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映画の原作(日本)の書評

 

小川洋子 (おがわ ようこ)

 
(プロフィール)
1962年、岡山県生れ。早稲田大学第一文学部卒。
1988年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。
1991(平成3)年「妊娠カレンダー」で芥川賞受賞。
2004年「博士の愛した数式」で読売文学賞本屋大賞を受賞。
 
  
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博士の愛した数式

博士の愛した数式

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,500円+税
発行所  :河出書房新社
発行日  :2003年8月30日
形態   :単行本・186ページ

ジャンル:日本文学(文芸)、映画化された小説
 内容
 事故のために80分間の記憶しか維持することができなくなった天才数学者の博士と、家政婦の私、10歳になる阪神タイガースファンの私の息子・ルート、の心温まる交流を描く。

 感想
 自分が80分しか記憶力が維持できなくなったとしたらどうなるであろうか?考えると非常に気が滅入ってしまう。 本作はそのような重いテーマを題材にしながらも、心温まるストーリーに仕上げられており、読後もすっきりとした気分になる。 文学作品というと、結局何が言いたかったんだろうか?とか、こんな結末でいいの?とかいう感想を持ちがちであるが、本作品ではそのようなことは決してなかった。
 本作品は2006年に寺尾聡主演で映画化されている。 通常小説を読むと映画は見なくてもいいか、と思ってしまうが、この独特の世界観がどのように映像化されているか見たくなった。
 また本作では難解な数式が数多く出てくる(これを紹介するために著者はすごく勉強されたと思います)が、それがぴりりとしたよいアクセントとなって作品を引き締めている。 数学って面白いんだな、と感じさせられた。
(書評作成:2007年4月8日)
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島尾敏雄 (しまお としお)

 
(プロフィール)
1917‐1986。横浜生まれ。九大卒。
『死の棘』で第29回読売文学賞、第10回日本文学大賞受賞。 
 
  
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死の棘

死の棘

おススメ度:(5点満点)

本体価格:882円
発行所  :新潮文庫
発行日  :1981年1月25日
形態   :文庫・620ページ

ジャンル:日本文学(文芸)、映画化された小説
 内容
 夫の情事のために、突然精神に異常をきたしてしまった妻。 それまでの平穏な生活は一変し、妻からの責めの言葉におびえる日々を送ることとなってしまった夫。 そのような一家の壮絶な生活がありのまま記録されている。

 感想
 妻は夫を絶えず責め続け、そんな親たちの姿を見て子供たちの心はすさんでしまっている。 自分がもしこのような夫の立場であったら、いったいどうなってしまうであろうかと考えてしまった。 おそらく逃げ出すか、発狂するかのどちらかであろう。
 そんな中、この夫は途中狂気にかられながらも何とか一家を守ろうと奔走している。 複雑な形態でありながらも、家族愛のようなものが感じられる作品であった。
 ただし、あまりにもすさんだその状況は読むのがつらいし、またページ数が多いこととあいまって、読完するまでにかなりの時間がかかってしまった。
(書評作成:2012年9月15日)
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リリー・フランキー

 
(プロフィール)
1963年福岡県生まれ。武蔵野美術大学卒業。
文章家、小説家、コラムニスト、絵本作家、イラストレーター、アートディレクター、デザイナー、作詞・作曲家、構成・演出家、ラジオナビゲーター、フォトグラファーなど多彩な顔を持ち、ジャンルの壁を自由に往来しつつ活動。
 
  
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東京タワーオカンとボクと、時々、オトン

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,500円+税
発行所  :扶桑社
発行日  :2005年6月30日
形態   :単行本・449ページ

ジャンル:日本文学(文芸)、ドラマ化・映画化された小説
 内容
 リリー・フランキーさんの自叙伝的小説。
 幼いころに家を出て行った”オトン”、”ボク”を無償の愛で包んで育ててくれた”オカン”、そして”ボク”の3人のちょっといびつな家族を描いている。

