響楽堂主人の盤歴-その1-


1.音楽に目覚める

子供の頃に聞いたラジオが最初。ただしこの頃の音楽は童謡と戦後歌謡。
小・中学校時代、運動会で流されたマーチ(行進曲-特にスーザの曲)に感激。




2.<ステレオ>を買ってもらう

スピーカー・レコードプレーヤー・AMラジオチューナーが一体になったもの。
オーディオの常識からすれば考えられないような製品だが、始めてレコードがまともに聴けるうれしさに夢中になる。このレコードプレーヤー、英国ガラード製のオートチェインジャーつきのもの、つまり何枚かのレコードを重ねてセットできるというおまけつきでした。

始めて買ったLPが、ベートーヴェンの「田園」と「英雄」。
田舎のレコード屋に置いてあった数少ないクラシック・レコード。


ピエール・モントー指揮
ウィーン・フィル
ローター指揮
ベルリン交響楽団


3.フルトヴェングラーに夢中になる

「レコード芸術」誌を読むようになり、フルトヴェングラーという指揮者のベートーヴェンに憧れるが、地元のレコード屋には無く、高校に入って“都会”のレコード屋でやっと見つけたのがこれ。
ベートーヴェンの交響曲第7番と3番。1950年前後の録音でまだステレオ録音ではなくモノーラル録音の古いもの。しかもこの盤は、そのモノーラルのものを人工的にステレオにしたという、今では考えられないもの。
でも、これを聴いて完全に打ちのめされ、以来40年近く経った今でも、ベートーヴェンといえば、フルトヴェングラーを凌ぐ演奏は無い。私のクラシック音楽のスタートであり、聖典であり続けてる。




4.マーラーの洗礼

おなじく高校時代、マーラーの音楽に強烈に魅了される。
ワルター指揮の、交響曲第1番「巨人」「大地の歌」
生と死、恋と失恋・・・・・<人生とは?><生きるとは?>という問題に自分なりにもがき格闘していた青春時代に、マーラーの音楽は強烈でした。
深夜、マーラーの<さすらう若人の歌>を聴きながら涙!・・・・そんな思い出がいっぱい詰まった音楽。。




5.小遣いのほとんどがレコードに

高校時代、小遣いでレコードを買うには数ヶ月に1枚程度。
自分でお金を稼ぐようになると、給料日にはレコード屋に直行。
枚数も増えてくるが、今度はそれを聴く時間が取れなくなり、以前のように1枚のレコードを何度も何度も聴くことが出来なくなることがつらくなる。
でもいつの間にか300枚を超えるレコード、眺めてるだけでも心が落ち着く。



6.1970年代、FMでヨーロッパの音楽祭が放送される

当時のレコード事情として、演奏家の専属問題があり、指揮者とオーケストラがそれぞれ別のレコード会社の専属だと、両者の共演するレコードはあり得ませんでした。たとえば、ウィーン・フィルはデッカの専属、カラヤンはグラモフォンの専属だったから、カラヤンの指揮するウィーンフィルのレコードはありませんでした。ところが、そんな組み合わせは、普段の演奏会では常にあり得た訳で、<夢の共演>にワクワクしたものです。
FM放送といえば、音の面でもレコードに次いで素晴らしく、これを見逃す手はありません。
音楽の演奏は、スタジオで録音するより、生演奏のほうが遥かに感動的で、
レコード中心から、テープに録音して聴く、それもレコードでは絶対聴けない組み合わせを聴くことが圧倒的に多くなりました。ライブにはまったのです。

75年にオープンリールのデッキを買い、90年くらいまで録り続けました。
(これを500枚のCDに変換する作業がやっと終了)



7.1984年、レコードからCD

30センチのLPレコードが12センチのCDに変わる。
当時、CDプレーヤーが高かったこと、LPが完全になくなるかどうか分からなかったことなどから、すぐにCDに切り替えなかった。
CDに替える決意、それは、フルトヴェングラーのLPが、まとめてCD化されたとき。



8.映像の時代―レーザー・ディスクの登場と衛星放送―

衛星放送で、演奏会やオペラの公演が放送されるようになり、今度はビデオ録りにのめりこむ。レコードで聴くだけのオペラは敬遠していたけど、映像とCD並みの音声によるオペラは、私を夢中にさせてくれました。オペラを本格的に鑑賞できる時代になったということか。
衛星放送のチューナー・75センチのパラボラアンテナ・S-VHSのVTR・40インチのテレビ・・・お金がいくらあっても足りません。
同じ頃、レーザー・ディスクで、オペラや、バーンスタイン指揮ウィーンフィルのベートーヴェン全集・マーラー全集などが発売され、極めつけは、ワーグナーの楽劇「ニーベルンクの指環」全曲のLDが発売されたこと。
LD11枚組、約10万円のセットを手にしたときの嬉しさ!



9.CDとDVDの時代(アナログからデジタルに)

録音したテープをCDに移行する作業が終わり、今はS-VHSのヴィデオ・テープをDVDに移行する作業に追われる。