家庭教育誌「ないおん」は、教育・子育ちをテーマに毎月こころのお便りをお届けしています

ないおん園版1月号(2021年1月1日発行)は

新たな年を迎え、今年もまた日々の生活がはじまりました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響はとどまることなく、深刻な状況が続いています。
思えば昨年から今年にかけて、「恩」という言葉をよく聞かせていただき、「恩」という世界を考える機会をいただいてきたように感じます。
この「恩」という字にどのような意味があるのか調べてみますと、この字はいくつかのパーツに分けることができます。まず「口」は、「クチ」という意味ではなく、大きな敷物をあらわすのだそうです。そして「大」というのは、大の字になっている人の姿をあらわす。つまり、私が敷物の上に大の字になって乗っている姿があらわされているのです。この状態を一字であらわすのが「因」の字でした。
「因」は「果」という字が対となって「因果」という言葉になりますが、この場合の「因」は結果に対する原因のことをいっています。まさに私がここに存在している結果は、ありとあらゆるものに支えられ、存在しているという事実を教えてくれている言葉なのです。
これは目に見えるものも見えないものも含めて全てそうです。私という人間は決して一人で生きていくことはできません。一滴の水も、一吸いの空気も自分でつくることはできません。全ていただきものです。
命もそうです。決して自分でつくったものではありません。私には知りようもない、途方もない様々な原因と条件が重なりあって、たまたま私がここにあらしめられている。そういった私に関わる多くの恵みに「心」をかけ、感動している姿が「恩」という字でした。
今日の私の姿は突然こうなったわけではありません。不思議にも様々な縁が重なり合い、生かされ、育てられて今日の日を迎えています。そのことを「有ることが難しい」ことと受けとめていくのか、「当たり前」のことと受けとめるのか。この違いはとても大きな違いのように感じます。
「私は一人で生きていける」「誰の世話にもなっていない」という言葉は、「恩」の世界から離れていく言葉にも聞こえてきます。反対に連綿とつらなる関係性に想いを馳せていく時、私たちは深くて広い「恩」の世界を感じることができるのではないでしょうか。
昨今の厳しい時世のなか、様々な場所で私たちの生活を守る為に、尽くしてくださっている方がたくさんおられます。私を支えてくださっている返しきれない「恩」の世界を噛みしめ、感じつつ、今日という一日を過ごしていきたいと思います。
(赤井 智顕)

幼稚園・保育園版

育心

待っていた春! ののさまありがとう   青少年問題カウンセラー/外松太恵子

遠い北の国から、冬を越すためにやって来るコハクチョウやガン、カモの仲間たちが、春になると飛び立つ元気な姿を、ここ琵琶湖でも見かけます。
外松太恵子先生の『育心』を拝読しながら、そんな風景を思いだしました。
世界中に広がった新型コロナウイルスは、新年を迎えてもなお猛威をふるい続けています。
テレビをつけると、様々な場所で、様々な皆さんの苦悩が映し出され、心が締め付けられます。
昨年、登園自粛期間が明けてから、どの園でも「当たり前の日常」のありがたさについて、子どもたちと共に、考えたり感じたり、感謝したりする機会を多く持たれたのではないかと思います。
私の園でも、「保育の在り方」「関わりの大切さ」「大切な事をどう伝えるか」「大切な事をどう味わうか」……。ずい分考え議論しました。
外松先生からのお便りは、いつも温かくて優しく、苦しい時、辛い時に希望を与えてくださる春風のようです。
子どもたちの元気な笑顔に触れながら、「今日という一日をありがとうございます」と手を合わせ、きっとまた春に会えることを願いたいと思います。

親と子の育ち合い広場14

立ち話に花を咲かそう   子育て支援コミュニティーワーカー/藤本明美

藤本明美先生の『親と子の育ち合い広場』は、毎回コミュニケーションの大切さについて学ばせていただきます。
地域でも園でも、人が集まることについて、本当に制約が厳しくなってしまいました。
感染の怖さから、人とのコミュニケーションも避けてしまいがちです。
しかし、藤本先生は、「感染予防が命を守るために大切なのと同じくらいに、子育ての知識を共有することは健全な子育てに必要です」とされています。
朝夕の登降園の際に、玄関で、子どもたちや保護者の皆さんの検温チェックをする毎日となりました。
最初は、面倒な世の中になったものだと、憂鬱な気分になっていましたが、「おはようございます」「お仕事お疲れ様」の声掛けや、保護者の皆さんとの、何気ない立ち話の際に、ちょっとした困りごとや、相談を聞かせていただく機会となっています。
「立ち話」の新しい生活様式を、大切にしていきたいと思います。

私の雑記帖

みんなのあったらいいなぁをカタチに   子育て応援カフェLOCO代表/宮本麻里

今月の『私の雑記帖』は、子育て応援カフェLOCO代表、宮本麻里さんのお話です。
私も何度か「LOCOカフェ」にお邪魔したことがありますが、とても居心地の良い温かい環境づくりをしておられると、いつも感じています。
何より素晴らしいと感じることは、「居場所の提供」を土台に、様々な人たちの「やってみたい!」を引き出して、その挑戦を応援し、喜びを共感し合う。
そしてさらに大きな輪となって、広がり続けているということです。
今後の活動に期待が膨らみます。

実演童話 こころに届けたいお話

◆サーダガの冒険◆ 『楽しい国(1)』   文・鎌田 惠/絵・野村 玲

今月の実演童話『楽しい国(1)』では、不思議なお祭りが繰り広げられます。

貴重なお話をありがとうございました。
(鎌田 惠)

令和3年1月15日 ないおん編集室(〜編集室だよりから抜粋〜)

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