 感想
 前評判どおりとても感動した。 描かれている家族は決して裕福で幸せとはいえないけれどもいろんな意味での愛が描かれており、最後は決してハッピーエンドとはいえないが読後にすがすがしさが残った。
 この本を読むとこれまでの親に対する態度を反省し、親孝行したいという気にさせてくれます。 間違いなく良書だと思います。
(書評作成:2007年6月12日)
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田村 裕 (たむら ひろし)

 
(プロフィール)
1979年、大阪府吹田市生まれ。
吉本興業所属。
1999年10月に川島明とお笑いコンビ・麒麟を結成。
 
  
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ホームレス中学生

ホームレス中学生

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,300円+税
発行所  :ワニブックス
発行日  :2007年9月20日
形態   :単行本・191ページ

ジャンル:日本文学(文芸)、ドラマ化・映画化された小説
 内容
 麒麟・田村が一家離散から公園でホームレス生活を送ることとなったときから、川島と麒麟を結成するまでのエピソードの数々をつづった自叙伝的小説。

 感想
 漫才のネタになっている一家離散の話から始まる田村のこれまでの人生が、面白おかしく、けれども時には感動的に描かれている。 ホームレス生活の裏には、こんな面白くて感動的な秘話があるなんて思いもよらなかった。 笑える話もあるが、最後は感動の嵐。読後はきっと田村を応援したくなっているはず。
 TVの番組で離れ離れになったお父さんに出会えて本当によかったと思う。
(書評作成:2007年10月24日)
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伊集院 静 (いじゅういん しずか)

 
(プロフィール)
1950年、山口県生まれ。立教大学文学部卒。
1991年『乳房』で吉川英治文学新人賞、1992年『受け月』で直木賞、1994年『機関車先生』で柴田錬三郎賞、2002年に『ごろごろ』で吉川英治文学賞を受賞する。
 
  
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機関車先生

機関車先生

おススメ度:(5点満点)

本体価格:448円+税
発行所  :講談社
発行日  :1997年6月15日
形態   :文庫・243ページ

ジャンル:日本文学(文芸)、映画化された小説
 内容
 戦後間もない頃、瀬戸内の小島・葉名島を舞台にした小学校の先生と、子供たち、島の人たちのふれあいを描く。 児童わずか七人の小さな小学校にやって来た新任の先生・吉岡がやってきた。 彼は子供の頃の病気が元で、話をすることができなくなっていた。 話せない先生に教えられるのかといぶかしがる声もあり、また様々な事件も起こるが彼は子供たちとの心の交流を深めていく。

 感想
 まさに心温まる名作である。 戦後間もない純情な子供たちばかりの田舎を舞台にしており、ほのぼのとしている。 基本的には子供と先生の心のふれあい、幾多の苦難から子供、そして先生が成長していく過程を描いたベタ過ぎるほどの青春モノの小説である。 刺激的な小説が多い中、もう人波乱あってもよいのではと感じてしまったが、そんなことは大きな問題ではない。
 ココロとココロのふれあい以外にも反戦のメッセージもこめられている。 繰り返しになるが、幅広い年代の人に読んでもらいたい心温まる名作である。
(書評作成:2007年7月19日)
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桂 望実 (かつら のぞみ)

 
(プロフィール)
作家。1965年東京都生まれ。
大妻女子大学卒業。
会社勤務、フリーライターを経て、2003年1月『死日記』でエクスナレッジ社「作家への道!」優秀賞を受賞しデビュー。
 
  
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県庁の星

県庁の星

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,300円+税
発行所  :小学館
発行日  :2005年9月20日
形態   :単行本・255ページ

ジャンル:日本文学(文芸)、映画化された小説
 内容
 これまで県庁でエリートコースを歩んできた職員が、民間人事交流研修として地方の落ちぶれたスーパーに派遣された。 そこで周りの人々に煙たがられながらも交流していく様子を面白おかしく描いている。

