アマ小説家はつらいよ


◆第111回『M MAGAZINE 30周年に寄せて』◆ (2026.04)

 『M MAGAZINE』が生まれたのは1996年の5月でした。すなわち、今年の5月で開設から丸30年。いやぁ、よく続いたな。

 と言いたいところですが。

 続いてない!

 去年(2025年)は1回も更新してない!! つまり、丸28年で断絶しちゃったんですよ。「サイト」としては存続してるから許して状態。あー、なんてこった。

 毎週更新で始まり、1999年には隔月更新に。そしてここ十年くらいはもう年に1~2回しか更新していなかったわけですが、それでもどうにか細々と糸を繋いでいたのに、気がついたら去年は一度も更新しなかった。どうして、なぜ、Teach me why?

 春頃にはたぶん、「そろそろ書かなきゃな」と思っていたはずなんですよ。それが気がついたら夏が過ぎ秋が来て……「もういいか」ってなったんですよね。書くネタもないし、と。特に『ひなたぼっこ』の方がさすがにもうネタ切れで、結婚でもしてくれないことには十年一日「今年の帰省は云々」と書くしかない。

 ともあれサイト開設30周年。まだ企業の公式サイトもほとんどない中、ちまちま手書きHTMLで個人サイトを立ちあげ、未だ一応の継続を見ているのは自慢して良いのでは? 『本の虫』や『アニメ大好き!』に関しては過去記事も全部閲覧できる、公式サイトでさえすぐ閉鎖されたり古い記事が読めなくなったりする中、ただの一般人のサイトにしては頑張ってるよね!(誰も褒めてくれないので自分で言う)。途中でプロバイダーを引っ越してURLが変わってしまっているので、開設当初のURLではアクセスできないのが残念ですが。でもそれも、「独自ドメインを取ることもできない素人」ってことですからね。そんな素人が、30年も続けてるってことですから。

 しかも未だ手書きHTMLで!!!

 レガシー認定されてもいいんじゃないですかね、マジで。



 で、そんな記念すべき30周年の記事に何を書くのか。アマ小説家としては本当に何も書くことがなくて、また今年もン十年前の自分に謝るしかないのですが、2025年2月から現在までハマっている音楽生成AI、これで「なんちゃって作詞」をしたり架空のサントラを作ったりしている自分は、とても10代の自分ぽいと感じます。

 自分の小説をアニメ化して、キャラデザして主題歌を歌って、サントラも作りたいと思っていたあの頃。できあいの音楽からピックアップした曲をダビングして、「イメージアルバム」カセットテープを作っていた。音楽生成AIなら、自分で書いた詞で主題歌を作れる。作品のイメージに合うオリジナルサウンドトラックを自分で作れる!

 そりゃハマるよねぇ。一年経っても飽きない。本編を書き上げる能力も気力もなくても、「設定」や「世界観」だけならまだ思いつける。「架空のサントラ」のために「架空のキャラ設定」をする、こんな楽しいこと、どうしてみんなやらないの?と思うぐらい。一から全部作詞できなくても、サビだけひねくり出せればAIが「大枠」を作ってくれるし。

 もちろん詞にしても曲にしても、脳内イメージと「完全一致」することはないし、「声」の種類も限られている。所詮はできあいの断片の寄せ集め、「どこかで聞いたような曲」しかできないと言えばそうなのでしょう。でも「自分の世界観」を元に、自分が好きなジャンル・曲調で、音楽を作ることができる。そりゃあ、自分で演奏&作曲できればそれが一番いいでしょうけど――その努力をするべきなのでしょうけど――、それで金を稼ぎたいというのでもないわけで。

 うん、「演奏したい」という欲はあんまりないんだよな。「歌いたい」はあるけど(笑)。

 イラストの生成AIなんかでもそうだけど、あれを使う人は「描く楽しみ」を求めているわけじゃなくて、「自分が見たいものを見たい」だけなんじゃないか。私が音楽生成AIによって満たされているのは「演奏する喜び」とかではなく、ただ「自分が聞きたいものを聞きたい」という欲求なのだと思う。思いついたアイディアを、形にできる喜び。熱が出たときに見る夢をちゃちゃっとテキトーな歌詞にして歌わせるのなんて、わざわざプロに頼むようなもんじゃないわけで。あと、「いかに脳内イメージに近づけるか」というゲーム性。ある種のガチャを楽しんでいる。

 Sunoのお姉さんお兄さんは本当に歌がうまいし、息遣いまで再現されてて、惚れ惚れするのだけど、どんなに私が「いい!」と思っても、所詮はAI音楽。誰も聞かない。「こんなに素晴らしいのに、私しか聞く人がいないなんて」とAIお姉さんたちが可哀相になるくらい。ほとんど、誰もいない駅前でストリートライブしてるお姉さんを一人で応援しているノリ。「こんなにいい曲なのに、こんなに歌うまいのに!みんな見る目(聞く耳?)がなさすぎますよ!!」とお姉さんの手を取ってブンブンしてドン引きされるストーカーファン。

 昔から自分の書いたものを読んで感動して泣いてたので、本当にン十年経ってもメンタル変わってないなぁ、と思います。子育て中は「母親」という立場上多少は必要だった「社会性」という仮面がいよいよ剥がれて、10代の頃に退行――どころか、それ以下に落ちているような。子どもの頃は「学校」という社会があったものねぇ。他人とどうにかうまくやっていかなきゃいけない必要があった。それがいまや、ほぼ家族としか口をきかない生活ですから。好き放題ですがな。

