Americanah
選書を間違えてしまった。
女性向けの恋愛小説である。紹介記事に、アフリカ女性がアメリカ留学中に
経験する人種差別問題を扱っているとの記述があり、21世紀のいまも、どの
ような問題がまだあるのだろうかと、このテーマに興味を持って読み出した。
残念ながら、女性の過去の恋人に寄せる心の揺らぎを描いた、普遍的恋愛小説である。
高校時代に将来を約束した2人の男女ナイジェリア人の物語である。彼女は先に渡米
していた伯母の勧めもあって、希望通りに憧れの米国に留学することとなる。
そこで経験するのは自由と民主主義の米国ではなく、母国ナイジェリアでは気も
とめなかった肌の色で差別を受けることとなる。米国は肌の色によって階級社会が
構成されていて、ブラックは最下層階級に属するのである。しかも、同じ黒人でも
アメリカ黒人、非アメリカ黒人、そして中南米人はブラウンとして区別される。
それぞれが、どのような差別的扱いを受けるかのニュアンスは十分読み取れなかったが、
彼女はとにかく就学ビザは得たものの、就労ビザを手に入れられないので、経済的に
困窮するのだが、様々な黒人の不当な扱われ方の日常をブログに投稿することで大成功を
果たし、その広告収入で豊かな生活を送り、有名人になることが出来た。
一方彼もアメリカ留学を目指すも果たせずに、英国に留学することになる。
彼もまた、就労ビザを入手できぬまま、偽装結婚により滞在ビザを手に入れようとするが、
悪徳ブローカーに騙されて、当局に逮捕されナイジェリアに強制送還される。しかし、
帰国後不動産業で財を成し、結婚して一児の父となって平穏な暮らしを続けている。
米国で成功した彼女もナイジェリアに帰国して、何不自由のない2人は故郷で再会を
果たすが。密かに昔の恋仲に戻る。彼は幸せな生活を捨て、離婚し子供と別れても、
彼女との結婚を願う。彼女も彼の願いを受けいれる気になって、めでたし、めでたし!
推薦度 3.0