始めた頃の思い出


それは”阪神大震災”の後の事、チヌを釣りに行こうと誘われた。
今までの釣り方「前打ち」とは違って、「落とし込み」と言うらしい。
餌を海面から沈めていって、途中でのアタリを取って釣る方法らしい。
専用の竿や仕掛があるらしいが、そんなことは後になってから
教えてもらった。
近場での波止かと思ったら、渡船でポイントへ渡して頂くらしい。
とにかくわけがわからんが行くこと(釣れて行っていただくこと)
にして、道具の用意。
4〜5m程度の波止用の竿と「ウキ」を用意。
アタリは「ウキ」でわかるとたかをくくっていた。
当日、4時に起きて教えて頂いた餌屋に集合、そこで餌と
渡船券を購入し渡船場へ。
何処で降りたらいいか全く初めてなので、先輩方の言うとおり
にした。
ポイントに着くと早速に用意してから釣行の開始。
我流だったものだから、今から思うと・・・
いやはやひどい物でした。

まず、竿は波止用の竿でした。そこそこ竿先は柔らかくできていますが
落とし込みのチヌの繊細なアタリを取るのは、とてもとても。
ラインも3号のごついの。
針も一応チヌ用ですが、筏用の物(筏はずっと前からしていましたから)
重りも3B以上の思い物だったように記憶しています。
餌は蟹でしたが、何処に(どの様に)刺して良いか解らずにいました。
聞けば良かったかな
それに、餌の落とし方も我流で「ほら、さっさと食え」ってな感じで
ガッ!と落としていました。
餌がいきなり無くなっても「落ちたかな?」なんて考えていたりして。

その中で先輩方が次々ゲットしているのを見て焦りました。
それも、半端な大きさでは無い。
今までとは格が違う35〜40cmクラスだ。
一人で3匹なんて方も。何で小生だけが釣れないの?
場所か?釣り方か?道具か?全然???であった。

10時の休憩で集まったときに自分流の悪さを聞いてみた?
結果は惨憺たるもので、道具も餌の落とし方もあたりの取り方も全てだめ。
「こりゃぁ!道具から揃えて、一からやり直しじゃわい」と
その日の「ボウズ」も納得しました。


次のトライは、聞いていた道具をしっかりと揃え、またまたご同道願い
”レクチャ−”して頂いた。
「この目印がスッ と入ったらアタリや!」なんて教えて頂いたが、
この”目印”ってのが難しい代物で、軽いため波の影響をまともに受けて
あたりやら何やら、初心者にはチンプンカンプンで・・
「こりゃぁ判るようになるまでは2〜3年はかかるぞ」
と観念し、そのシ−ズンはボウズを覚悟で通い詰める事に決めた。
辛い釣行が始まった。ボウズは判っている(覚悟している)。
釣れなくとも、とにかくあたりがどんなのか見極めなければ。
1日の釣行でそんなに頻繁になあたりがある訳が無い。
あたりらしきものを確認できた日もあれば、
それすら確認できずに「餌は、蟹1匹で良かったかな」なんて日もあった
帰りの船では、釣り師たちの釣行談義が盛んで
「あそこのポイントで・・枚あげた」とか「今日はたったの・・枚や」
とか、その中で、さも”いっぱし”のつもりでボウズグル−プに加わり
「今日は、狙いが外れたね」なんてお互いに慰めあっていました。

(つづく)


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