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鈴木光司さんの本の書評

 

鈴木光司 (すずき こうじ)

 
(プロフィール)
1957年、浜松市生まれ。慶應大学仏文科卒。
1990年「楽園」で日本ファンタジーノベル賞を受賞してデビュー。
代表作として「リング」、吉川英治文学新人賞を受賞した「らせん」など。
 
【リングシリーズ】
リング  らせん  ループ  バースデイ
【その他のホラー】
仄暗い水の底から
【その他】
光射す海  楽園  生と死の幻想  サイレントリー
 
  
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リング

リング

おススメ度:(5点満点)

本体価格:540円
発行所  :角川ホラー文庫
発行日  :1993年4月
形態   :文庫・331ページ

ジャンル:ホラー小説、映画化・ドラマ化された小説

目次
第一章 初秋
第二章 高原
第三章 突風
第四章 波紋
 内容
 それを見ると一週間後に死んでしまうという呪いのビデオ。 そのビデオを見てしまった新聞記者の浅川は自分と自分の家族の命を守るため大学教授の高山竜司と協力して、一週間という限られた時間でビデオに隠された秘密を解き明かしていく。

 感想
 映画(邦画と洋画の両方)とテレビでリングにはまってしまい、最後に小説を読んだ。 映画やテレビとはストーリーがかなりの点で違っていて面食らったが楽しく読めた(実際には映画やテレビのほうがアレンジしてるんだけど)。 ビデオを見て呪われるっていう発想が出てくること自体に脱帽。 その後、リングに影響を受けたような小説が相次いで出版されているが、オリジナリティでは本作にはかなわない。 ただ貞子の秘密はちょっと納得できなかった。
(書評作成:2003年11月24日)
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らせん

らせん

おススメ度:(5点満点)

本体価格:648円
発行所  :角川ホラー文庫
発行日  :1997年11月
形態   :文庫・422ページ

ジャンル:ホラー小説、映画化・ドラマ化された小説

目次
第一章 解剖
第二章 失踪
第三章 解読
第四章 進化
第五章 予兆
 内容
 吉川英治文学新人賞受賞作品。
 前作のリングでは貞子の呪いの媒体はビデオテープのみであった。 しかし本作では呪いの媒体がビデオテープから進化し、世界中に貞子の呪いが蔓延していく。 前作の浅川に代わって呪いの謎に挑むことになった監察医の安藤はやがて呪いの謎を解き明かし真理に到達するが、そこでは究極の選択が用意されていた。 それは・・・

 感想
 らせんもリングと同様にまず映画とテレビを見て、その後小説を読んだ。 リング同様面白かったが、何でたった一人の女性(?)のために世界が滅んでしまうのか?、ちょっと考えが飛躍しすぎてるんじゃないっていう疑問は残った。
(書評作成:2003年11月24日)
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ループ

ループ

おススメ度:(5点満点)

本体価格:648円
発行所  :角川ホラー文庫
発行日  :2000年9月
形態   :文庫・431ページ

ジャンル:ホラー小説

目次
第一章 夜の終わりに
第二章 ガン病棟
第三章 地の果ての旅
第四章 地下空間
第五章 降臨
 内容
 リング、らせんのシリーズ完結編。 リング、らせんは実はループという○○の世界の話であった(まだ読んでない人があると楽しみを奪うといけないので伏せておきます)。 主人公の馨は世界に蔓延する病気について調査するうちにリングとらせんの世界とその秘密を知る。 そして世界を守るために馨がとった行動は・・・

 感想
 この本を読んで「リング」と「らせん」を読んでわいた疑問が晴れた。 ただSFチックであり、「リング」や「らせん」のおどろおどろしい雰囲気が感じられなかったのは残念。
 ただ「リング」や「らせん」とまったく別物と考えて読めば、楽しめると思う。 この作品も映画化すればいいのにと思う。
(書評作成:2003年11月24日)
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バースデイ

バースデイ

おススメ度:(5点満点)

