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湊かなえさんの本の書評

 

湊かなえ (みなと かなえ)

 
(プロフィール)
1973年広島県生まれ。
2008年デビュー作『告白』は、「週刊文春08年ミステリーベスト10」で第1位、第6回本屋大賞を受賞した。
2012年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞短編部門受賞
 
夜行観覧車  告白  少女
 
  
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夜行観覧車

夜行観覧車

おススメ度:(5点満点)

本体価格:648円+税
発行所  :双葉社
発行日  :2013年1月9日
形態   :文庫本・384ページ

ジャンル:サスペンス・ハードボイルド、ドラマ化された小説

目次
第一章 遠藤家
第二章 高橋家
      小島さと子 T
第三章 遠藤家
第四章 高橋家
      小島さと子 U
第五章 遠藤家
第六章 高橋家
      小島さと子 V
第七章 ひばりヶ丘
第八章 観覧車
      小島さと子 W
 内容
 とある高級住宅地・ひばりが丘において幸せそうに見えたエリート一家の高橋家の主人が殺されるという事件が発生した。 犯人として妻が逮捕され、事件直後から次男が行方不明となった。 残された長女は、被害者、加害者の両方の子供として周囲から好奇の眼で見られる。
 いったい何が原因で、このような事件が発生したのか? 高橋家の残された子供たち、および高橋家の近所の遠藤家と小島家の両方の視点から事件の背後にあるものに迫る。

 感想
 ひとつの殺人事件に対して、3つの家族の視点から描かれているが面白いと感じた。 この話で描かれているのは、各個人の心の奥底にある闇の部分である。 幸せそうに見える人でも、心のそこにはさまざまなどうしようもない悩みがあること、またちょっとしたことでの心の動きがストーリーの全編を通じて丁寧に描かれている。
 重苦しいテーマであり、また決してハッピーエンドとはいえない結末であったが、事件を通じて各人の成長が見られた点で多少救われたような気になった。
(書評作成:2013年3月30日)
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告白

告白

おススメ度:(5点満点)

本体価格:619円+税
発行所  :双葉文庫
発行日  :2010年4月11日
形態   :文庫・317ページ

ジャンル:サスペンス・ハードボイルド、映画化された小説

目次
第一章 聖職者
第二章 殉教者
第三章 慈愛者
第四章 求道者
第五章 信奉者
第六章 伝道者
 内容
 わが子を校内で亡くした女性教師が、終業式のホームルームにおいて子供の死は事故ではなくクラスの生徒により殺されたという衝撃の”告白”を行った。 女性教師はその日を境に学校をやめ、生徒たちの前から姿を消すが、残されたものにはさまざまな動揺や思惑が残る。
 事件の背景やその後のついて「級友」、「犯人」、「犯人の家族」という異なる視点での”告白”により語られていく。

 感想
 はっきりいってすごく陰惨な話題が取り上げられているため、読んでいて楽しくなるわけでもない。 またおのおのの登場人物もさまざまな欠陥を抱えており、全く魅力的ではない。
 しかしすごくストーリーには惹きつけられ、陰惨な話でありながらも読後には妙な爽快感というものが残った。 非常に不思議なストーリーである。 なお、ここで語られる話はあくまでもおのおのの人物による”告白”であり、どこまで真実が語られているのかは不明である。あとがきでも書かれているが、おそらくはそのとり方ひとつでこの物語は一人ひとり全く違った印象になると思う。また繰り返し読むことで、その都度違った考えが得られると思う。
 ネットなどの口コミを見てみると、賛否両論がすごく極端になっている。それはおそらくうえのような理由によるものであると思う。
(書評作成:2013年4月27日)
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少女

少女

おススメ度:(5点満点)

本体価格:619円+税
発行所  :双葉文庫
発行日  :2012年2月19日
形態   :文庫・323ページ

ジャンル:サスペンス・ハードボイルド
 内容
 高校2年生の由紀と敦子は、とあることがきっかけで気持ちのすれ違いを感じていた。 そんなある日、二人は「親友の自殺を目撃した」という転校生の告白を聞き、”死”に対して、興味を抱くようになる。 二人は、夏休みを利用して、おのおの死の目撃を求め」、老人ホームと小児科病棟へのボランティアを行うことを決意した。

 感想
 プロローグとエピローグの数ページを除けば、基本的には二人の少女による青春のストーリーである。 お互い夏休みの経験を通じて精神的に成長し、最終的には気持ちのすれ違いやわだかまりが解消していく描写は実にほほえましく感じた。
 ただし、そのようなほほえましさをエピローグにおいて一転させて、読後になんともいえない不快な感じを残させている。 このエンディングに対して賛否両論があるが、私は単なるありきたりの青春ドラマではなく、人間の暗さで終わらせるという構成は実にユニークで面白いと感じた。
 このストーリーのテーマのひとつは、”因果応報”。 主人公の二人にはどのような因果応報が待ち構えているのか、想像せずにはいられない。
(書評作成:2013年9月7日)
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