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奥田英朗さんの本の書評

 

奥田英朗 (おくだ ひでお)

 
(プロフィール)
1959(昭和34)年、岐阜県生まれ。
プランナー、コピーライター、構成作家を経て、作家に。
2002年に『邪魔』で第4回大薮春彦賞受賞。
2004年に『空中ブランコ』で第131回直木賞受賞。
 
【精神科医・伊良部シリーズ】
イン・ザ・プール  空中ブランコ  町長選挙
【小説(その他)】
邪魔  真夜中のマーチ
【エッセー】
泳いで帰れ  港町食堂
 
  
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イン・ザ・プール

イン・ザ・プール

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,238円+税
発行所  :文藝春秋
発行日  :2002年5月15日
形態   :単行本・269ページ

ジャンル:日本文学(文芸)、映画化・ドラマ化された小説

目次
イン・ザ・プール
勃っち放し
コンパニオン
フレンズ
いてもたっても
 内容
 「伊良部総合病院」のとんでもない精神科医・伊良部と、ちょっと変わった病気をもった患者さんとの掛け合いを描いた、コメディータッチでありながらちょっとほろっとさせる短編小説。
 水泳狂の会社員を描いた「イン・ザ・プール」、持続性勃起症の会社員を描いた「勃っち放し」、ストーカー被害を訴える女性を描いた「コンパニオン」、携帯依存症の高校生を描いた「フレンズ」、強迫神経症のルポライターを描いた「いてもたっても」。

 感想
 電車やバスの中で読むのは危険。 つい笑い出してしまうから。まさに活字のコミックという感じである。 奇妙な症状を抱えると伊良部との掛け合いを面白おかしく描きながら、現代人の抱える心の不安定性について考えさせられる。 また奇天烈なやり方ながらも患者のためを思い最終的には心の病の元を取り除く伊良部の姿に感動を覚える。 単なるコメディタッチの小説に留まらず、様々なことを考えさせる点はさすが直木賞作家だと思った。
(書評作成:2006年8月30日)
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空中ブランコ

空中ブランコ

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,238円+税
発行所  :文藝春秋
発行日  :2004年4月25日
形態   :単行本・269ページ

ジャンル:日本文学(文芸)、ドラマ化・アニメ化された小説

目次
空中ブランコ
ハリネズミ
義父のズラ
ホットコーナー
女流作家
 内容
 第131回直木賞受賞作品。 
 人間不信になり空中ブランコのジャンプができなくなったサーカス団員を描いた「空中ブランコ」、先端恐怖症になったやくざを描いた「ハリネズミ」、義父のカツラをはずしたい衝動に駆られた医大講師を描いた「義父のズラ」、送球恐怖症になったプロ野球の花形三塁手を描いた「ホットコーナー」、嘔吐症に陥った売れっ子恋愛作家を描いた「女流作家」。 いずれもきっかけは些細なことであるが生活にまで支障をきたすようになった精神に病を抱える人たちと、奇天烈精神科医・伊良部との掛け合いを面白おかしく描いている。

 感想
 直木賞受賞作ということで、文学を読むという心構えで読み始めたが、最初の数ページでそのような心構えは吹き飛んでしまった。 面白くて文学というよりコメディー、コミックを読んでいるような感覚であった。 精神病患者と医者の話が舞台であり、ともすれば非常にデリケートな話題で暗く沈みこんでしまいがちなテーマであるが、この作者にかかるとまるで漫才のボケとツッコミである。
 直木賞作らしからぬ作風であるが、読んで損はない。 かなりオススメできる作品である。 著者の他の作品も読んでみたいと思わせるできである。
(書評作成:2006年6月17日)
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町長選挙

町長選挙

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,238円+税
発行所  :文藝春秋
発行日  :2006年4月15日
形態   :単行本・258ページ

ジャンル:日本文学(文芸)、ドラマ化された小説

目次
オーナー
アンポンマン
カリスマ稼業
町長選挙
 内容
 「イン・ザ・プール」、「空中ブランコ」に次ぐ伊良部・精神科医の活躍を描く第3弾。 今回は、プロ野球チームの名物ワンマンオーナー、M&Aを仕掛ける若手IT企業の社長、いつまでも若さを保ち続けるカリスマ女優、東京のある孤島で繰り広げられる町長選挙に関係する都職員、の悩みを題材に伊良部の活躍を描く。

 感想
 「オーナー」、「アンポンマン」、「カリスマ稼業」は明らかに実在の人物(それぞれ、ナベツネ、ホリエモン、黒木瞳)を題材に書かれている。 実在の人物の境遇とはエンディングを変えて小説としている。この小説の通り振舞えれば彼らも少しは世間に人たちに理解されたのに、と思う。
 話はというと、相変わらず面白おかしく書かれているのであるが、前2作から見ると毒気が抜かれており、ちょっと物足りなさも感じる。 3匹目のドジョウを狙ったのであろうが、面白さも、毒気も、人情味も前2作に遠く及ばなかったのは残念。
(書評作成:2007年7月16日)
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邪魔