本体価格:476円+税
発行所  :角川ホラー文庫
発行日  :1999年12月
形態   :文庫・422ページ

ジャンル:ホラー小説、映画化された小説

目次
空に浮かぶ棺
レモンハート
ハッピー・バースデイ
 内容
 リング、らせん、ループ3部作の登場人物について、3部作では語られていない話や登場人物のその後についての話。
「空に浮かぶ棺」ではリングやらせんでの重要な登場人物である高野舞(映画では中谷美紀、TVでは矢田亜希子)に関する話で、らせんで語られなかった部分について明らかにされている。
「レモンハート」は山村貞子(映画「リング0」では仲間由紀恵)の過去(舞台女優時代)について語られている。
「ハッピー・バースデイ」ではループの主人公の馨のパートナーである礼子とリング、らせん、ループを通しての主人公である高山竜司について、ループ以後の生活について語られている。

 感想
 リング、らせん、ループ3部作を読んだのでその続編も読んでおこうか、と思って読んだが・・・。 続編というよりも3部作外伝という位置づけであった。 このシリーズはループで終わりにしてバースデイに書かれている部分は読者の想像に任せておいたほうがよかったかもしれない(本書は出すべきではなかったと思う)。
「レモンハート」は「リング0」の原型となった話とのことであるが、映画とはぜんぜん別物であった。 映画のほうが格段に面白かったし、話としてもよくできていたと思う。
(書評作成:2005年6月25日)
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仄暗い水の底から

仄暗い水の底から

おススメ度:(5点満点)

本体価格:533円
発行所  :角川ホラー文庫
発行日  :1997年9月
形態   :文庫・275ページ

ジャンル:ホラー小説、映画化された小説

目次
プロローグ
浮遊する水
孤島
穴ぐら
夢の島クルーズ
漂流船
ウォーター・カラー
海に沈む森
エピローグ
 内容
 東京湾、海、水をキーワードにした”都市伝説”系のホラー話を監修した短篇集。

 感想
 角川ホラー小説から出版されているので便宜上分類はホラーとするが、監修された話の中でホラーといえるのは「浮遊する水」、「夢の島クルーズ」、「漂流船」くらいであろう。 あとの話はホラーというよりどっちかというとミステリー、ファンタジーに分類されるか。 ものすごく怖いという感じはなかったが、死体を多く登場させたりや残虐な死に方や殺し方の表現を全く用いることなく、ぞくっとした感じを読者に与える手法はさすがであると感じた。 「浮遊する水」の話を読んだりすると水道水を飲むのをためらってしまう。
(書評作成:2004年2月4日)
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光射す海

光射す海

おススメ度:(5点満点)

本体価格:476円+税
発行所  :新潮文庫
発行日  :1996年6月1日
形態   :文庫・309ページ

ジャンル:サスペンス・ハードボイルド

目次
第一章 鏡の中
第二章 マグロ船
第三章 ウォールフルーツ
第四章 邂逅
 内容
 入水自殺を図った女性が精神病院に運び込まれた。 彼女は一切の記憶を失っていた。 彼女に興味を持った精神病院の元患者が彼女に身辺を調査し、彼女が元歌手であること、彼女の恋人はマグロ漁船にのって遥か離れたニュージーランド沖にいることを知る。 彼女が自殺っを試みた、また記憶を失った原因はどこにあるのか。

 感想
 ホラー以外の鈴木氏の小説をはじめて読んだ。 記憶を失った女性の生い立ちを中心に話は構成されているが、彼女を取り巻く人物の人生(主に影の部分)がうまくミックスされている。 また刻一刻と変化する登場人物の心境がうまく描かれている。
 ただ登場人物の一人一人に宿命を負わせすぎている感があり、話は各個人を中心として膨らんでいくが、話が発散して登場人物のキャラクターになにを求めているのかが分からない。 もっと言うなら誰が主人公かも分からない(精神病院の先生?、彼女の恋人?)。この点が残念である。
(書評作成:2004年2月23日)
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楽園

おススメ度:(5点満点)

