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京極夏彦さんの本の書評

 

京極夏彦 (きょうごく なつひこ)

 
(プロフィール)
昭和38年、北海道生まれ。
1994年「姑獲鳥の夏」で衝撃的なデビューを飾る。
1996年「魍魎の匣」で第49回日本推理作家協会賞長編部門、1997年「嗤う伊右衛門」で第25回泉鏡花文学賞、2003年「覘き小平次」で第16回山本周五郎賞、2004年「後巷説百物語」で第130回直木賞を受賞。
 
【百鬼夜行シリーズ】
姑獲鳥の夏  魍魎の匣  狂骨の夢  鉄鼠の檻  絡新婦の理
【江戸怪談シリーズ】
嗤う伊右衛門
 
  
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姑獲鳥の夏

姑獲鳥の夏

おススメ度:(5点満点)

本体価格:840円
発行所  :講談社
発行日  :1998年9月14日
形態   :文庫・630ページ

ジャンル:ミステリー小説、映画化された小説
 内容
 百鬼夜行シリーズの第1弾。
作家の関口が、知人である古本屋にして陰陽師の京極堂(中禅寺)に奇妙な話を持ち込む。 東京・雑司ヶ谷の医院において、娘は20箇月も身籠ったままで、その夫は密室から失踪したという。
 京極堂、関口、さらにその知人である探偵・榎木津らは、その奇妙な事件の謎に挑む。

 感想
 非常に長い話で読み終えるまでかなりの時間がかかった。 特に序盤の関口と京極堂の話の部分はすごく長くて、多少いらいら感もあった。
 しかしそれらは話の展開上必要不可欠の部分であり、中盤以後事件の真相が解き明かされるに従って序盤の話が伏線となっていたことに気づかされる。
 600ページ以上もあり、読むのかなり労力を使う。 ただし中盤以後話はテンポよく進んでいき、非常に楽しく読み進めることができた。
 単なるミステリーにとどまらず、人間の心理の不可思議を考えさせられる作品である。
(書評作成:2010年10月3日)
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魍魎の匣

魍魎の匣

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,200円
発行所  :講談社
発行日  :1995年1月5日
形態   :新書・683ページ

ジャンル:ミステリー小説、映画化・アニメ化された小説
 内容
 百鬼夜行シリーズの第2弾。
楠本頼子と柚木加菜子は2人で最終電車に乗って湖を見に行こうと約束するが、加菜子は中央線武蔵小金井駅のホームから何者かに突き落とされ、列車に轢かれてしまう。 瀕死の重傷をおった加菜子が運び込まれたのは奇妙な箱状の建物であった。 そんな中、加菜子が誘拐される事件やばらばら殺人事件が相次いで起こる。

 感想
 非常に長い小説で、読み終わるまでかなりの時間がかかってしまった。とはいえ内容は非常に面白く、読むのは全く苦痛ではなかった。 いくつかの事件が複雑に重なり合い、それらが京極堂の推理で次々と解きほぐされていく様は痛快そのもの。
はっきり言って読後にどんよりとした気分になるようなエンディングであるが、不思議と後味の悪さを全く感じさせない。 アニメになっているので、まずそちらを見てから本書を読むと本書の世界観にすんなりと入ってこれると思う。
(書評作成:2010年8月29日)
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狂骨の夢

狂骨の夢

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,100円
発行所  :講談社
発行日  :1995年5月8日
形態   :新書・578ページ

ジャンル:ミステリー小説
 内容
 百鬼夜行シリーズの第3弾。
 殺したはずの夫が生き返り家を訪れ、そのたびに夫を殺して首を切断したという女、波間を漂う金色の髑髏、集団自決事件、と一見何のかかわりもない事件群の解決に対して憑き物落としの京極堂が活躍する。

