ヒ メボタルを撮る

生態やっと注目を集め出した光の特徴撮影条件


(1) 生態
 山の杉林や神社境内で
6mmぐらいの小さなホタルが,地上スレスレをピカッピカッと飛んでいたら,これはヒメボタル である。ヒメボタルは山中で巻き貝を食べて成長する陸生ホタルだ。
 巻き貝というと驚くかも知れないが,でんでん虫を思い出して貰えばよい。平野だけでなく山間地にもたくさんの種類の巻き貝が生息しているのだ。これらを 食べて生息するのがヒメボタルだ。ゲンジボタルやヘイケボタルは水生でカワニナという巻き貝を食べるが,巻き貝は丘の方がたくさんいると考えよう。
 ゲンジボタルは
4月に上陸して蛹になり,56月に飛ぶが,ヒメボタルは水陸の移動という難しいことをしなくてよい。地球上では水生ホ タルは少数派でヒメボタルのような陸生ホタルが多数派なのだ。
 次表を見て欲しい。ヒメボタルの方が生き方が単純なのだ。生息しやすいと考えてもよい。
 丹波市山南町の藤原利正さんは山南町という限られた地域で,160カ所の飛翔地を見つけてい る。この報告を読むと,本当は,あちこちの山で沢山飛んでいる ものらしい。ただ知られていないだけのようだ。

ゲンジボタル
陸で飛翔→陸で産卵→孵化し水面に落ちる→
水中でカワニナを食べて成長→陸へ上がって蛹化→飛翔
ヒメボタル
陸で飛翔→陸で産卵→
そのまま巻き貝を食べて成長→蛹化→飛翔

(2)やっと注目を集め出した
 このホタル,人気のいないところで生息している。川周辺は人間の住むところだが一般山林となると人は関係ない。そのためあまり知られていなかったよう だ。加えて,このホタル,極めて弱い光だからアピール性が低いらしい。

 ところが最近,このヒメボタルに人気が出てきた。ゲンジボタルからヒメボタルに乗り換えた人も いる。ゲンジボタルが何処でも見られるようになって飽きてきたのであろうか。

(3)光の特徴

 ヒメボタルはゲンジボタルが1421mmであるのに比べ1/3の大きさである。それだけにゲンジボタルのように明るくゆったりと点滅することはない。 ヒメボタルは1秒に2回ピカッと瞬間光る。そのためフィルムには点として,あるいはピントが外れた場合は丸と して写ることになる。そのような輝線であっても光量は弱い。

 

(4)撮影条件

 とにかく感度を上げて撮影する。フィルムはISO1600という最高感度に する。レンズも明るいものにする。これで明るすぎることはな い。山の中であるから漆黒の世界であり,20分露出しても風景は写らない。ヒメボタルだけが写るのである。

 なお,この世界は,デジカメでは高級であっても写せない(30秒間隔で写し,20枚ほど重ねればイラストが作 れるが,写真を愛する人はこれに手を染めないことだ)フィルムカメラは中古のボディとレンズ合計3万円ほどで入手できる。是非購入されたい。

 

参考文献

1)村上光正編「ホタルのふやし 方・写し方」パワー社,2007

ヒメボタルの写真       
    幻想的な林のシルエットが浮かび上がる。
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