本体価格:514円+税
発行所  :新潮文庫
発行日  :1990年1月1日
形態   :文庫・307ページ

ジャンル:SF

目次
第一章 神話
第二章 楽園
第三章 砂漠
 内容
 太古のモンゴル砂漠で暮らしていた男女が、他部族の襲撃により離れ離れになってしまった。 伝説の赤い鹿の精霊に導かれた男は、最愛の妻を追うが、妻は氷結したベーリング海を越えてアメリカ大陸に至る。 男はベーリング海を渡ることができずに南太平洋に船を出す。
 男と女の子孫は数奇な運命に導かれ、一万年の時と空間を経て再びめぐり合う。

 感想
 3章から構成されているが、いずれの話も時間と場所が異なるため、独立した話として楽しめる。 話の節々にキーワードとなる「赤い鹿」が出てきて関連性を持たせている。 話のキーワードは「愛」、「運命」であると思うがうまく表現されていると思う。 一万年の時間を経てめぐり合うという設定は面白いが、めぐり合ってどうなったのか、という部分が表現されていない点がちょっとだけ残念である。
(書評作成:2005年6月5日)
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生と死の幻想

生と死の幻想

おススメ度:(5点満点)

本体価格:533円+税
発行所  :幻冬舎文庫
発行日  :1998年4月25日
形態   :文庫・273ページ

ジャンル:日本文学(文芸)

目次
紙おむつとレーサーレプリカ
乱れる呼吸
キー・ウェスト
闇の向こう
抱擁
無明
 内容
 家族を守るために父がとる行動に焦点を当てた6篇の短篇集。 家族を守るため悪と正義の狭間で考えをはべらす父の姿を描いている。

 感想
 「紙おむつとレーサーレプリカ」、「闇の向こう」、「無明」は家族を守るための父の怒り(しかも犯罪に手を染めかねないくらいの)が描かれており面白かった。 他の話の家族に対する父の感情が描かれていたが、先の話に比べるといまいち何を伝えたかったのか分からなかった。
 本の末尾には「問題作」や「傑作」という言葉が踊っていたがそこまでのものではないと思う。 まあひまつぶしに読むといった類の本かな、という感想である。
(書評作成:2007年5月27日)
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サイレントリー

サイレントリー

おススメ度:(5点満点)

本体価格:400円+税
発行所  :新潮文庫
発行日  :2002年12月1日
形態   :文庫・238ページ

ジャンル:日本文学(文芸)

目次
目覚めれば目の前は海
大山
結婚指輪
枝の折れた小さな樹
人生相談
一輪車
サイレントリー
 内容
 人生に苦悩する人々のちょっとしたターニングポイントに焦点を当てた7篇の短篇集。

大山
 バブルに踊らされた染谷はバブル崩壊とともに、お金だけでなく愛する家族も失うことになった。 死に物狂いで働き、バブル時代の借金返済にめどが立った染谷は、別れた家族が住む九州まで電車で移動する。果たして家族は会ってくれるだろうか?

枝の折れた小さな樹
 娘の死とともに、家族それぞれの心はバラバラになってしまった。 愛する娘を失って心を閉ざしてしまった母、ばらばらになった家族を憂う父。 そんな父に対し、息子が見せたのはCGで描かれた亡き娘が幸せに人生を全うする過程であった。

一輪車
 ふとしたことがきっかけで不登校となってしまった娘。 そんな娘を立ち直らせようと奮闘する父に対し、娘が要求したのは父が一輪車に乗ることであった。

 感想
 いずれの話も、話としては未完了であり、結末は読者の想像にゆだねられている。 その考え方次第で、すっきりとした感想を抱く場合もあるだろうし、消化不良の感想を抱くことがあるかもしれない。 私としては、いずれの話も比較的好意的に受け止めることができた。
 特に良いと思ったのは、上であらすじを簡単に紹介した「大山」、「枝の折れた小さな樹」、「一輪車」の3つの話である。
 さて、鈴木光司氏というと、代表作として「リング」を思い出すように、ホラー作家の印象が強い。 そのような中で本作のような純文学的な作品も執筆されているのは驚きである。
(書評作成:2016年2月13日)
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