家庭教育誌「ないおん」は、教育・子育ちをテーマに毎月こころのお便りをお届けしています

ないおん園版4月号(2020年4月1日発行)は

4月には、入園式・入学式・入社式など、新しい生活を迎える人が多くおられると思います。また、特に生活に変化のない人も、桜の花が咲き、新年度を迎えると、何か新しい気分になるものです。
新しい生活が始まり、新しい体験をする中で、人は成長していきます。子どもの頃や若い頃は、毎年、驚くほど成長していきます。
ところが、50代半ばに差し掛かろうとする自分を振り返ってみると、変化のスピードは明らかに落ちています。その変化も、肉体的には、マイナス方向に向かっていっています。しかし、年をとるということは、ダメになっていくことなのでしょうか。
昔、ある先生から、
「お念仏に生きる人(お念仏のみ教えを依りどころに生きる人)は、70になっても80になっても育ち盛りだ」
という言葉を聞かせていただきました。
年をとるということは、肉体的には衰えていきますが、決してダメになることではないのです。精神的には豊かになっていく。毎年、今まで気づかなかった新しい世界に気づかせていただく。何歳になっても育ち盛りなのです。そんな年の重ね方をしたいものです。

2月、プロ野球で、戦後初の三冠王を成し遂げられた野村克也さんが亡くなられました。ぼやきで有名な野村さんですが、数々の名言も残されています。その中で、私の心に響いたのが、
「失敗と書いて『せいちょう』と読む」
という言葉です。
私たちは、自分の思うようにならなかった時、「失敗した」と思ってしまいますが、思うようにならなかった事実を、正面から受け止めることができた時、その事実は、失敗ではなく、成長の一過程として、尊い意味を持つのです。
思うようになった人生も、思うようにならなかった人生も、ともに私を創ってくれる、尊い意味のある人生なのです。

高校の入学式の後、担任の先生が次のような話をされました。
『1年という時間は、年をとるとともに、短くなっていく。なぜなら、1歳の時の1年は「1/1」、2歳の時の1年は「1/2」3歳の時の1年は「1/3」……10歳の時の1年は「1/10」……20歳の時の1年は「1/20」……50歳の時の1年は「1/50」。このように毎年、1年は短くなっていく。だから若い時の1年は大切だ』
高校生になったばかりの私は、「なるほど」と思いつつも、何か騙されたような感覚になったのを覚えています。
冷静になって考えてみると、1年という時間が短くなっているのではなく、年をとるにしたがって、自分の人生全体に対する1年の割合が小さくなるということを表しているだけなのです。ただ、それが1年を短く感じる原因でもあるのです。
今年度も、あっという間に過ぎてしまうかもしれませんが、充実した1年になることを願っています。(小池秀章)

幼稚園・保育園版

育心

満開の桜とともに   光明寺住職 シンガーソングライター/三浦明利

今月の『育心』は、三浦明利さんと光ちゃんが、親子で園の行事に参加された時のエピソードからこころ温まるお話を拝読させていただきました。
赤ちゃんの心音を聞いたり、お腹の中にいた頃の疑似体験ができる袋に入って、お母さんに撫でてもらったり、語りかけてもらったり、なんて素敵な体験でしょう。
光ちゃんにとっては、お母さんに愛情いっぱい、大切に願われて生まれてきたことを体感できる経験です。
そして、家事や子育て、お仕事をお持ちのお母さん達には、忙しい日常の中で忘れてしまいがちな「母親にならせてもらった瞬間」の感覚を思い出すことができる体験ですね。
「お父さんとお母さんの大切なMちゃん、生まれてきてくれてありがとう。大好きだよ」とことばをかけてもらい、お母さんにギューッとハグをしてもらうMちゃんの、誕生会での嬉しそうな顔が浮かびました。
我が子を抱きしめるお母さんも嬉しそうな顔です。
園では、「当たり前の事など何一つないと気づかされた喜びの瞬間」、そんな瞬間を感じてもらえるような園行事や保育の内容を工夫していきたと思いました。

教育相談

「行きたくない 幼稚園は嫌い」
関西福祉科学大学学長 名古屋大学名誉教授/八田武志

八田武志先生の『教育相談』は、新しい環境へ子どもを送り出す、保護者へ向けたアドバイスです。
入園の日から、元気に笑顔で通ってくれるものと思っていたのに「行きたくない」と泣いているお子さんを見るのは、とても辛い事ですね。
新入園の子ども達は、初めての環境、家とは違う時間の流れの中で、初めて親から離れて過ごさなくてはなりません。とても不安なことでしょう。
お父さんやお母さんと離れるのが嫌で泣くお子さんの姿は、愛情いっぱいに、大切にお育てくださったからこそ。
私たち保育者は、かけがえのないお子さんの存在を肝に銘じ、園でも愛情いっぱいに大切に保育させていただかなければならないことを心に刻んでいます。
子どもたちが安心して園生活ができるように、また、保護者の皆さんにも安心して園にお任せいただけるよう、誠心誠意努めたいと思います。

私の雑記帖

今年もやってくる   旭山動物園元園長/小菅正夫

旭山動物園元園長の小菅正夫先生の記事を読ませていただくと深紅に染まる朝焼けの空に、一斉にマガンが飛び立つ映像を見ているような気がしました。
マガン(野鳥)と人間が共存し生態系を保ち、美しい自然の風景を守っていくために、学ぶべき事が沢山あることにも気づかせていただきました。
貴重な記事をありがとうございました。

実演童話 こころに届けたいお話

◆サーダガの冒険◆ 『旅立ち』   文・鎌田 惠/絵・野村 玲

今月からの『実演童話』は、サルの若者サーダカが、サルの国の王さまになるため、「真に強い力」を手に入れようと、冒険の旅をするお話です。

桜花のように、子どもたちの笑顔がいっぱい咲く新年度をスタートしたいと思います。
(鎌田 惠)

令和2年3月19日 ないおん編集室(〜編集室だよりから抜粋〜)

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