勉強方法
その1 素読のすすめ
 今から20年ほど前、大阪で学習塾を共同で開いていました。その頃、同僚から1冊の本を薦められました。それは安達忠夫氏の『素読のすすめ』(講談社現代新書)という本です。最近カナリア書房から改訂版が出ています。

 素読とは、「内容の理解は抜きにして、古文、特に漢文の文字そのままを音読」することを言います。そして、韻と音を楽しみ、言語能力の向上をはかるものです。

 さっそく、小学生の国語の授業に取り入れました。有名な漢詩や日本の古典(「徒然草」「奥の細道」「百人一首」など)を暗唱させました。

 小学生は、おもしろいようにどんどん頭に入っていきます。「百人一首」はほとんどの子が暗記しました。そして、目的である感性や言語能力を磨くことができました。

 中学生になり、英語の教科書文を暗記させることにしました。小学生の時に素読に親しんだ子は、何の抵抗もなく覚えていきました。そもまま続けていればよかったのですが、途中で定期テストの点数を取らすための授業に走ってしまい、挫折してしまいました。

 しかし、素読はおすすめです。できれば小学校低学年から始めたら良いと思います。

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その2 自由保育と設定保育
 自由保育とは、子どもの自主性を重んじ、やりたいことを自由にやらせるという保育方針です。設定保育とは、決まったカリキュラムに従って集団内での規律を重んじる保育方針です。それぞれ短所と長所があると思いますが、今問題になっているのは、自由保育を受けた子どもが、小学生になっても椅子に座っていることができず、授業が成立しないということです。

 そのため最近ではベテランの教師が低学年を担当したり、小学校の教師が幼稚園に出向したりしています。自由保育が悪いとは言いませんが、こと勉強に関しては、ちゃんと座って机に向かう習慣をつけさせる必要があると思います。小学校に期待できないのなら、家庭で習慣をつけさせなければならないでしょう。この時期の習慣づけが、先々の学力形成に大きく影響します。

その3 英語
 英語力を上げるには、教科書英文を暗唱するのが一番よい方法です。そして教科書の丸暗記をしましょう。日本人はどうしても日本語訳を重視してしまうため、英語の語順と日本語の語順を混同し、例えば、「次の日本語に合うように英単語を並べかえなさい。」というような並べかえ問題をさせると、もう無茶苦茶に並べてしまう子がとても多いのです。

 暗唱する訓練が日頃からできている子は、日本語を見ずとも英単語を簡単に並べかえてしまいます。教科書英文を暗唱することは、ひいては文法力の向上につながりますので、ぜひ実戦してください。

その4 国語
 学校の授業を思い浮かべてください。先生は「これに関してどう思うか」とみなさんに問いかけます。そして、いろんな答えに対して「そういう見方もできるね」「そういう意見もいいね」と、みなさんの意見を尊重してくれます。

 つまり学校では文章の一文一文を丁寧に読み解く授業をしますが、答えのある問題を解く訓練はしません。なのに、テストでは1つの答えを求められます。ですので、国語の点数が悪い人は、数学と同じように問題を解く訓練が必要です。中間・期末テストの点数をあげるには、教科書準拠の問題集を2、3冊、単元が終わるごとに、あるいはテスト前にやるといいでしょう。

 小学生なら、本をたくさん読みましょう。また、幅広い知識を身につけ、実年齢より精神年齢が高くなるように努めます。概して女の子の方が男の子より、あるいは遅生まれの子の方が早生まれの子より国語が得意であるというのは、この精神年齢の高さと関係があると言えます。

 しかし、身体年齢とのバランスもあるでしょうから、精神年齢が低いからっといって、親はあまり焦らず、例えば、子どもといっしょに読書をする時間を設けるようにしてはどうでしょうか。

その5 算数・数学
 小学校低学年なら、そろばん教室に通って暗算力を鍛えたり、公文や学研に通って機械的に計算問題を解く訓練をするのがよいと思います。

 高学年になると、公立中学校に進学するにしても、中学受験用の内容を勉強するのがよいと思います。中学数学は、中学受験用の内容と同じ問題を x や y という文字を使って考える作業をしているのにすぎないのです。逆に、x や y という文字を使わずに考えることによって、思考力が養われます。ですから、公立レベルの中学数学は楽勝です。ただし、本人のヤル気と親の理解がないと、この方法は長続きはしません。

 この方法を選択しないとすれば、分数、小数、整数を含めた四則計算ができる力を最低身につけておきましょう。計算力がないと中学で苦労することになります。

 中学生で数学ができない人は、計算だけでも小学校までさかのぼって勉強することを検討してください。計算はできるけど数学の成績が悪い人は、要は勉強量が不足しているに違いありません。やっているつもりになっていないでしょうか。

その6 理科・社会
 理科・社会は興味の度合いが左右する教科です。テストの点数を上げることに絞って言うと、重要語句を一問一答式にまとめ、それをひたすら暗記しましょう。カードを利用してもいいのですが、テスト前にカード作りだけで終わってしまわないように注意してください。 また、綺麗に蛍光ペンを使ってノートにまとめるだけで終わってしまわないようにしましょう。

 短期間で得点をアップさせることが可能な教科でもありますので、受験前には理科・社会の問題を解く時間を増やしてください。