家庭教育誌「ないおん」は、教育・子育ちをテーマに毎月こころのお便りをお届けしています

ないおん園版8月号(2021年9月1日発行)は

オリンピック開催については、色々複雑な思いもありますが、やはり、スポーツは多くの感動を与えてくれました。試合そのものもそうですが、オリンピックに臨む選手の姿に、その人の人生を感じることも多々ありました。そして、多くのことを教えられた気がします。
日本ソフトボールチームのピッチャーとしてチームを引っ張ってきた上野由岐子選手。北京オリンピック(2008年)に26歳で出場して、金メダルを獲得し、今回、13年ぶりに、再度、金メダルを獲得しました。その13年の間は、ソフトボールがオリンピック種目から外れ、上野選手も目標を失った時期もあったそうです。
そんな上野選手が東京オリンピックが始まる前のあるテレビ番組のインタビューで、次のようなことを発言されていました。
「自分の中では、北京オリンピックで自分自身のソフトボール人生は完結していると思っているんですよ。今は自分のためにソフトボールをしている感じがないので。
北京オリンピックを見てソフトボールを始めましたみたいな子がうじゃうじゃいるので……。今まで自分が教わってきたこと、経験してきたことを、どれだけみんなに伝えられるか、そして、みんながどれだけ結果が出せるか。一人ひとりがしっかりマウンドに立てる選手になってほしいと思っている方が大きいので、それがなくなったらっていうか、やり終えたなら、引退できるのかなって」
次の世代に伝えていこうという思いが、とても尊いものに思えました。そんな上野選手が25歳の時住んでいた寮の部屋には、アンパンマンの人形がありました。
「人の為にってはたらけることって、やっぱすごいなって思う」上野選手のそんな言葉に、人生が凝縮されているように感じました。
仏教も多くの先人の尊い思いによって、今、ここに届けられています。そのことを強く感じるとともに、少しでも次の世代に伝えていくお手伝いができればと考えています。

NHKの朝ドラ(連続テレビ小説)『おかえりモネ』の中、モネのお祖父さん(龍己)の台詞。
「その山の葉っぱさんたちが海の栄養になんのっさ。山は海とつながってるんだ。何も関係ねえように見えるもんが、何がの役に立っているごどは、世の中にいっぺえあるんだよ」
気象キャスターの朝岡さんとモネ(永浦)の台詞。
〈朝岡〉「山は水を介して空とつながっています。海もそうです。永浦さんは海で育って海のことを知っている人ですし、山のことも知ろうとしている。なら、空のことも知るべきです」
〈モネ〉「全部つながってる……」
お釈迦さまが説かれた「縁起(すべてのものは繋がり合い、支え合っている)」の教えが思い出されます。

新型コロナウイルス感染症の収束が見えません。このような状況だからこそ、大切なものを見失わないようにしたいものです。
(小池秀章)

幼稚園・保育園版

育心

コスモス   青少年問題カウンセラー/外松太恵子

今月の『育心』は、外松太恵子先生がご執筆くださいました。
澄み切った秋の空と、風に揺れてニッコリ笑う薄紅色のコスモスが、目に浮かびます。
「どうして花壇のお花にはお水をあげるのに、草はむしるの?」
「カブト虫にはゼリーをあげるのに、ハチさんはどうして退治するの?」
おそらく保育者の皆さんや保護者の皆さんも、このような子どもたちの、直球ど真ん中の質問を受けられたことがあるのではないでしょうか。
そんな時私は、どのように答えたら良いものかと、いつも悩んでしまいます。
外松先生はA君に「本当ね。でもコスモスに養分をいっぱい吸ってもらって、きれいなお花を咲かせてほしいからね」と答えられ、彼の心を思って「A君の立っているところは抜かなくていいよ」と投げかけられました。
そして、命というものは(コスモスも私も)、他の多くの命に支えられ生かされているということを、台風の中、生き残ったコスモスの姿を通して、A君から学ばせていただきました。
私もまた、子ども達の直球をしっかりと受け取り、「ごめんなさい」「ありがとう」の気持ちを子ども達と共感していきたいと思いました。

親子でにこにこクッキング14

お米の国のパン   食文化・食育料理研究家/坂本佳奈

今月の2ページ目は、坂本佳奈先生の『親子でにこにこクッキング』です。
食欲の秋にピッタリの「お米の国のパン」をご紹介くださいました。
最近は、米粉パンや米粉ケーキなど、米粉で作られたお菓子をよく見かけるようになりました。
米粉が、近年開発された製粉方法で作られた、かなりきめの細かいうるち米の粉であることを、恥ずかしながら始めて知りました。
お米やさつま芋の収穫の季節。クッキングで子ども達に、米粉のお話をしてみようと思いました。
蒸し器を開けると、白くて、ふんわりホカホカの米粉蒸しパン。さつま芋の甘い匂いも相まって、「ぐぅ〜っ」とお腹が鳴りそうですね。

私の雑記帖

常に自分の心と向き合って   フリーアナウンサー/市川いずみ

『私の雑記帖』は、市川いずみさんのお話です。「フリーアナウンサーまでの道のりは、一見、遠回りのように見えて、実は最短ルートであり、目的地に到達するまでの小道のどの景色も出会いも必要だった」とされています。
また、高校時代に出会われた漫画『ブッタとシッタカブッタ』の中の一文「比較する見方にとらわれるブタは、“もっと”を求めつづける」が、市川さんの「自分のやるべきことを全うする」「常に自分の心と向き合う」という、清々しい生き方の道しるべとなっているのですね。
今後のご活躍をこころより応援いたします、ありがとうございました。

実演童話 こころに届けたいお話

◆サーダカの冒険◆ 『サルの国』   文・鎌田 惠/絵・野村 玲

実演童話『サーダカの冒険』は、今月をもってシリーズを完結いたします。
果たしてサーダカは、立派なサルの王さまになることができたのでしょうか。
最終話までお読みいただきありがとうございました。

まだまだ暑い日が続きますが、どうぞお元気でお過ごしください。
(鎌田 惠)

令和3年8月19日 ないおん編集室(〜編集室だよりから抜粋〜)

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