日本海までの釣行は、費用もPowerも根性も大変ということで、我らお仲間達は
ゴムボ−トを購入しました。それも2艘もです。
作者も協力しまして、アンカ−とロ−プを2セットそれに我が家のガレ−ジを
一部空けまして、ゴムボ−トの保管と管理を引き受けました。これで、海水浴場
のボ−トを借りなくても気の向いた所へ自由に行くことができます。それは「近くでも釣れるに違いない」と釣友達のご意見に従い、車で1時間
以内のほんの近場に釣行した時の事でした。
日本海での経験や昨今のニュ−ス(釣り人の遭難)等から、当然自前の
ライフジャケットを購入しています。
ゴムボ−トは折り畳めば簡単に搬送出来ますが、空気を入れて膨らませる
のが大変なのと、使用後に真水で洗って干して、傷んだところ(岩などに
擦ったりしたところ)を補修したりとmaintenance(メインテナンス(補修管理))が
大変です。
お初のポイントに、朝5時に着いて、用意万端整って出船したのが
5時30分頃でした。
積み込む道具は最小限にします。竿は2m前後の物を1本、
餌箱、ク−ラ−1ヶで仕掛道具一式はライフジャケットのポケットに
詰め込みます。ク−ラ−の中味は氷とビ−ルとおにぎり2ケです。
これでも2人乗りこみますから、身動きする範囲が限られます。
しかしゴムボ−トですから、腰が痛くなったらパンパンに張ったボ−ト
の縁から手足を投げ出して、延びが出来ますし、寝ころべます。
空気ベッドみたいで気持ちいいですよ。
貸しボ−トではこんな事をする訳にはゆきませんがね。出船は船底を擦らないように注意します。
船体が軽いので漕ぐのも楽です。貸しボ−トの様にしっかり水を
掴まなくとも水を軽く掴み回数を多くして漕げば楽に進みます。
風にながされやすい事、方向が容易に安定しない事もありますが。この度の出船場所は、ボ−トの係留場でスロ−プになっていますので、
楽でした。河口から50m程漕ぎ進んだ所で竿を出しました。
興奮の第一投です。ここの釣果次第ではキス釣りの新天地になり得ます。
第一投からキスなんて望めませんでしたが、2投、3投するうちに
アタリがありました。期待しましたがキス独特の引きではありません。
釣り上げたのは、キスでは無くテンコチです。
(テンコチってわかります? 絵を作ってそのうちに張りつけときます)
又、アタリがありました。今度はフグでした。
段々気持ちが沈んできます。ダメか!キスはいずこに・・・!
と船友を見ると顔はこちらを向けてしゃべっていますが、心ここにあらずで
竿のほうに注意を注いでいる様子。おかしいなと思っているうちに
なにやら細長い魚を引き上げました。「おっ! キスやないか!」
「えへへ! 確かなキスの手応えやったから驚かしてやろうと思ってな」
「くそっ! とぼけてからに!負けてられんわ!」
と俄然ファイト剥き出しにして、餌も新しくして今度はポイントを少し
ずらしました。
ゆっくり巻き上げながら「キスよこい、キスよこい」と念じます。
目を閉じて全神経を竿に集中します。
その時です、竿に「ガツン」とアタリが出ました。ちょっとばかり興奮気味に
巻き上げる途中で「おかしいな?」 いつもと感じが違います。
巻き上げる途中でのあの「締め込み」がありません。
「キスと違うかな?」との思いが頭をよぎりますが
「いいやキスや、キスや!」と強引に念じて釣り上げたのは、
「やっぱり、テンコチやないか!」
見ると船友は順調に数を増やしているし、もう1艘のボ−トの方も順調の様子。
「ひょっとしてキスをゲットしていないのは自分だけか?」
焦りに焦っていますが、こんな時は落ちついて景気付けをするに限ります。
「景気付け」って何かって?・・・・
それはビ−ルです!
缶ビ−ルを空けて一口飲むと、空きっ腹ですので体中に一気にしみ
わたります。それから、じっくりと検討し直します。
竿、ラインの太さ、仕掛は良いのか、重りは軽すぎない?重すぎない?
針の大きさは良いか?餌は、付け方は、ポイントは、巻き上げる速度は
・・・・・とまあこんな調子で第一投から今までの事を思い出したり、
釣友と比較したりして違いを検証しこれで良いのかどうかビ−ル1本の
間にじっくりと見直します。どうやらその時はポイントだけの問題だと判断し、再び釣行開始です。
(作者はビ−ル好きで、それもKIRINの愛好家です。缶ビ−ルの
レギュラ−サイズを最初の1本という事もあり、この時は5分程度で
飲み干してしまった様に記憶しています、ゆっくり味合わずにもったい
ない事をしました)ポイント一新の最初から竿先に「コツコツ」という前アタリです。
こんな時は巻き上げずに竿をゆっくり引きます。
そしてキスの本アタリを待っていると
今度は、確かな針がかりをしたのか「ググッ」という引き
「よっしゃ!」とばかりに合わせて、追い食いもかまわず巻き上げます。
途中でうれしい締め込みがあり、「こりゃ! キスや」という確信をもてました。
仕掛が浮き上がってくるのももどかしく、海底を透かし見ているとなにやら
白くて細長い魚が上がってきます。「キスや!」・・・・・やっとご対面できました。
さすが「高貴な魚」と言われているだけあって、魚体は綺麗です。
特にこの時はお姫様に見えました(って、俺は野獣か?)。
1匹釣れればそのポイントを集中して攻め、やっと釣友に追いつけそうに
なってきました。
と突然「ボイント変えようか」とつれない(釣れない?)お誘い。
どうやら釣友は釣れなくなったようで。
「ああ良いよ!」とこっちは余裕で返します。
アンカ−の巻き上げはこちらの担当ですから、早速竿を置いて
アンカ−を引き上げ準備に掛かります。
「さぁ!何処でも良いぞ」と漕ぎ手に一任し次のポイントへ・・・・・結局、午前中で引き上げましたが15〜20cm程度のが中心と
日本海より少し小さめですが、
各自10〜20匹と満足の行く釣果で引き上げて来ました。
それからは、この好ポイントは毎年釣行する様になりました。