4.メモリー(Memory)

CPUと同じくらい重要な役割をする記憶装置で、CPUがいろんな情報を処理するところです。

メモリーチップと呼ばれる板がその処理作業をするところで、いわばパソコンの作業台と考えてください。

そのチップは碁盤の目のようにたくさんの区画に分かれていて、処理しようとする情報が一つ一つその桝目の上に並べられます。その一つ一つがその場でCPUの命令で処理されるのです。
ワードである文章を作るとします。まずこのメモリーの上にワードの白紙の画面が呼び出されて広げられます。次に、キーボードから文字を入力するとCPUが作業場にその情報を伝えます。それを受けたメモリーが文字情報を作成します。

料理にたとえると、CPUはシェフ、メモリーは調理場のまな板のようなもの。名シェフがいて、いろんな食材があっても、それを調理する場がなければ料理できません。同じように、CPUとメモリーはお互いになくてはならない関係といえます。

メモリーというまな板で作られた新しい情報、これでもう新しい文章が出来たと思いがちですが、ここに大きな問題があります。

メモリーというのは、碁盤の目のように区切られた板で、電気を溜めておくだけのものなのです。つまりスイッチを切るとすべて消えてなくなってしまうのです。そこで大事な作業が必要になります。

《保存》という作業をしてはじめて、作った文章が<ファイル>という形になるのです。
「名前を付けて保存」「上書き保存」という作業を思い出してください。

新しく作った文章、画像などは、保存という作業をしてハードディスクなどに格納してあげないと、単にメモリーの上に乗ってるだけなので、すぐに消える運命にあるのです。データとして使いたいものはすべて<保存>しなくてはなりません。料理の例で言えば、冷蔵庫に保存するようなものです。

では次にその冷蔵庫、じゃなくて保管庫であるハードディスクに話を進めます。

5.ハード・ディスク(Hard Disk Drive :HDD)

構造

アルミの弁当箱のような形。(上の図は、蓋をとったところ)

大容量の記憶装置で、CDのような円盤が高速で回転(1秒間に5400回転、7200回転)し、その表面に磁気で記録できるようになっています。LPレコードを思い出してください。回転する盤の上にアームが降りて来てレコード盤の情報を読み取るという行程によく似ています。違うのは、アーム部分は盤に接触しないで、先端についてる磁石が情報を記録したり読み出したりする仕組みです。

非常にたくさんの情報が、フロッピーなどと比べて高速に記録できるので、パソコンの《保存》という役目には欠かせないものです。

この円盤(プラッタといいます)は複数枚あり、LPレコードの<オートチェンジャー>のように重なってます。どれくらいの記録が出来るかというと、フロッピーディスク1枚の容量がやく1.4メガバイト、CD1枚が650〜700メガバイト。それに比べて、ハードディスクの容量は年々大きくなって、今は400ギガバイトをこすものもあり、一般的には40〜120ギガバイトくらいが多いと思います。

容量の単位

1KB(キロバイト)=2の10乗バイト=1024B

1MB(メガバイト)=2の20乗バイト=1024KB

1GB(ギガバイト)=2の30乗バイト=1024MB

単純に1000倍出ないことに疑問を持つかもしれませんが、2進法の話になるので、ここではキロの1000倍がメガ、メガの1000倍がギガと理解してもいいと思います。

そこで、CD1枚=フロッピー×460枚、一般的なハードディスクを60ギガとすると、60GB=CD×100枚=フロッピー×43000枚となります。

<ウィンドウズ95>の時代までは、ハードディスクの容量はまだ<メガ>だったはず。パソコンの進歩の速さに驚くばかりです。当時はフロッピーが欠かせない記憶媒体でしたが、いまやその役目が終わったという感じです。現に最近のパソコンにはフロッピー・ディスクのドライブがないものが増えてきました。

ちなみに、ギガの上の単位はなんと言うかご存知ですか?

テラという単位です。もうすぐ日常的に使う単位になりそうです。

1TB(テラバイト)=2の40乗バイト=1024GB

はたらき

(1)新しく作成した自分のファイル(文章、映像、音楽など)をいつでも使える状態に保存する

(2)OSのWindowsやワード・エクセルなどのソフトを保存する

つまり、いろんなファイルの保存と、パソコンを動かすプログラムもこのハードディスクに入っているという、ある意味で一番大事なはたらきをするところです。

これで主要なパーツはそろったはずですが、もうひとつ大事な部分があります。それは、信号の通り道。

CPUやメモリー・HDDなどを一本の線でつなげば自由にデータが行き来してパソコンが仕事できるように思えますが、そうは簡単にいきません。
なぜか?

