6号機 Model-Gatto MJ-C Type Part;1
まず目に飛び込むのがトップ側、サウンドホール廻りの装飾です。
今回は最近特に気に入っているジリコテを使用します。
じっくり見ると浮き出てくるエキゾチックな杢目に吸い込まれそうになります。
このジリコテを中心に内外両側にアバロン貝をふんだんに散りばめます。
貝装飾は派手ではありますが沢山のルシアーが使用するデザインだけにオリジナリティには欠ける装飾とも言えます。
しかし、ここでMIWA GUITARSでは最近おなじみのカッタウェイ方向にパーフリングがはみ出ていくデザインが加わりますので
他にはないデザインといえるものとなります。
この考えを基軸に材量の加工を進めます。
インレイする材量の加工ができればトップ材に溝を加工して埋め込みます。
写真ではサウンドホール周りの主たる円形の埋め込みが完了したところです。
ここからカッタウェイ側に伸びる細いパーフリングは手掘りでインレイしていきます。
この先はいつも通りの矢じり的スポルテッドメイプル&アバロン貝のインレイを施します。
また、今回は6弦側にもデザインを施します。
厳密に言えば全く違う物ですが、イメージとしてはヌーノベッテンコートのN4からインスピレーションを受けたインレイです。
昔からのあこがれのギター、当然何度も弾いた事がありますので操作性からのデザインであることは承知しています。
今回のインレイはあくまで印象のみです。
●デザインの考察
ヘッドデザインについては初号機から気に入って採用しているデザインをメインのデザインとして採用しています。
手間をかけてバインディング、パーフリング加工する事が好きだったのですが5号機以降木目の美しいツキ板を
ヘッドプレートに採用してみて、メープルのツキ板と銘木ツキ板のラミネートで面取り仕上げといったぬくもりあるデザインに
魅力を感じて採用しています。インレイすら邪魔に感じるのでヘッドはノーインレイで仕上げます。
ボディがごちゃごちゃしているので丁度バランスが取れているのかもしれませんね(笑
2012年9月29日、30日の2日間、大阪ATCで開催されるサウンドメッセ大阪2012へ参加させて頂けることが決まり、<東京ハンドクラフトギターフェスクラフトギターフェス2012>で展示した3号機と、
サウンドメッセ大阪2012出展用に製作している5号機の2本で参加予定でしたが、せっかく参加させて頂くならもっと作りたい!と思い立ち、この6号機の製作を始めました。
私としてはこんな短期間で製作完成させたことがありませんので到底間に合わないかもしれませんが、多くの方にMIWA GUITARSのギターに触れて頂きたい一心で製作を進めています。
製作記としては毎度同じような内容ばかり掲載していますので、ここでは製作記ではなく、ブログ的進捗レポートとして掲載しようと考えています。
結局はいつもの製作記のようになるのかもしれませんが、私のこだわり(あまりありませんが)のポイントなどがご紹介できれば幸いです。
はい、こんな感じに仕上がりました。
ジリコテの杢目は写真では判りにくいですが、全体的な印象としてはかなりの存在感だと思います。
難しいインレイ技術はまだありませんので今の私の精一杯、そんな作品になりました。
このままでは少々野暮ったいですが、カッタウェイ先端からネックにかけての局面にはさらにアバロン貝をインレイ、
そして指板が乗っかるとハワイアンカーリーコアのインレイ部分が引き締まって見えてくると思っています。
細かな点ではありますが質感の向上のため、サウンドホールの小口部分にはハワイアンコアでバインディング装飾を
施しています。一般よりもホール径をやや小さく設計して音のリバーブ感を出す設計なのですが
見た目も小さくなってしまうとバランスも悪いのでこのようなデザインとしました。
表甲板自体、最高級のシトカスプルースですので木目と直交するちじれ杢が多く、それらがさらにロゼッタを際立たせます。
自分的には気に入るデザインとなりました。