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恒川光太郎さんの本の書評

 

恒川光太郎 (つねかわ こうたろう)

 
(プロフィール)
1973年東京都生まれ。
大学卒業後、様々な職業を経て、現在沖縄在住。
2005年、「夜市」で第12回日本ホラー小説大賞を受賞。
 
夜市  秋の牢獄
 
  
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夜市

夜市

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,200円+税
発行所  :角川書店
発行日  :2005年10月30日
形態   :単行本・179ページ

ジャンル:ホラー小説

目次
夜市
風の古道
 内容
日本ホラー小説大賞を受賞した「夜市」を含む2つの短篇

夜市
妖怪たちが集う夜市では何でもほしいものが手に入る。 幼いころ、夜市に迷い込み弟と引き換えに野球の才能を手に入れた裕司は弟のことをずっと気にかけたまま成人した。 ある日夜市が再び開催されることを知った裕司は弟を買い戻すため再び夜市を訪れる。

風の古道
幼いころ迷子になった主人公は神々が住む「風の古道」に迷い込むが無事生還した。 そのときの体験を胸に抱いたまま主人公は成長するが、ある日ふと友人のその道のことを話し、再びその道に迷い込む。

 感想
 日本ホラー小説大賞を受賞しているが、分類としてはホラーというよりもむしろファンタジーに近いという感じである。 どちらかというと「千と千尋の・・・」に出てくるような世界観である。 いずれの話も幼少のころの奇妙な体験を成長して後再び体験するという内容である。 短篇であり非常に読みやすい。
 いずれの話も最後のエンディングがよい意味で読者の期待(思い)を裏切る結末であり、最後の1ページまで楽しんで読める。
(書評作成:2006年7月8日)
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秋の牢獄

秋の牢獄

おススメ度:(5点満点)

本体価格:514円+税;
発行所  :角川書店
発行日  :2007年9月25日
形態   :文庫・217ページ

ジャンル:ホラー小説

目次
秋の牢獄
神家没落
幻は夜に成長する
 内容
 何かに囚われる”牢獄”をテーマとした3篇の短篇集。

秋の牢獄
 女子大生の藍は11月7日水曜日を何度も繰り返し、翌日に進むことができなかった。 彼女は自分と同じ境遇を抱える人がほかにもいることを知る。

神家没落
 自宅近くで、不思議な藁葺き屋根の民家があることを発見した主人公は、好奇心からその家を訪問する。 その家は全国を転々と移動する家であり、主人公はその家の中に閉じ込められてしまう。

幻は夜に成長する
 主人公のリオは幻を見て、さらにそれを人の見せることができるという能力を持っていた。 その能力に目をつけた組織によりリオは幽閉され、紫の法衣と黒髪のかつらをまとい、現れては消える数多の人々の地獄を、御簾越しに受け取る毎日を送ることとなった。

 感想
 いずれもが不思議な世界観を持つストーリーであり、話の面白さとストーリーの短さもあって、一気に読みきってしまった。 分類上はホラーにしているが、描写の怖さというものは一切なく、”閉じ込められる”ということの精神的な怖さを感じさせられた。
 自分自身が閉じ込められると考えた場合の怖さを感じ、また閉じ込められた環境になれ始めた中から開放され”自由”を手に入れるということにも怖さ(というよりも不安)があるということを感じた。 われわれの日常生活も変化というものをあまり好まず、ありふれた平凡な日常をつつがなく送るということが多いような気がする。 それって日常に”閉じ込められている”状態ではないだろうか?閉じ込められることにより自由は制限されるが生活を保障されるのがいいのか、自由を手に入れる代わりに先が見えない不安も合わせて手に入れてしまうのがいいのか、このストーリーを読みながらそのようなことをふと考えてしまった。
 いずれにせよ、どの作品も独特の世界観を持つ面白いストーリーなので、ぜひ呼んでみることをお勧めしたい。
(書評作成:2013年8月22日)
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