そして初めての1匹へ


辛い釣行が続きました。
行けども行けども”ボウズ”
朝4時に起きて、帰宅は午後2時か4時。身も心もくたくたです。
道具を片づけて、遅い昼食をとって(家族ににらまれて)
しばし休息(仮眠ですが)しながら、その日の出来事を
反省します。
餌は、イ貝の方が良かったか、重りは重すぎなかったか、
ラインは太すぎなかったか、潮は良かったのか、
「朝間づめ」(こんな漢字でしたっけ)の時間は、適当だったのか
あのときの目印の変な動きはアタリでは無かったか?
もしもあの時、あわせていれば、もしかして・・・なんて!

経費もかかりました。
1回の釣行につき渡船代\1,500で餌代が\500程度それに、
高速料金(自動車専用道の通行料)が往復で\400
朝昼兼用でおにぎり1ヶとポカリだけでも1回の釣行に
\3,000程度費用がかかりますので、かなりの投資でした。

釣友からもいろいろアドバイスを仕入れます。
「雨の日が良い」とか「雨の日の次の日で濁りが入っている日が良い」とか
「潮の動きの大きな大潮の日が良い」また「凪の日より曇りで少し風が
あって、水面がバチャバチャ波打っている日が良い」とかいろんな情報を
仕入れます。
チヌが蟹を補食するのは、水面が荒れて蟹が波にもまれて岸壁から
離れたり、濁りが入ったりして警戒がおろそかになったりするする時。
という事を決めてかかり、「凪の日」はチヌの活性も低く、ボウズだな。
なんて考えていました。
そのうちに釣行する日も、汐見表を片手に天候を予測して雨の日か、
その次の日をめがけて行くようにしました。

そして釣行を重ねるうちに段々と暑くなってゆきました。
6〜7月頃になると雲間からのぞく直射日光は強烈で、
体力の消耗も激しく、釣りをしているときは緊張していますので
良いのですが、帰りの渡船の中では気が緩むせいか居眠りをするしまつ。

4月に初めてから、月に2〜3回程度の釣行でしたが季節はもう
すっかり夏になっていました。
確か8月頃と記憶していますが、ポイントを変えようとしていた時、
根がかりしたようになって、今まで一定のスピ−ドで沈んでいた目印が
ふっと止まりました。
「くそっ」と強く引いたら、グッグッと手応えがあり、引き込まれました。
あたりも何も判ったものではありません(本当に偶然でした)。
何せ、初めての事あわてました。
沖へ走られて、それを必死にこらえていました。ラインが切れそうで!
こんなに「引き」が強いとは思っていませんでした。
しっかり竿を立てていないと、「伸されて」しまいます。
それでもなんとか我慢して、少しづつ少しづつ引き寄せます。
水面から顔をのぞかせたのは、恋い焦がれた「
チヌ」でした。
片手で竿を操り、もう一方の手でタモを用意し、なんてこれまた
初めての事で。ぎこちないながら何とかタモへ「お初」をゲットでき、
手元へたぐり寄せました。

興奮しましたね。
タモの中には、恋い焦がれた黒い魚「チヌ」が大きな口を
パクパクさせています。
早速、先輩方の真似をして、釣り上げたばかりの獲物をストリンガ−に
掛けておきました。
いっぱしの釣り師になった気分と言うか、やっと皆の仲間入りが
できた感激とか、今までの苦労がこれで・・・と言う気持ちとかが
複雑に入り交じっていました。

でも、アタリはまるっきり判らなかったのでまだまだ不安です。
もう一度、もう一度と探りますが、良くわかりません。
ところが、1匹釣り上げていますので気分に余裕が出てきています。
少しでも「アレッ」と思う様子があれば、すかさずあわせます。

そんなことを繰り返しながら、段々判るようになるのですが
それはもっと後の事。

このお初は35cmぐらいだったと思いますがうれしかったですよ。
帰りの船では、釣り師たちの釣行談義に加わり
やっと「仲間になれた」と浮き浮き気分で帰ってきました。


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