 感想
 非科学的な事件の連続で、ストーリー展開が全く読めななかったが、最後はものの見事に問題解決に持っていく展開はさすが。
 物語のはじめのうちは「不思議だらけ」で、最後は「不思議なものなど何もないのだよ」の京極堂の言葉通りにきちんとすべてが納得できる結末で終わっている。 まさに衝撃のラストといえるであろう。 
 前の2作を読んでいなくても無理なく物語りに入っていけるが、読んでいると人物の相関などがより理解できるので、ぜひ順番に読んでいくことをオススメする。
(書評作成:2011年4月24日)
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鉄鼠の檻

鉄鼠の檻

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,617円
発行所  :講談社
発行日  :1996年1月5日
形態   :新書・826ページ

ジャンル:ミステリー小説
 内容
 百鬼夜行シリーズの第4弾。
 箱根の山奥にある禅寺・明慧寺において、修行僧が次々と無惨に殺されていく事件が発生した。 箱根で発見された経蔵の調査のためにその地を訪問していた京極堂は気乗りしないなかで、その事件に巻き込まれていってしまう。

 感想
 禅の話がちりばめられており、内容は良く分からないままでも面白く読むことができた。 扱う内容が禅であるので、内容はまさに禅問答。いろいろと混乱するところもあるが、禅についても学ぶことができる。
 相変わらず超・長編であり、しかも難解な禅問答があるので、読み終えるのにかなり時間がかかってしまうが、時間つぶしにはもってこいの本であった。
(書評作成:2011年5月28日)
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絡新婦の理

絡新婦の理

おススメ度:(5点満点)

本体価格:1,500円
発行所  :講談社
発行日  :1996年11月5日
形態   :新書・829ページ

ジャンル:ミステリー小説
 内容
 女性が目に鑿をつきたてられて殺害される「目潰し魔」事件が連続して発生した。 木場刑事は事件に当たるが、その捜査線上にある親友の名前があがってくる。 また時を同じくしてとある基督教系の女学校を舞台にして連続殺人事件が起こる。
 事件の共通するのは「蜘蛛」というキーワード。これらの事件の解決に京極堂が動く。

 感想
 本作品は非常に変わった構成になっている。なんとエンディングが物語の冒頭にあるというチャレンジングな構成。 最後まで読みきった後で改めて冒頭に戻ることで話の全容を理解することができた。
 今回のストーリーはいろんな事件が複雑に絡み合っていて、それらが各章ごとに別々に進行しているので、途中まではストーリー展開がまるで読めない。 しかし物語の終盤に行くにつれて、それらの事件がまるで蜘蛛の糸のように有機的に絡み合ってきて、話の全容をつかむことができた。
 今回も非常にページ数の多いレンガのような本であり、読み終えるのに1ヶ月以上かかってしまったが、飽きることなく読むことができた。
(書評作成:2012年2月4日)
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嗤う伊右衛門

嗤う伊右衛門

おススメ度:(5点満点)

本体価格:552円+税
発行所  :角川文庫
発行日  :1999年11月25日
形態   :文庫・374ページ

ジャンル:時代小説、映画化された小説

目次
木匠の伊右衛門
小股潜りの又市
民谷岩
灸閻魔の宅悦
民谷又右衛門
民谷伊右衛門
伊東喜兵衛
民谷梅
直助権兵衛
提灯於岩
御行の又市
嗤う伊右衛門
 内容
 「四谷雑談集」をベースに、疱瘡を病み醜くなってしまったお岩と、その元に婿入りした伊右衛門との奇妙な愛の姿を描く。

 感想
 思いっきりこの作品を誤解していた。ベースが四谷怪談であると思い込んでおり、完全に怪談話であると思っていた。
 しかしそこで描かれていたのはちょっと不器用ではあるものの、お互いを思いやるお岩と伊右衛門の美しい愛の物語。 またこの作品ですばらしいと思うのは、善悪いずれの登場人物も魅力的かつ丁寧に描かれているということ。 美しくも切なくて悲しい愛の物語であり、これはオススメの作品である。
(書評作成:2011年1月22日)
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