 この一年ほど、ほぼ音楽生成AIで作った音楽しか聞いてないわけですが、聞くのは当然「自分が音楽生成AIに作らせた曲」だけ。他の人が作った曲は、ごくたまにプロンプトの参考に聞くだけ。せっかくだから他の人にも聞いてほしい、「良い」と思ってほしいとSNSにせっせとリンクを貼っているけど、自分は他の人の生成物を聞かないんだからねぇ。そりゃあアクセスもいいねも増えないよね……。いわゆる「音楽好き」な人は実在のアーティストの曲を、その「アーティスト」込みで好きなんでしょうから、おそらく「AI音楽なんて」と思ってるでしょうし、AI音楽にハマってる人は「自分で作るのが楽しい」わけで、他人の作ったものを聞いている暇はない。他人の作ったAI音楽を好んで聞く人は、まぁいませんよね。

 自分の好きな話を自分で読みたいから、自分で小説を書きはじめた。私の脳内妄想を現実化できるのは私だけ。とにかく自分の物語が好きなんですよねぇ。「音楽」に関してはずっと、誰かが提供してくれる「物語」を受け身で楽しむしかなかったけど、音楽生成AIのおかげで音楽でも「自分の物語」をある程度表現できるようになった。あんまりいいことのない(予想よりもむしろ後退してしまっていることの方が多いとさえ思える)21世紀で、「これぞ21世紀!」な気がする。

 おかげでさらに「自己蛸壺化」が顕著になって、社会的にマズい気はとてもするけれど。

 このサイトが誕生した1996年。阪神大震災や地下鉄サリン事件の翌年。ノストラダムスの予言まであと3年。私はけっこうあの予言を信じていて、21世紀に生きている自分――30歳を超えた自分を想像していなかったのだけど、今や21世紀も1/4が終わってしまいました。「30歳を超えた自分」どころか還暦もすぐそこまで迫って、なのに中身は相変わらず「自分の物語大好き」厨二病。そして世界は。

 世界は本当に、「どうしてこんなことに」という状況

 せっかく1999年7の月を生き延びたのに、アメリカとイスラエルが突如イランを攻撃したことで世界は大混乱。ホルムズ海峡が事実上封鎖されたことで石油その他の資源の輸送が滞り、日本をはじめアジア各国は生存の危機。特にほぼすべての石油を中東に依存する日本はこの夏を越せるのかとさえ危ぶまれていて。

 なのに日本政府に危機感がなさそうなのが本当に本当に、「座して死を待てと言うのか」って感じで腹立たしい。アメリカ(というかトランプ大統領)の「ほんの遊び」を支持して侵略戦争に加担、さらに自国民が飢え死にする未来を放置、一体何を考えているのか。もしかしてこれが「未曾有の危機」であることをまったく理解していないのかと思うほど。ニュースものほほんとしてるし……「何も変わらない日常」を垂れ流すテレビと、「実際はどんどんヤバくなっている石油製品事情」の温度差が激しすぎて。

 本当に、あれもこれも「石油由来」なんですよねぇ。ただガソリンとか燃料が足りないだけじゃない、シンナーから医療品からポリ袋から、何から何まで「石油由来」。この文明的な生活はひとえに「毎日石油が運ばれてくる」おかげだった。その前提が崩れたら、いっさいは瓦解する。

 Twitterで「人類はあのオイルショックの時に学ばなかったのか?代替材料を研究しなかったの?」というつぶやきを見かけたのだけど、ほんとにねぇ。私が子どもの頃は「あと○年で石油は尽きる」とまことしやかに言われていて、「省エネ家電」や太陽光発電といった方面は研究が進んだと思うんだけど、燃料としてではない、「石油化学製品」の代替は進まなかったのか。ってゆーか、明らかに当時よりプラスチック製品が増えてるよねぇ。昭和のオイルショックの時にはペットボトル飲料なんかなかったわけだし。

 あまりにも石油が――プラスチックの使い勝手が良すぎたんだなぁ。リサイクルにも電気(燃料)が必要だし、他の素材から代替物が作れたとしても「そのためには100倍電気がいる」みたいな話なんだろうしなぁ。

 今すぐ戦争が終わったとしても中東地域が負った傷は大きく、原油やLPGの生産量はすぐには元に戻らない。つまり、今すぐ戦争が終わったとしても資源の争奪戦と値上げは確実で、それでなくても円安に喘ぐ日本には大ダメージ。そしてこれを書いている4月21日現在、「今すぐ」終わりそうでは全然ないんだよなぁ……。

 ロシアによるウクライナ侵攻はもう5年目に突入、イスラエルによるガザ地区での好き放題も今に始まったことではなく、世界は別に「平和」ではなかった。自分に直接関わりのないことだからと見すごしてきたツケなのか。でもイスラエルはともかく、アメリカ大統領がああなのに関しては、日本人に何ができたんだよ、という気はするよねぇ。日本の首相が横でぴょんぴょん跳びはねたのだって、私は別に自民党に投票したわけでもないというのに。ああ。

 この先本当に生活がどうなるのか、雨漏りしても修繕できないかもしれないし、色々チケットを取っても公演中止になるかもしれない。何より食糧はどうなるのか。包装材がなくなったら、今スーパーの棚を埋め尽くしているほぼすべての食品が流通不可になる。

 次にここを更新する時には、「杞憂だった」と言えると良いけれど。