1.お金には色がある!

●金額だけが尺度か?
昔から「お金には色がない」とよく言われる。
お客様がお支払いただく商品のお代金、1万円はどなたの代金も1万円である。 そして経理的には「売上1万円」ということになり、その背後のお客様の顔は全 く見えない。
「本日の売上予算100万円、実績105万円で予算達成率105%。 結果は良 し」。 こういう日々を我々は長年送ってきたし、今も毎日送っている。 これは実は大変な問題なのである。お客様のことが何も分かっていないのであ る。

  • いつもきていただいているお客様がいつもどおり(またはいつも以上に) 買って頂いたのか?
  • そのお客様は購入内容や接客などに満足していただいたのか?
  • 時々来られるバーゲンハンター的なお客様がいつも以上に多くはなか ったのか?

同じ1万円のお買い上げでも、よくお買い求め頂く上得意のお客様(Aさん)が いつもどおりに近い1万円のお買い上げが今日もあったという1万円。
数ヶ月 に1回くらいのお買い上げがあるお客様(Bさん)がたまたま本日お買い上げが あったという1万円。
どちらが値打ちがあるのだろうか?もちろん前者、Aさんの1万円である。 なぜ だろうか?

●上得意顧客の支払っていただくお金は値打ちが高い
Aさんは、上得意のお客様で、本日もお買上いただいた。このお客様はもっかのと ころ当社の経営安定のためにぜひ必要な資産の一人である。 このお客様が本日もまた1万円お買上いただいたということは、今後も上得意顧客で 居続けていただく期待が高い。
他方、あまり今までお買い上げが少ないBさんのお買い上げは同じ1万円でも 今後すぐにAさんのような上得意顧客に変わる期待は低い。

お買い上げが同じ1万円といっても価値は違うと考えなければならない。 (蛇足であるが、だからといってBさんへの接客応対が少しおろそかで あってもいいと考える愚かさを犯してはならない)

問題は、日々のお買上金額だけでなく、お買上いただいた顧客情報を分析して我 々が一人一人のお客様の評価を行い、またそのお客様の意見やニーズを知って 商売をするという戦略がないことである。

お客様中心主義の経営とは、「我社はいつもお客様第1です」と標語を唱えることではなく、 お客様のデータ、意見、に基づいて経営し、お客様のニーズをより高い次元で実現し ていくことをいうのである。



ポイント: お金よりも、お金を通してその先にいる顧客をよく観ることの重要性。