くれよん方式 その51〜その60 |
その51 |
(78)「〜していますか?」(実際の行動)に対して「はい」「いいえ」
お母さんの、自分自身の、そして自分とお母さん以外の第三者の実際の行動について「〜していますか?」とたずねられて「はい」「いいえ」の判断学習が次の課題です。新聞を読んでいるおばあちゃんのところへ連れて行って「おばあちゃんは(第三者の誰でも良い)は新聞を読んでいますか?」の問いに対して「はい」または「いいえ」と答えられたら100点です。「はい、新聞を読んでいます」または「いいえ、テレビを見ています」とまで答えられたら150点、そこに「おばあちゃんは」と主語をつければ200点ですが、そこまでは要求せず、「はい」または「いいえ」がでたらOKということにしましょう。子供が「はい」または「いいえ」と答えたらそこで承認のしるし(うなずきや頭をサッとなでるなど)を与え、そのあとすぐ「はい」の場合は「新聞を読んでいます。」「いいえ」の場合は「テレビを見ています」をお母さんが言ってください。子供がリピートすればそれでよし、黙っていれば聞かせておくだけでよいのでとにかくそこまで子供に聞かせてください。この学習を続けていけば自分が何をやっているかを意識して行動できるようになってきます。 (79)行動の直後に「何をしましたか?」の質問をしよう 実際にやっている行動に対する質問「〜していますか?」「何をしていますか?」に比べてはるかに難しいのが「何をしましたか?」に答えることです。絵カードであれ、実際の行動であれ「〜していますか?」は目の前に見えていますから「はい」と「いいえ」に慣れた子供はスムーズに答えてくれるようになります。しかし、「何をしましたか?」になるとその行動を示す絵もその行動をしている自分の姿もありませんから、やったことが自分の頭の中に記憶され、それを呼び出してくることができないと答えられません。障害児、特に自閉傾向の子供でこの種の質問に答えられる子はとても少ないのです。なぜなら彼らの行動はジャガイモを切る行動を例にとると{何もしていない状態}から@ジャガイモを手に取る→Aジャガイモを洗う→Bジャガイモの皮をむく→Cジャガイモを切るという一連の行動を繰り返すときジャガイモが目の前にあって、指示されて@をしなければAがはじまらず、BがなければCがはじまらず、Cがなければ@がはじまらないという具合に連鎖するので終わったあと、つまり{何もない状態}に戻ってしまった時には全くの空白であるというメカニズムになっているからです。それを空白ではなく、やったことの記憶を残し、言語化していくようにすることが次の課題です。判断学習を最初に「物の名前」から積んできていればそんなに時間はかかりませんが、それでもなかなか高いハードルですから、根気よくやっていきましょう。次回はその方法を具体的にお話します。
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●ポイント
「〜しています」の次は「〜しました」へ進みます。
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その52 |
(80)「何をしましたか?」「〜しました」を身につけさせる 行動を記憶の中に残し、言語化できることは今までやってきた判断学習の1つのゴールです。「判断する」と「区別する(弁別する)」の違いは、今、目の前にない物や事柄について考えることができるかどうか、なのです。終わってしまった行動について「〜しました」と言えればそのとき子供はまさしく「目の前にはない」ことがらについて記憶を呼び起こしたことになるのです。ただし、いきなり「今日は学校で何をしましたか?」と聞くのは暴挙というか、子供にとっては一番聞かれたくない部類の質問です。「ひとつひとつの行動を記憶に残すことができてはじめて日常的な当たり前のことは覚えずに忘れる」メカニズムが働き、特別な出来事だけが残っていくのですから答えられなくて当然です。まず、直近の行動について質問し、「今やったばかりのことで、他に答えようがないもの」でパターニングします。一番よいのは歯をみがき終わった直後に「何をしましたか?」−「歯をみがきました」手を洗った直後に「何をしましたか?」−「手を洗いました」というやり方です。もちろん、お母さんが「何をしましたか?」とたずねた後、子供が何か言う前にすばやく「歯をみがきました」「手を洗いました」と言ってしまうというのは今までの判断学習のとりかかりかたと同じです。ここで間違えてはいけないのは「われわれが直近の行動と思っていても子供にとってはそうではない」ことです。ある程度「〜しました」が答えられるようになってきた子供でも1〜2分たつともう答えられないということがよくあります。