
ワシントンDC警察署の刑事クロスとケースワーカーのマリア夫婦とまだ乳飲み子である彼らの子供たちとの日常から物語りは始まる。一方で、当時残忍なレイプ殺人を繰り返す容疑者と思しきマフィアの一員であるサリヴァンが暗躍している。そんなある日、突然出し抜けに、クロスの目の前でマリアが何者かに襲われて殺される。この出来事はクロスが目の前で見た殺人犯を確認できぬまま未解決事件として迷宮入りしてしまう。クロスは残された子供たちの世話を祖母のナナに委ねるが、仕事と家庭の両立のため、刑事を辞めて、精神科のコンサルタント業を始める。しかし、昔の同僚サンプソンから当時頻発するレイプ殺人事件の犯人逮捕の協力を要請される。また、この容疑者がサリヴァンと名乗る殺し屋で、マリア殺しの犯人でもあるとの確証を得たことから、復讐心に燃えて、刑事時代のように家庭生活を犠牲にして一連の事件の捜査にのめりこんで行く。一方でサリヴァンはマフィアの一味からも嫌われて命を狙われるため、殺し屋を繰り返しながらも逃避行を余儀なくされている。物語はマフィア一味とクロスたちが同時にサリヴァンを追い詰めるところへ展開していくが、最後のところでクロスはサリヴァンを撃てずに、逆に撃たれて重傷を負うことになるが、このチャンスにどうしてサリヴァンを撃てなかったのか、クロスにも判らない。真の犯人がもう一人いたからか?そのことをサンプソンは既に知っており、しかもその真犯人を殺してしまっていたから、そのことをサンプソンはクロスに言えぬままサリヴァンを追跡していたのである。彼はクロスに復讐させてやりたかったのである。読み出したときは、コミカルなのかシリアスなのか判然としなかったが、まぁシリアスに属するものと思う。容疑者サリヴァンの子供時代を回想して、事件の残忍さの背景を説明はしているが、事件を起こす動機が、マフィからの殺人の依頼であったり、彼の猟奇的嗜好によるものであったりして、唐突過ぎる。どうして、これがベストセラー? 推薦度―2.0