第5章 好釣からボウズへ・・・蛸もらったけど?


これは、作者から誘った時の話。

(その1)

相手は、釣りに関しては、初心者に毛が生えた様な程度。
ボ−トでのキス釣りなら、面白くて退屈しないだろうと思った。
まずは7月に決行した。
場所は、例のゴルフ場の南の砂浜に決定。
まずは、準備する物から伝えた・・・・

「ライフジャケットは必ず購入すること。それさえあれば竿や
仕掛け、餌はこっちが用意するから」
と伝えて、どうするかと見ていたら

「ライフジャケットは買った。それに、キス釣り様の竿とリ−ル
も買った」とかで

「根性入っとるやんけ!」と感心していた。
当日は、5時30分に待ち合わせてボ−トにて出船。
7月の事、梅雨も明け、晴天なら気温もぐんぐん上がり、ボ−ト釣りには
つらいかなって、思いきや当日は「曇り」の絶好(?)の天気。

出船後ボ−トの上で手ほどきが始まった。

「まず、この重りにラインを通して、サルカンを結んで、
仕掛けを・・・・」って・・そこは、完全な初心者ではなく魚釣りは
かじったことがあり、飲み込みが早い。
仕掛けができたところで、餌をつけ

「遠投しなくとも、ちょい投げして、こうやって人が歩く速度
ぐらいに巻き上げて来て・・・キスがいたら竿先にビクビクッと
アタリがある。そしたら慌てずにこうやって巻き上げてくると・・
ホラッ!釣れた」ってこの時は第一投目から本当にキスが釣れた。

「で、1匹釣れたらそのポイントを集中して狙って・・!
キスは、群れでいるから」とレクチャ−はココまでで、
それからは二人とも真剣に釣りだした。
流し釣りでは無く、アンカ−を入れているので、あっちに行ったり
こっちに行ったりしながら・・
最後には、良く釣れるポイントを発見し固定した。
ビ−ルも2缶空け良い気持ちです。

大物も釣れてます。
結局二人で30匹弱とまずまずの釣果でした。

とこの時は、午後2時くらいに引き上げました。
釣果は同じくらいと思ったのですが、最後の最後の

「あと、1匹釣れたら帰ろうか?」と相談中に釣れたのが、作者の1匹。
それが悔しい、とかで「リベンジ!リベンジ!」ってご所望。


(その2)

「挑戦されたら、受けねばならない!」ってんで
8月11日に「リベンジ」を!
この日は厳しかった。

前日の強風がおさまったと思ったが、海上にはウネリが残ってた。
出船したものの・・・・湾内を出る時はそうでもなかったが、
沖へ向かって波止を目指すに従って段々波が高くなり
波止を回ったあたりから、ボ−トの揺れがひどくて・・

空気で膨らますボ−トは波のウネリをまともにひろいます。
1m程度の波と思ったが、波に翻弄されるボ−トの揺れは相当なものでした。

それでも何とか、前回の「良く釣れるポイント」へアンカ−を降ろして釣行開始です。
海が波のせいか、濁っています。

「キスは、濁っていると釣れないんだよね」の予測通り、アタリが全くありません。
アッチコッチ投げる場所を変えても全くだめ、アタリが無いどころか
餌もそのまんま上がってきます。

「日が昇ってくればウネリも収まると思っていたが、ダメダね・・。
あっちの波止に移動しようか?」
波の上でどんなに揺られても頑張っていましたがちょっとばかし
気分が悪くなりました。

「これじゃあビ−ルも飲めないなぁ」と思って「避難」を提案。
了解も取れて避難中、リベンジを申し出た連れが船酔いでダウン。
ちょっとモドした!
こりゃ無理して悪かったかな?とも思って急いで、波止の方に避難。

ボ−トを石積みの波止の上に引き上げ、波止の先端に陣取って
ちょっと一息(ホッとした)。やっぱり地に足がついてるっていいや!
ここからならちょい投げだけどキスは狙えるし、ビ−ルも飲める。
早速1缶空けてる時に

「あっ、根掛かりや!」・・・でも巻き上げてきよるぞ!
竿先も曲がってるし・・・・こりゃあ大物や!
近くに寄っていって覗きます。たぐり寄せてきたのを見て
えそや!」

*えそ【狗母魚】
  全長約40センチメートル。体は細長く、口は大きく、鋭い歯がある。


「違う!舌ビラメやないか!」  
体長30センチ弱の舌ヒラメを釣りあげよった。

「う〜ん!この前のを逆転されてまだお釣りが来るがな。こっちは、まだボウズやで!」
とぼやく事しきり。
キスは釣れんし、海は濁っとる。
ウネリはあるわで波止に避難しても、キス用の竿じゃ投げられる距離は決まってるし。
「もう、今日はダメや!帰ろうか?」と言いかけた矢先にヒラメとは

「何すんねん」ほんとにもう。ビ−ルを慌てて空にしてから俄然張り切った。

「何処へ投げたの?そう!あっち?」ってほぼ同じところへ投げたがしかし、
こちとらの竿はうんともすんとも言わない。
そのうち漁船まで近くに来て、網を上げだしよった。

「こりゃあ」あかんわ!
と嘆く事しばし。なにやら漁船の若い兄ちゃんが何か投げてきた。
「なんや!」と見ると「蛸」だ。
どうやら、海苔の網を上げている様で小さな蛸の1匹や2匹などどうでも言いらしい。
ところがどうも目測を誤ったか、この蛸、足場の波止をオ−バ−ランして石積みの中
にドボン、とお逃げになった。

「オ−バ−ランか?」と兄ちゃんが叫ぶ!
こっちは「ありがとう!」と厚意に感謝!

そんな事があってから、又こちらは、釣りに励んだ。
缶ビ−ルも2本空けてしまった。
釣れない、幾ら頑張っても釣れない。
投げるポイントも変えた、アッチコッチ探った。
巻き上げる速度も色々やってみた。
終いには、仕掛けの一番下に重りをぶら下げて、探り釣りの様な事までした。
でも、全然ダメや!
やっぱり、濁りが入っていて、キス・ガシラ・アブラメ等の目で餌を追う魚はダメらしい。

「もう帰ろうか?ダメやで!」

「あぁ・・!」
で又さっきの漁師の兄ちゃんが寄ってきた。又しても蛸を投げようとしている。
今度は、しっかりと捉えようとして、グロ−プ代わりのタモを用意した。
(柄の長さ30cmくらいのを)
やった!今度はしっかり捕まえた。
小さいけど、旨そうな蛸や!

ボウズやけどおみやげができた。これで良い、

「帰ろう!」と頷き合って又、ボ−トに乗り込んで
帰ってきました。
帰りもウネリで大変だったけど何とか、到着。
お互いに、舌ヒラメと蛸をおみやげにした、散々な釣行でした。
別れ際に「リベンジや!」と誓い合いましたが・・・


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