それは意識レベルがとぎれただけではなく、「何が直近の行為かわからなくなる」という場合があるからです。わかりやすい例で言うと「ごはんを食べ終わった」→「ごちそうさまをした」→「立ちあがってソファに移動して座った」の時点で「何をしましたか?」とたずねるお母さんが多いのですがこれをされるとまだ判断が充分でない子供は全く答えられないか、「すわりました」と答えるということです。「ご飯を食べ終わった」のがもっとも重要な行動で「ごちそうさまをする」とか「そのあとソファに座る」とかはどうでもよい行動だというのはわれわれの常識で、概念形成のできていない子供には通じないのです。「ごちそうさまをする」も「そのあとソファに座る」も「ご飯を食べ終わる」行動よりも下位におく(含めてしまう)のは抽象概念があるからこそである、ということを知らなければなりません。「ごはんを食べました」と答えてほしければ、子供が飲み込んだ直後でなければダメだというくらいに考えて取り組んでもらいたいものです。そういうスタンスでお母さんが取り組んでいけば早ければ数ヶ月のうちに2〜3分前のことでも答えられたり、一番重要な行動を選び出して答えられるようになってくるのです。土の中に根がどんどん広がるように脳のネットワークが形成されていくということです。ただし、植えた当初は慎重に手入れをしなければ枯れてしまいます。課題の出し方を間違えると(最初の手入れをまちがえると)伸びるものも伸びなくなりますから、注意しましょう。
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●ポイント
・「歯をみがきました」「手を洗いました」から始めよう。
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その53 |
(81)くれよん方式デイリープログラム@ ・ 子供が起きたら「トイレに行きなさい」と指示して行かせましょう。 ・ 着替えのあとオットセイ(1秒〜40秒)、うで立て静止(1秒〜40秒) * 「1秒〜40秒」とあるのは2秒で動いてしまう子供は1秒で「はい、いいよ」とやめさせてください、という意味です。全てお母さんの意志で終わらなければなりません。3秒もつようになればその手前でストップさせればよいのです。 ・ 「すわりなさい」と指示して朝食をとらせましょう。食事中は離席させてはいけません。 ・ 「歯をみがきなさい」で歯磨きに行かせます。ただし、3日に1回はお母さんの手でしっかりみがいてください。 ・ 「学校へ行きなさい」でランドセルを背負わせて出発です。 ・ 帰宅時、「カバンを置きなさい」で所定の位置へカバンをゆっくり置かせましょう。 ・ 給食袋など、カバンから出すものを1つ1つ指示して出させ、受け取ってください。ただし、順番は日によってかえましょう。 ・ 5分〜10分の学習をします。(時間はいつでも良いし、椅子にすわっての学習でも結構です。)
@迷路、点つなぎ A絵と絵のマッチング B―、|、 などの中から取捨選択して10分程度でサッときりあげましょう。 ・ 学習とは別に正座、まぐろ、うつぶせ(各1秒〜40秒)をしましょう。 ・ タン、タン、タンのリズム打ち(手拍子かタンバリン)をお母さんに合わせてやらせましょう ・ うまくできなくても毎日2〜3分は取り組みましょう。 ・ 「座りなさい」と指示してから夕食をとらせましょう。食事中は離席させてはいけません。 ・ 「お風呂に入りなさい」で入浴させましょう。洗ったあと「お湯に入りなさい」でつからせ、おかあさんが心の中で数をかぞえて(30〜50)「はい、あがりなさい」であがらせましょう。声に出して数をいうとパターン化→マイペース(自分で勝手に速く数えてあがる)になりやすいのでお母さんは黙っていることが大切です。 ・ パジャマに着替えたら「気をつけ」(1秒〜40秒)、オットセイ(1秒〜40秒)、両手つなぎ(1秒〜40秒)の中から2つ選んでさせましょう。「気をつけ」は手を体の横につけさせ、軽く押さえて動かさないようにします。 以上がデイリ−プログラム@です。もちろん「もっとできる」というご家庭はどんどん独自プログラムをやっていただいて結構です。これから少しずつ上級のプログラムをお示ししていきますのでそれぞれの子供さんにあわせて利用してください。
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●ポイント
行動の開始と終了をお母さんがコントロールできるようになることが基本です。
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その54 |
(82)○の数だけ数字を書こう
数字が1〜10まで書けるようになったら、この学習を始めましょう。
