The Alchemist



 ブラジル史上最高のベストセラー作家。彼の著書は60言語に翻訳、150カ国で発売されている。そんな著書のひとつである。ファンタジックな現代の寓話である。スペインの羊飼いの少年が、ピラミッドの下に素晴らしい宝物が隠されているという夢を2度も見たことに揺り動かされて、未知の世界へ冒険を始めるお話。人は誰しも若いときに描く夢に憧れて、その実現を目指して頑張るものだが、やがて、現実の生活に埋没するうち、困難から逃避し、努力をおこたって、若き日の夢を果たすことなく人生を終わるのが通例である。しかし、この物語の主人公は決して諦めることなく、見知らぬエジプトのピラミッドに向かって困難な旅を続ける。その旅の途中で遭遇する人や出来事に懸命に対峙することで、生きるうえで大切なことを沢山学び取っていく。困難から逃げず、努力を怠らず、絶えず夢の実現に向かって生きるべきと教えてくれる人生の指針になり得る物語である。若い人たちに向けて、求める宝(夢)は我々自身の心の中にあることを最後に気付かせてくれるのであるが、 物語のタイトルにもなっている、少年の出会った偉大な錬金術師に、毎日を懸命に生きていれば、人生に悔いは無いとして、”To die tomorrow is no worse than dying on any other day. Every day is there tobe lived or to mark one's depature from this world.” と語らしめているところは、若者だけでなく大人も肝に銘じておきたい言葉である。 読後爽やか! 推薦度―4.0



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