへえ〜?」
モネ「誰が来ても受け入れて、いつでも行っといでって送り出す。で、帰って来たら、お帰りっていってあげる」
サヤカさんのように、懐の深い人に憧れます。
色々考えさせられることの多い番組でした。
(小池秀章)

幼稚園・保育園版

育心

愛語のある家庭を   仏教思想家/ひろさちや

今月の『育心』は、ひろさちや先生がご執筆くださいました。
運動会の年長児のリレーは、毎年赤、青、黄チームに分かれ熱闘を繰り広げます。
毎日どのチームも、作戦会議を開いたり、バトンパスの練習をしたり、本番に向けて、準備に余念がありません。
さて当日、緊張の面持ちでリレーがスタート。次々にバトンが繋がれ、どの子も一生懸命に走っています。いよいよアンカーにバトンが渡りました。会場は「ガンバレ!ガンバレ!」の嵐です。結果は、
「1位は赤グループさん」
赤「やったー!!」
「2位は黄グループさん」
黄「イェーイ!」
「3位は青グループさん」
青「涙涙……」
先生「今日は勝つことが出来たみんなも、残念ながら負けて悔しい気持ちのみんなも、全員一生懸命頑張ったのでスゴイです。先生は、そんなみんなが大好きだよ。明日も明後日も、リレー遊びを楽しもうね」
閉会式後、勝った子も負けた子も、お父さんお母さんに頭を撫でてもらい、ギュッと抱きしめてもらって「かっこ良かったよ」と言葉をかけてもらっています。
ひろ先生が仰る、相手を肯定する慈愛の言葉「愛語」は、相手の全てをまるごと包み込んで温める言葉。そんな感じがしました。

赤坂葉子の心理学的子育て

子どもの「やる気のスイッチ」はいろいろ?   コミュニケーショントレーナー/赤坂葉子

今月の2ページ目は、赤坂葉子先生の『心理学的子育て』です。
I先生は、毎朝泣けて登園を渋るN君のお母さんから相談を受けました。
母「どうしてNは、毎朝こんなに泣けるのでしょうか?」
I「心配されてるのですね。でも大丈夫ですよ」
母「本当ですか?」
I「明日から登園される時に、今日は楽しいことがいっぱいあるよ! 先生やお友達が一緒に遊ぼうって言ってたよ。と笑顔で言葉をかけて送り出してみてください」
母「分かりました」
次の日の朝、満面の笑みのI先生の「待ってたよ、一緒に遊ぼう!」の出迎えと、笑顔のお母さんの「楽しみだね」に送り出された、元気いっぱいのN君の姿が見られました。
N君の「やる気のスイッチ」は、お母さんと先生の笑顔だったのですね。

私の雑記帖

今を助けた過去 未来にタネを   お坊さんタレント/Chie

『私の雑記帖』は、お坊さんタレントとして活躍されているChie(ちい)さんのお話です。
コロナ禍の中、なんとか情報発信をと立ち上げられた「風蓮堂Radio」の活動の中でたどり着かれた「とりあえず目の前のことに真向き≠ノ!」であることは、「後々生きる経験」「未来のタネ」だという言葉は、未来を生きる子ども達へのメッセージになると思います。
貴重な原稿をありがとうございました。

お話の時間 つきみとほしB

新しい年がやってくる   文・絵/三浦明利

今月の『お話の時間』は、新しい年が待ち遠しいつきみちゃんとほし君のお話です。

つきみちゃんとほし君のように、一年の締めくくりを、楽しく過ごしたいと思います。
(鎌田 惠)

令和3年11月15日 ないおん編集室(〜編集室だよりから抜粋〜)

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