いよいよ足し算にはいります。「数字のかずだけ○を書く」「○のかずだけ数字を書く」ことができていれば足し算はできます。 となるわけです。このとき
のように○のなかに数字を書くやり方もありますがこれがパターンになってしまうと「左はしの○にはかならず1を書き入れる」ようなことになりやすいので、できるだけ指や鉛筆で○をさしながら「1,2・・・」とかぞえていくやり方にしたいものです。さて、このやり方でいくと大きい数字の足し算ではたくさんの○を書く必要が出てきて大変ですから、大きい数は次のようにします。6+3=9のとき、6の下には○を書かず、3の下だけに○を3つ書きます。そして左はしの○から7,8,9とかぞえて9になる、というようにします。
これから少しずつ「足し算」「引き算」「かけ算」「割り算」の習得方法を説明していきますが、これはあくまでも「+」の記号の時はこうするという「記号」と「数の操作」の1対1対応にすぎませんから、「数が増える、へる、〜倍になる」などの概念を身につけたことにはなりません。それは判断学習と同じように「数概念を身につける学習」が必要ですから、現時点ではこういう計算を「約束事として覚えていこう」というトレーニングだと思って取り組みましょう。
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●ポイント
数字と○を一致させられれば足し算、引き算ができるようになります。ただし、「意味がわかった」わけではないことに注意しましょう。
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その55 |
(84)マルけし引き算をやってみよう 引き算のやり方は「引く数のぶんだけ
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●ポイント
小さい数でのマル書き足し算とマルけし引き算を並行してやっていきましょう。
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その56 |
(85)おはじき3個、手にとらせよう 紙に書いてあるマルなら20個まで数えられる(鉛筆でトントンできる、マルの中に数字を書いていける)子供が「おはじきを3個手に取る」ことが、出来ない理由は上に述べましたが、とにかくそれをやらせてみることが第一歩です。まず、お母さんがおはじきを手の上に「1個、2個、3個」と声に出して言いながら乗せましょう。それをまねさせます。もし子供が3個手のひらにのせたあと、4個目を取ろうと手を伸ばしかけたらすかさず止め、「3個取れましたね」と言って今度はその3個をお母さんの手に返させます。どんなことでも最初はパターン作りが大切ですから丁寧にやりましょう。なぜ「2個」でなくて「3個」かというと、「2個」の場合は両手に1個づつもってストップするパターンに陥りやすく、そうなると両手がふさがってしまってそれ以上とることを教えられなくなる可能性があるからです。そして、もうひとつ注意することは「ひとつ、ふたつ、みっつ」といわないことです。これをやってしまうとあとで「1本、2本、3本」とか「1さつ、2さつ、3さつ」などを数える時に苦労することになります。数唱や、机上学習で使っている「1,2,3・・・」と具体物の数が一致して概念となっていくためにはまず「同じ言い方」をすることが大切なのです。「おはじきを3個とってください」で子供が3個自分の手のひらに乗せて次の指示を待てるようになるまで、根気よくやってください。
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●ポイント
自分で「3個持ってくる」ことができたらOKです。
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その57 |
(86)「やりすぎは毒」をいつも心にとめよう
子供にとっても「やりすぎは毒」です。まず、障害を持つ子は意識レベルの維持が難しく、他の刺激に左右されたり、目、耳、手をうまく使えなかったりして「わかっているはずのものまで間違える」ことがあります。そうすると、お母さんもついイライラして怒ってしまいがちです。子供に学習に対する悪いイメージを持たせてしまってはいけません。短時間集中で良い雰囲気で終えましょう。また、自閉傾向の場合は学習の目的が「出来ることをふやす」のではなく「やり取りに応じ、脳を正しく使う」ことですから、長時間学習しようとすると目的にはずれることがよくあります。まず、長時間座らせる為に学習の切れ目(合間)にこだわりを認めざるを得ないということが起こってきます。「こだわりをさせずに短時間学習し、その時間(量)を少しずつ増やす」ように取り組みましょう。