邪魔

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,900円+税
発行所  :講談社
発行日  :2001年4月1日
形態   :単行本・454ページ

ジャンル:サスペンス・ハードボイルド
 内容
 第4回大薮春彦賞受賞作。
 小さな街での些細な放火事件。 単純な事件であるはずが、やくざと警察、企業の癒着問題が絡み合い複雑な事件に発展していく。 放火事件に間接的に関わることになった、不良高校生・渡辺、主婦・及川、警察官・九野のそれぞれの視点から、放火事件の背景を描くとともに、些細なことから日常生活が崩壊してしまう様を描いている。

 感想
 描かれている事件はほんとに些細で単純なものであるが、それぞれの人びとがわが身にかかる問題を先送りしてしまうがためにどんどん深みにはまり、望まざる結末を迎えてしまう。 自分に都合が悪いことはできるならば先送りしたい、そのような心理は誰もが持っていること。 そういう意味で、登場人物の心理がよく理解でき、また感情移入しやすかった。 本作を読んでいると日常生活を普通に送ることが幸せであるということ、またそのような幸せは些細なことで壊れてしまうかもしれないということ、を感じさせられた。
 ページ数が多かったが、ついつい物語りに引き込まれ一気に読みきった。
(書評作成:2006年9月2日)
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真夜中のマーチ

真夜中のマーチ

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,500円+税
発行所  :集英社
発行日  :2003年10月10日
形態   :単行本・305ページ

ジャンル:ミステリー小説、映画化・ドラマ化された小説
 内容
 青年実業家気取りのパーティー屋ヨコケン。 むっつりすけべの一流商社マン、ミタゾウ。 高飛車で強がりのモデル、クロチェ。 ひょんなことから知り合った、男2人と女一人+犬一匹。正確もバラバラの彼らであるが、10億円を強奪するという目標目指して一致団結。 ねらうは完全犯罪であるが、やくざや中国マフィアなどが入り乱れての大乱闘。 果たして彼らは10億円を手に入れることができたのであろうか?

 感想
 話の設定が現実離れしていれば、登場人物のキャラや正確も現実離れしている。 しかしユーモアたっぷりの表現で、しかも息つく暇もなく次から次へ話が展開していくので、全く飽きることなく一気に読めてしまう。
 お気楽なミステリーと考えれば、暇つぶしにはもってこいである。 2時間程度もあればすべて読み切れてしまう。 コストパフォーマンス的には少々厳しい。 600円程度で文庫本で発売されるのを待つべきか?ただ奥田氏のファンにとっては間違いなく(問題なく)買いであろう。
(書評作成:2006年8月16日)
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泳いで帰れ

泳いで帰れ

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,400円+税
発行所  :光文社
発行日  :2004年11月25日
形態   :単行本・254ページ

ジャンル:エッセー
 内容
  アテネオリンピックの観戦のために現地を訪問した著者の日記。 アテネの様子や(野球を中心とした)オリンピック観戦記について面白おかしく語っている。
 題名の「泳いで帰れ」とは、野球のドリームチームのふがいなさに対して発せられた著者の本心。

 感想
 歯に衣着せぬ毒舌が痛快で面白い。アテネオリンピックが再びフラッシュバックしてきたかのようで面白かった。 スポーツの観戦記、しかもオリンピックというと日本びいきな日記になるとは思うが、題名に象徴されるようにほんと、思ったこと・感じたことをありのままに書いていて楽しめた。
 ほんと本書に書いてあるように野球チームのふがいなさには腹が立ったし、また中国人のあつかましさに対しても著者の意見に同感である。
(追記)北京オリンピック後にこの本を読むと、もっと何とかできたんじゃないか?4年前とちっとも状況が変わっておらず、何やってたんだ、という思いがふつふつとわいてきます。
(書評作成:2007年6月19日)
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港町食堂

港町食堂

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,300円+税
発行所  :新潮社
発行日  :2005年11月20日
形態   :単行本・237ページ

ジャンル:エッセー

目次
第1便 美人ママに叱られたい―高知・土佐清水篇
第2便 謎の生物VS.美人女医―五島列島篇
第3便 名もない小説家、ひとりたたずむ―宮城・牡鹿半島篇
第4便 N木賞などおかまいなし―韓国・釜山篇
第5便 食い意地のせいなのか?―日本海篇
第6便 極寒の孤島に閉じ込められて…―稚内・礼文島篇
 内容
  著者が日本各地の港町、韓国・釜山を船で旅し、その各地での出来事(主に食べ物とスナック)について面白おかしく書いている。

 感想
 ちょっと位置づけとしては中途半端。 旅行もののエッセーにしては紹介される内容が少ない。 また奥田氏特有の毒舌もかなり影を潜めている。書いてある内容は確かに面白いのであるが、あまり印象に残るところがなかった。
(書評作成:2008年9月25日)
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