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 「制度」分科会


 今泉秀人、濱田麻矢、福家道信、大東和重は「制度」分科会を担当する。

 今泉は、大後方で活躍した沈従文の創作研究を通じて、小説というジャンルに生じた文体の変化、またそれを可能たらしめた文体受容者(読者)の問題を追求する。

 濱田は、文学作品に表れた、いわゆる「女学生」という近代に特徴的な形象の変遷を軸に、40年代文学におけるモダニティについて明らかにする。福家は沈従文を含む多くの知識人が流入した戦時下の雲南昆明という特殊地域における「疎開した制度」ともいうべき文学状況に取り組む。

 大東は、郁達夫の足取りから日中間の文化接触の諸相と南洋地域における制度としての中華文化の成立について明らかにする。


 以上、作り手にかかわる事項中心の文学史的記述を脱し、移動し伝播し流通し変化する制度としての文学テクストと、受容者としての読者の諸相に着目することによって40年代文学空間に対する新しい視座を獲得するものである。

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