家庭教育誌「ないおん」は、教育・子育ちをテーマに毎月こころのお便りをお届けしています

ないおん園版6月号(2021年6月1日発行)は

「感謝されたいのなら、この仕事むいてないかもね」
これは、石原さとみさんが薬剤師の役を演じる「アンサング・シンデレラ」(2020年)というテレビ番組の中での台詞です。ドキッとしました。
また、昨年度、仏教学(オンライン)を受講した一人の大学生が、次のような感想を書いてくれました。
『「仏さまは、悟りを開いた後に迷っている人を放っておけなかった」という記載がありました。私は、他人のためにはたらき続けることは、何を目的としているのだろうかと思いました。何か目的、見返りがなければ、生きていくことができません。その点についてはどのようにお考えになって、仏さまは迷える人々を助けていたのか、という疑問を持ちました』
それに対して、私は次のような返事を書きました。
『仏さまは、自分と他人は切り離せない存在であり、持ちつ持たれつの関係にあるということ(縁起・自他一如)に、目覚められました。それは、「他人のしあわせが自分のしあわせであり、自分のしあわせが他人のしあわせ」であるような境地です。そこには、「他人の為にしてあげた」とか、見返りを期待するという発想はありません。
しかし、煩悩だらけの私たちが、そのような境地に達することは、至難の業です。ただ、仏さまの生き方が尊い生き方だと仰ぎながら生きることは出来ます。そして、そんな仏さまのはたらきの中で、いのちいっぱいに生き抜かせていただくところに、浄土真宗の生き方があると言っていいでしょう』

NHKの朝ドラ(連続テレビ小説)「おちょやん」は、竹井千代という喜劇女優が主人公です。
貧しい家に生まれた千代は、小さい頃、お母さんが亡くなりました。そして、新しいお母さん(栗子さん)を迎えてすぐに、9歳で女中奉公に出されました。その後は一人ぼっちで、波乱に満ちた人生を送ります。その中で、映画に出演したり、舞台に立ったりなど、人生の節目の時に、必ず誰からか、お花が届きました。
そして、先日の放送で、それが栗子さんからだったということが明かされました。栗子さんは、千代を追い出してしまったことを後悔し、ずっと心配して陰から見守っていたのです。そして、
「これからもずっと、あんたのこと応援してるさかい」
と、思いを伝えます。
今まで、ずっと一人だと思っていた千代が、ずっと見ていてくれた人がいたことに気づき、涙を流すのでした。見ていてくれる人がいるということは、どんなに心強いことでしょう。
私は、いつも見守っていてくださる阿弥陀さまのことが、ふと頭に浮かびました。

この先、「WITHコロナ(コロナとともに)」の時代に入っていくと言われていますが、私たちは、「WITHアミダ(アミダさまとともに)」の人生を送らせていただいていることを忘れないでいたいものです。
(小池秀章)

幼稚園・保育園版

育心

夢はなあに?   光明寺住職 シンガーソングライター/三浦明利

今月の『育心』から、三浦明利先生の「夢はなあに?」を拝読し、心がとても明るくなりました。
昨年度の5歳児お別れ遠足は、例年ならバスに乗って少し遠出をしますが、コロナ禍の中、地元の良さを発見しようということになり、「ヤンマーミュージアム」に出かけました。
ヤンマーと言えば、発動機や農機、建機、小型船舶の製造・販売を手掛ける日本屈指の大企業です。
その創設者である山岡孫吉さん(1888〜1962)は、私たちの市の出身者でした。
「ヤンマーミュージアム」は、子ども達が色んなゲームをして楽しめる、体験型のミュージアムです。
その中に、孫吉さんがヤンマーを創設されるまでのサクセスストーリーを映像化したコーナーがありました。5歳児には少し難しいかなと思いましたが、
「孫吉さんスゴイなあ!」
「私も発明できるかなあ?」
「ボクも社長になりたいな」
と、子どもたちは画面にくぎ付け、興味津々で目を輝かせていました。
子どもがそれぞれに夢をもって、自分を生きていく人生を、「うん、うん、素晴らしいね。応援しているよ」と、おおらかに見守っていきたいと思いました。

レッツゴー!保育カウンセリング

「三密回避で見失わない関係の創造」
教育・心理カウンセラー 子ども家庭教育フォーラム代表/富田富士也

今月の2ページ目は、富田富士也先生の「レッツゴー!保育カウンセリング」です。
お孫さんとの楽しい会話が、紙面からイキイキと聞こえてくるようです。
コロナウイルスの感染防止対策(三密回避)によって、家庭、職場、地域、学校や園でもコミュニケーションの考え方が変化しました。
しかし、今も昔も、お互いに会話を交わし、手を取り合って関わり合うことは、人間の生きていく術であり、特に乳幼児にとって、大好きな大人(家族や保育者)とのスキンシップは、欠かすことのできない、とても大切なことです。
感染が拡大しないように、手洗いや消毒、健康管理にしっかりと気を配りながら、「人と関わり合っていく」ということを、工夫し模索していきたいと思います。

私の雑記帖

一人一人   和太鼓講師/松澤一郎

『私の雑記帖』は、和太鼓講師の松澤一郎先生のお話です。
昨年来、コロナ禍の中で、団体演技を主とする和太鼓ご指導は、たいへんご苦労が多かったことと思います。
しかし、子ども達一人ひとりと目を合わせ、会話を大切にしながら心をかよわせるという個々をメインとしたご指導が、むしろ三密回避の感染予防をプラスに広げられたのではないかと感じました。
「もっとやりたい!」
「和太鼓大好き!」
と、子どもたちのイキイキとした姿が目に浮かんできます。
貴重なお話をありがとうございました。

実演童話 こころに届けたいお話

◆サーダカの冒険◆ 『緑の国(1)』   文・鎌田 惠/絵・野村 玲

今月の『実演童話』。サーダカがやってきた新しい国は、雪と氷に覆われた、とても寒い国でした。

今年の梅雨は例年よりすこし早いとか。草木や小動物のいのちが躍動します。
カタツムリやカエルさんとの出会いを、子ども達と楽しみたいと思います。
(鎌田 惠)

令和3年5月17日 ないおん編集室(〜編集室だよりから抜粋〜)

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