CPU、メモリー、HDD、キーボード、ディスプレイなどの信号処理能力がみんな違うのです。一言で言えば、速度に大きな差があるのです。
CPUはダントツに早く、次いでメモリー。それにくらべるとHDDは非常に遅いのです。
このままひとつのラインで結んでしまうと、速度の遅いものにあわせることになって、せっかく高速のCPUをもっていても、速度は非常に遅くなってしまいます。 

そこで、これらを結ぶ道(バスといいます。Bus-通り道-)の間に、交通整理をする箇所を設けます。これが<チップセット>です。

6.チップセット(Tip Set)のはたらき

CPUとその他の装置類、メモリーやHDD、ディスプレイ、キーボード、CD−ROMなどを結ぶ回路(バス)の間にあって、それぞれの性能にあった処理を施して信号を流してあげるはたらきをします。これも小さなもので、LSI(大規模集積回路)と呼ばれるチップ。
CPUにとって、無くてはならない相棒なのです。
小さなチップですが、その中身は、大きく2つの部分から成っており、片方を North-Bridge(ノースブリッジ)、網一方をSouth-Bridge(サウスブリッジ)と呼びます。
ノースブリッジは、メモリーやディスプレイの高速の信号を担当し、それ以外の比較的遅い速度の信号を担当するのがサウスブリッジです。

@からBが高速の信号、CからFが遅い信号の通るバスです。
中でも@(Front Side Bus : FSB)はパソコンのスピードを決定付けるもので、CPUの高速化には、チップセットが大きく関わるのです。

機械としてのパソコンの構成はこれで一通り終わりましたが、わかりにくい話が多いと思います。

わかりにくい最大の原因は、それぞれのパーツが担当する仕事の速さに大きなバラつきがあることです。たとえば、CPUが処理する速さと、HDDにデータを書き込む速さには大きな違いがあります。一定の時間に流れる信号量に差があるということ。
@とFを比べるとそれは明らかだと思います。キーボードで1秒間に何回打つでしょうか?せいぜい一桁か二桁の初めくらいで十分ですね。ここで必要な速度に比べると、100Mヘルツ・133Mヘルツという速さです。(100メガがどれくらいのの数字になるか考えてみて下さい) 比較にならない数字ですね。

7.機械としてのパソコン(インターフェイスについて)

ここでもう一度パソコンを眺めてみましょう。
おおきくわけると、<ディスプレイ><本体><キーボードとマウス><その他>となります。この本体というのは、ケースに入っているすべてという意味ではなくて、マザーボードとそれに付随するパーツという意味で、HDDやCD-ROM、フロッピーなどは、<ドライブ>と呼ばれ、別に駆動される装置です。<その他>には、プリンター・スキャナー・カメラ・ゲーム機器などがあります。

これらをパソコンにつなぐとき、いろんな形状のコード類があって、何処につないでいいか分からないという経験はないでしょうか?
HDD・プリンター・キーボード・・・・それぞれが違う規格で信号を扱うために、パソコン本体に信号を同じように転送することが出来ないので、いろいろ形の違った接続端子があるのです。このように、機器と機器の接続部分は複雑ですが、大変重要な部分でもあります。この、接続部分のことを<インターフェイス>といいます。
Interface-文字通り<境界>という意味ですが、この部分がうまくいかないと迅速な信号の受け渡しが出来ない、つまり、カメラのデータがパソコンに取り込めない、ワードの文章が印刷できないなど不都合が出ます。
<シリアル><パラレル><PS2><USB><IEEE1394><イーサネット>・・・など、いろんな規格がありますが、なかでも<USB>はたいへん便利なので少し説明します。

Universal Serial Bus の略で、小さなコネクターなので使いやすいが、いちばんのメリットは、コネクターを差し込むだけでパソコンが自動的に認識してくれて、すぐに使えるということと、タコ足配線が可能ということ。
マイクロソフトやインテルなどの世界のパソコンメーカー数社が共同提案してつっ食った規格なので、今やいろんな機器がこのインターフェイスを使っている。利用者側からみればばうれしいこと。大きなコネクター類がなくなっていくでしょう。