また書字できるものを、すべて書かせ、取れるようになったカードを全部とらせないといけない、と思うのは誤りです。毎日毎日同じカードを見て同じ字を書いていると、それはパターン行動となり、反射に近いものになってしまい、そのとき大脳皮質を使わないことになるのです。そうすると、学習に入るための導入のつもりの課題が、砂さわりなどの常同行動と大して変わらないレベルのものになり、「学習の形をしたこだわり行動」と化してしまいます。これがひどくなると慣れ親しんだ書字や数字書きなら1時間以上一人でも出来るが、「さあこれをやりなさい」と新しいものを出すと大パニックという状態を招いてしまいます。「できたはずのものができなくなっていた」これは脳が健全な証拠です。忘れることは大歓迎、次々と新しいことを短時間、お母さんのペースでやらせていきましょう。 (87)文字カードの中から選び取って単語をつくらせてみよう 「ききとり」が出来る範囲の文字カードを机に一挙にならべましょう。「あ」行から「は」行まで「ききとり」が出来る子の場合、それだけのカード(30枚)を机上にならべるのです。そして「いす」の絵カードを見せ、お母さんが「いす」と言い、更にお母さんが机上のカードの中から「い」と「す」を取ってくっ付けて置き、「いす」とまた言います。次には「かさ」の絵カードを見せ、「かさ」と言い、「か」と「さ」を取ってくっつけてまた「かさ」と言います。こういうふうに例を示して子供にやらせてみましょう。お母さんの例示を見て自分のやるべきことを理解し、そのとおりにしてみようとするかどうかも、今後の生活にとても重要なポイントです。こだわり学習で書字が100枚でき、数字が1000まで書けたとしてもこういうことがなかなかできないのが障害児、とくに自閉傾向の子供です。やってみてできないならまた明日、と言うふうに取り組んでください。
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●ポイント
長時間続けるよりも短時間に新しいことを入れていこう。 「単語づくり」をやってみよう。
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その58 |
◆基本メニュー @手つなぎ歩行 A手ばなし歩行 B手つなぎランニング C手ばなしランニング D静止トレーニング E笛の合図でダッシュ F笛の合図で色玉ダッシュ Gリレー Hキャッチボール I布引っ張り J床を雑巾がけ Kくれよん体操
@まず子供と保護者(あるいは他の保護者、ボランティアさんと組むこともあります。)が手をつなぎ、2列で整然と歩行します。(体の不自由な子は円の内側をできるだけついていくように歩きます)音楽はかけますが、音に対して過敏な子がいたり、逆に「ドンドン」と響くリズムに感応してテンションがあがってしまう子がいたりしますので、ボリュームを下げ「なんとなく聞こえている」程度にします。指導者が「ピッ」「ピッ」とリズム良く笛をふいたり、「1,2,1,2」と声をかけるほうがスムーズにいきます。注意することは常に前との間隔を一定にし、あいてくると「ヨーイドン」と声をかけてつめさせるようにすること、つないでいない方の手を「手はグー」で握らせておくことです。(空いたほうの手をブラブラさせたり、ブンブンふったりすることから行動リズムが乱れていきます)
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●ポイント
歩く時走る時の手は「軽くグー」が一番良い。
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その59 |
(89)静止トレーニングはメリハリをつけて 歩行とランニングの後、夏の暑い時は休憩を取った後、暑くない時はそのままD「静止トレーニング」へと進んでいきます。 ・ 「気をつけ」静止━くれよん方式その4、その5を見てください。 ・「うで立て」静止、オットセイ━くれよん方式その12を見てください。 ・「うつぶせ静止」、ずりばい━くれよん方式その29、その30を見てください。 ・まぐろ━あお向けに寝て手のひらを床につけ静止します。
