冷たい風が吹く季節となりました。境内の紅葉が散っています。良寛さんの詠まれた歌に「裏を見せ 表を見せて 散る紅葉」というのがあります。良寛さんは晩年寝たきりになり、40歳も下の貞心尼さんに下の世話をしてもらいます。良寛さんの晩年の楽しみは、彼を師と慕う貞心尼さんとの歌のやりとりだったといいます。良寛危篤の知らせを受けた貞心尼さんは急ぎ駆けつけます。臨終までの一週間、心を尽くして良寛さんの世話をします。良寛さんはそのときこの歌を詠みました。寝たきりになって、下の世話まで面倒をみてもらっているからには、紅葉がはらはらと散るように、なんの隠し事もなく、死んでいきますと。
貞心尼さんが返します。
「いきしにの さかいはなれて すむ身にも さらぬわかれの あるぞかなしき」
世俗を捨てて、仏に仕える身になったいまでも、また別れがあるなんて悲しいと詠んでいます。
阿弥陀様のご本願はまた会う世界のあることを教えます。南無阿弥陀仏、なんまんだぶつ・・・
―住職より―
|