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ホラー小説の書評

 

鎌田敏夫 (かまた としお)

 
(プロフィール)
早稲田大学政治経済学部卒業。
1972年、『飛び出せ青春』でデビュー。
その後、『俺たちの旅』『金曜日の妻たちへ』『男女7人夏物語』『29歳のクリスマス』(94年、第45回芸術選奨文部大臣賞、95年、第13回向田邦子賞をダブル受賞)『里見八犬伝』『いこかもどろか』など、テレビドラマ、映画の脚本を数多く手掛ける。
 
  
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うしろのしょうめんだあれ

うしろのしょうめんだあれ

おススメ度:(5点満点)

本体価格:495円+税
発行所  :角川ホラー文庫
発行日  :2000年8月28日
形態   :文庫・249ページ

ジャンル:ホラー小説
 内容
 見知らぬ道をずぶぬれになりながら着物を着て歩いていた小夜子。 彼女には自分の名前以外の記憶が無かった。 そんな彼女を一人の警察官が助けてくれるのであるが、警察官は別れ間際に彼女に「きみは死んだ人間なんだ。 人の後ろに立つと、その人間の怨みの中にきみの怨みが入ってしまう。」と告げる。

 感想
 主人公に死者の姿が見え、また生きている人の中に死者が入り込んでしまい、その人の生活に影響を与えるという、なんだか「シックスセンス」と「ゴースト」を思わせるような設定が面白い。 話のテンポがよく、またページ数も比較的少ないこともあり一晩で一気に読みきってしまった。 ただ登場人物が少なく、それらの人々の間で話を完結させようとしたためにご都合主義が垣間見える点と、話の世界観が狭い世間で完結してしまっているのは残念であった。
(書評作成:2005年9月9日)
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牧村 泉 (まきむら いずみ)

 
(プロフィール)
1960年滋賀県大津市生まれ。
関西大学社会学部卒業。
広告制作会社勤務を経て、コピーライターとして活躍する。
 
  
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邪光

邪光

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,600円+税
発行所  :幻冬舎
発行日  :2003年2月10日
形態   :単行本・373ページ

ジャンル:ホラー小説、ドラマ化された小説

目次
プロローグ
第一章 玉音
第二章 亀裂
第三章 天涯
エピローグ
 内容
 ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作
 ”邪光”という人から発せられる悪の気配が見えるとして猟奇的な殺人を繰り返した教祖の娘・黎子が引っ越してきた。 黎子を忌み嫌う人たちは黎子に嫌がらせをする。 主人公の真琴は黎子に同情し、彼女と親しくなる。 そんな中、次々と真琴の周りで傷害事件や殺人事件が起こる。 その現場には、必ず黎子がいた。

 感想
 水野真紀主演でドラマ化(土曜ワイド劇場)された原作である。 ドラマは途中から見たので面白いとは思いつつも内容がいまいちよく分からなかったので、本作を読んだ。 猟奇的な殺人事件を”邪光”というオカルト的内容と結び付けている点が面白い。
 オカルト的内容であるけれども、結局傷害事件や殺人事件を引き起こすのは生きている人間であり、さらに”邪光”はその人間の奥底にある悪の部分に由来するということで、人間の怖さを描き出している。 エンディングはハッピーエンドではなく、心にどんよりとしたものが残るが、こういう終わり方もありかなと思う。
(書評作成:2006年7月12日)
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林 巧 (はやし たくみ)

 
(プロフィール)
1961年大阪府生まれ。
慶応義塾大学文学部卒業。
妖怪と音楽と人を訪ねて、アジアの都市やジャングルを旅する。
 
  
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予言

予言

おススメ度:(5点満点)

本体価格:552円+税
発行所  :角川ホラー文庫
発行日  :2004年9月25日
形態   :文庫・234ページ

ジャンル:ホラー小説、映画化された小説
 内容
 つのだじろうの『恐怖新聞』を原作とする映画のノベライズ。
 家族とともに車で帰省中だった里見は、電話ボックスに立ち寄り、そこである新聞を目にする。 そこには愛娘の事故死を伝える記事が掲載されていた。 事故の日時は今から数分後である。 そして運命の時間に新聞記事の予言どおりの事故が発生した。
 事故から3年後、里見と彼の元妻・綾香は娘の死を予言した「恐怖新聞」の謎を追う。

 感想
 小説を見る分には恐怖というものはあまりない。 ただ映像にすると一つ一つの描写は怖いかもしれない。 ネタバレになるのであまり詳しくは述べないが、本書のストーリーは、『君といた未来のために−I'll be back-』(1999年1月16日〜3月20日放映作品(NTV系)、堂本剛、遠藤久美子、佐野史郎、内藤剛志ら)に似ていると思った。 そういう点では本書はホラーというよりもむしろSFといったほうが適切かもしれない。
 話としては非常に面白いと思った。 最後の思わせぶりなエンディングも、すっきりとはしないがこれが一番ベストな終わり方だなと思った。 欲を言えば、「恐怖新聞」が何モノで、どこから来るのかについてもう少し突っ込んだ描写があっても良かったと感じた。
(書評作成:2007年8月25日)
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塚橋一道 (つかはし かずみち)