 感想
 織田祐二、柴咲コウ主演で映画化された同名映画の原作である。 役人根性丸出しの主人公が”民間”で浮きながらも交流して成長していくのが面白おかしく描かれている。 ネタばれになるので詳細は書けないが、はじめはまったくなじめなかった主人公が周囲の人の信頼を得、最終的には(当然のことながら)ハッピーエンドでめでたしめでたしというストーリー。 よくあるありふれたストーリーである。 ただし他のよく似たストーリーでは何らかのきっかけがあって主人公と周りの人々の絆が出来上がっていくのであるが、この本ではそのあたりの記述が希薄な感じがした。 このため話の抑揚に欠けるように感じられた点が残念であった。
(書評作成:2007年12月23日)
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山田宗樹 (やまだ むねき)

 
(プロフィール)
1965年愛知県生まれ。
1998年「直線の死角」で第18回横溝正史賞を受賞。
 
  
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嫌われ松子の一生

嫌われ松子の一生

おススメ度:(5点満点)

本体価格:571円+税(上巻)、600円+税(下巻)
発行所  :幻冬社
発行日  :2004年8月5日
形態   :文庫本・350ページ(上巻)、389ページ(下巻)

ジャンル:日本文学(文芸)、映画化・ドラマ化された小説

目次
第一章 骨
第二章 流転
第三章 罪
第四章 奇縁
第五章 うたかた
終章 祈り
 内容
 東京のとあるアパートの一室で、川尻松子の惨殺死体が発見された。 松子の部屋を片付けるよう依頼された松子の甥・川尻笙は松子の生前に興味を持ち、調査を始めた。 そこには教師からソープ嬢、犯罪者、孤独な生活…と落ちていく壮絶な松子の人生があった。

 感想
 あまりにも痛すぎる松子の生涯が描かれていた。 なかなかありそうもないシチュエーション(設定)、松子の短絡的な性格であるが、転落人生とはまさにこのようなもの。 ありそうにもないと書いたがリアリティもあわせて感じられた。
 ストーリーは松子、笙、それから松子の転落人生のきっかけとなった人物(ネタばれになるので伏せます)のそれぞれの視点から描かれており、現代および過去の出来事が絡み合いながら進行していく。 どうしようもない松子の性格そして人生であるが、なんとなくいとおしく思えてしまうから不思議である。
 上下巻で700ページ強のページ数であるが、話のテンポがよく、一気に読みきってしまった。
(書評作成:2008年2月22日)
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細田 守 (ほそだ まもる)

 
(プロフィール)
1965年愛知県生まれ。
1998年「直線の死角」で第18回横溝正史賞を受賞。
 
  
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おおかみこどもの雨と雪

おおかみこどもの雨と雪

おススメ度:(5点満点)

本体価格:514円+税(下巻)
発行所  :角川文庫
発行日  :2012年6月25日
形態   :文庫本・244ページ

ジャンル:日本文学(文芸)、映画化・アニメ化された小説
 内容
 大学生の<花>は、大学でとある男性と出会い、やがて二人は恋に落ちる。 二人の間には、女の子の<雪>と男の子の<雨>に二人の子供が生まれるが、その一家には秘密があった。 その秘密とは男性は狼男であり、二人の子供はおおかみこどもであるということである。 貧しいながらも幸せに生きていた一家であるが、男性が死亡してしまう。 花は二人の子供を育てるため、田舎に引越しそこで自然に囲まれながら懸命に生きていく。

 感想
 映画は見ていないが、興味があったのでまずはその原作を見てみようと思った。 さわやかなストーリーであり、感動的な部分もあったが、いまいち感情移入しづらかった。 私自身にとっては、この本のテーマが分かりにくかったことが一番の要因であると思う。
 おそらくこの本のテーマは親子の愛であると思うし、随所にそれを匂わせる表現はある。 しかしエンディングに向かっての盛り上がりの場面で、残念ながら親子の愛というものの表現が希薄になってしまっている気がした。 エンディングがあまりにもあっさりとしすぎており、結局何のテーマについて書かれていたのが印象に残りにくかった。
(書評作成:2013年6月22日)
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