それぞれ40秒計っておこないます。多くの子供が40秒たつ前に大なり小なり動いてしまいますので、家で日々40秒を目指して取り組んでもらうことになります。さらに、応用編として「頭に色玉をのせて気をつけ静止」、「両手を前に伸ばして手の甲に1つずつ色玉をのせて静止」「両手を横に伸ばして手の甲に色玉を1つずつのせて静止」「あお向けに寝て色玉を両足のつま先ではさんでそのまま足をあげて静止」などがあります。またこの静止トレーニングからあとのプログラムは1つ1つやり方や注意点を説明しながら行うので、子供はお母さんやボランティアさんと一緒に一つの姿勢に取り組んだ後、座って説明が終わるのを待つ、ということになります。障害児はよく「じっとしていられない」と言われますが、最初は動き回ったり反発を見せる子供でもトレーニングを積むにしたがって座っていられるようになるものです。ただこの静止トレーニングは姿勢保持の苦手な子にとっては苦痛なので反発がおきやすくなりますから、「メリハリをつけて(さっと切り上げて悪いやり取りにならないように)、テンポよく」行うのが大切です。 (90)笛の合図で走り出そう
E4人が横一列に並び、笛の「ピーッ」という合図で10m先のカラーコーン目指してダッシュします。ボランティアさん、お母さんが80%ぐらいの力で一緒に走れば子供はなんとなくつられて走ってしまいます。これを何度も何度も次から次へと運動部の補強トレーニングの雰囲気で繰り返します。「コーンまで走るんだ」と理解できた子供は回を追うごとにしっかり走るようになります。ここで気をつけることは「どこまでも走らせない」ということです。コーンを過ぎてしばらくしたら止まる、ということを教えなければなりません。
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●ポイント
しっかりとした見本があれば子供は理解する。
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その60 |
(91)リレー形式を経験させよう 次はリレーです。障害児、とくに自閉傾向の子供には競争はとても高いハードルです。「人に勝つ」ことはこれから徐々に教えていくとして、まずは「形の上でリレーに参加すること」ことを身につけましょう。学校の体育会でリレーに出て「われ関せず」の態度で歩いたり、コースを逸脱するのを見るのはお母さんとしてはとてもつらいものがあります。速く走るのは難しくても、しっかり1周走って次の走者にバトンタッチできるようにしてあげましょう。そして、「形だけでもトラックを一定のペースで走る」というのは目標物(コーン)が自分の走るコース上に見えている直線ダッシュに比べてはるかに難しい(最終コーナーを回るまでは目標が見えず、そのかわりに他の刺激がたくさん目に入って意識レベルの維持が困難)ですから、これができるようになると生活面で違ってきます。
@お母さんかボランティアさんが前を走りついてこさせる。−これが最初のステップですが、これは直前に目標があることになりますから療育的な意味は乏しくなります。だ円のトラックを走るという行動パターンを子供に教え体に体にしみ込ませるだけが目的です。
Aお母さんが内、ボランティアさんが外を伴走し、「1、2、1、2」の声かけで走らせる。―次は子供を内、外両側からはさんで走らせます。これによって目の前の目標がない中を走ることを教えます。ただ、あまりくっつくともたれかかってきたり、反発が出たりすることがありますから、手を伸ばして触れるか触れないかくらいの距離を保つようにします。3〜4回やりましょう。
B内側(トラックの)を伴走するだけで走らせる。−子供の体の外側には広い空間が広がっていますが、その刺激に反応せずに走り続けることを教えます。「1、2、1、2」の声かけも子供がリズムに乗ったと判断したら少しずつ減らします。 C止まったらいつでも走らせにいける距離を保って離れたところからの声掛けで走らせる。―これだけのステップをふめば、ジョギングペースであっても「トラックを走りぬく」責任は果たしてくれるようになります。「トラックを走る」ことが安定してきたら次はいよいよバトンを持ちます。反射が強く出るタイプの子供は何のトレーニングもなくいきなりリレーに出ると自分が何をしてよいかわからないために意識レベルが下がり強い反射がでてバトンをはるか遠くへ放り投げてしまったりすることがあります。トレーニングしている子供でもはじめてバトンを持つときは@→Cをバトンを持たせてくり返すくらいの周到さが必要です。
(92)キャッチボールができないのは力を抜くことができないから 次はボール運動です。キャッチボールをしようとすると、ボールを投げずに「手渡しにくる」子供がいます。これはボールを持った手の力がはいったままになっていて手放すことが出来ないからなのです。どこまでいっても障害児の療育は「力抜き」をどうやって覚えさせるか、につきあたるのです。次回はこのお話から・・・
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●ポイント
直線を走るのとだ円のトラックを走るのとは全く別と考えてプログラムを組みましょう。
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