THE LITIGATORS
シリアスな法廷小説を期待したが、端からコミックな書き出しである。シカゴの大法務会社に勤めるハーバード大学卒業の若きエリート弁護士デービッドが主人公。対照的に街の片隅にベテランと中堅の冴えない二人の弁護士オスカーとウォーリが共同経営するF&F法律事務所がある。二人は交通事故と離婚調停、遺言書作成のみが仕事で、それも上手く処理できずに大した収入がない日々を送っている。一方、デービッドは年収30万ドルの高給だったが、1日15時間も休日なしで働く過激な仕事が嫌になって、ある日突然に会社を辞めてしまう。そして次に選んだのがちっぽけなF&F法律事務所である。此処での最初の仕事がF&F社もデイビッド共に今までに経験したこともない、大製薬会社に嫌疑のかかった薬害裁判である。二人のしがない弁護士の手に負えない大事件を、突然に登場した未経験ではあるがエリート弁護士の大活躍で、ちっぽけな法律会社が大企業相手に大立ち回りを演じる痛快法廷物語を期待したが、竜頭蛇尾に終わる詰まらぬ物語であった。ウォーリーが一攫千金の夢を見て、大事件に取り組む決意はしたが、確たる薬害の証拠も得られずにあっさりと敗北してしまうのである。F&F社は再起不能と思われるほどの、莫大な借金を抱えるが、他方でデービッドが密かに取り組んでいた玩具会社の引き起こした玩具が原因の中毒事件が、示談の成立で思いもよらぬ手数料を得ることが出来、晴れてデービッドが独立できたとするつまらぬ成功物語。
推薦度 3.0