 
(プロフィール)
1970年秋田生まれ。
シナリオセンター基礎科、東宝現代劇戯曲科養成講座修了。
ノベライズなど数多く手がける。
 
  
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感染

感染

おススメ度:(5点満点)

本体価格:476円+税
発行所  :角川ホラー文庫
発行日  :2004年9月25日
形態   :文庫・155ページ

ジャンル:ホラー小説、映画化された小説
 内容
 映画「感染」のノベライズ。
 経営危機に瀕している病院で、些細なことから医療ミスによる死亡事故が発生した。 外科医の秋葉と内科医の魚住は保身から事故の隠蔽を決断する。 そんなとき緑色の出血を伴い、内臓が融け始めた奇怪な急患が担ぎこまれてくる。

 感想
 ページ数がわずか155ページということもあり、すぐに読み終えてしまう。 話に内容自体は怖くなく、ホラーというよりもサイコサスペンス的な話である。 小説の中でもスプラッタ的な表現が随所に出ており、(映画は見ていないが)おそらく映画ではスプラッタ的な映像で怖さを表現しているのであろう。
 肝心の小説の内容であるが、表現不足、説明不足によると思われる疑問や謎が散見された。 おそらく映画の内容を忠実に小説にしたと思われるが、それは単なる手抜きとしか思えない。 ページ数も少ないのだから多少なりとも想像を働かせて文章を足して、映画を見た人に対しても新たな発見をさせるような加筆が必要と思う。
 ネタバレになるので詳細にはかけないが、エンディングを見ると感染2などの続編を考えているのであろうか?
(書評作成:2007年8月30日)
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嶽本野ばら (たけもと のばら)

 
(プロフィール)
京都府宇治市生まれ。
2000年、書き下ろし小説集『ミシン』(小学館)で作家デビュー。
03年、『エミリー』(集英社)、04年『ロリヰタ。』(新潮社)が二年連続で三島由紀夫賞候補になる。
 
  
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おろち

おろち olochi,super remix ver.

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,100円+税
発行所  :小学館
発行日  :2008年9月16日
形態   :新書・287ページ

ジャンル:ホラー小説、映画化された小説
 内容
 大富豪・門前家に生まれる女性はいずれもが類まれなる美しさを持っている。 それと引き換えにある宿命をも持っていた。 門前家に生まれた二人の姉妹の間で繰り広げられる人間劇を描く。
 本書は、楳図かずお「おろち」の第一話「姉妹」、第九話「血」および映画「おろち」の設定を元に著者が創作した小説である。

 感想
 実におどろおどろしい人間模様が描かれており、後からじわじわと怖さが湧き出てくる。 はじめは「おろち」の存在が無いかよくわからず、その点が引っかかっていたが、調べてみると原作でも謎に満ちた存在で、傍観者であるということ。 その点が理解できてからは実にすっきりと話に打ち込めた。
 鬼才・楳図かずおワールドが堪能できる。 どろどろした人間模様の恐怖を味わいたいという人にオススメである。
(書評作成:2009年4月4日)
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行川 渉 (ゆきかわ わたる)

三遊亭円朝 (さんゆうてい えんちょう)原作

奥寺佐渡子 (おくでら さとこ)脚本

 
(プロフィール)
行川 渉: 1970年生まれ。
文筆業。ノベライズなどを多く手がける。
 
  
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怪談

怪談

おススメ度:(5点満点)

本体価格:476円+税
発行所  :角川ホラー文庫
発行日  :2004年9月25日
形態   :文庫・189ページ

ジャンル:ホラー小説、映画化された小説
 内容
 映画「怪談」のノベライズ。 原作は天才落語家・三遊亭円朝の名作「真景塁ケ淵(しんけいかさねふち)。
 父を惨殺された娘・豊志賀、その父を殺した男の息子・新吉が出会い、愛し合ってしまった。 燃えるような恋に落ちる二人であるが、やがて新吉は豊志賀から離れる。 失意の中絶命した豊志賀が新吉をがんじがらめにして、地獄に落とす物語。

 感想
 映画のノベライズではあるが、その負の面が出てしまっていると思う。 映画ではどうしても映像上のインパクトを与えるために、見た目の派手さを表現してしまう。 本書でも特に後半部分で血なまぐさい表現が目立った。
 一方、日本の古典的な怪談は恨み、ねたみなどの心理面から怖さを訴えるものであるはず。 話の題材としては面白いと思うが、映像を忠実に文書にしようとするあまり心理面の怖さがスポイルされていると思う。 非常に残念である。
(書評作成:2008年5月17日)
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